任意整理とはどんな手続き?他の債務整理との違いやメリット・デメリットを解説

任意整理とはどんな手続き?他の債務整理との違いやメリット・デメリットを解説

任意整理とは、借金の利息部分をカットして原則元金のみを3年程度で支払い、完済を目指す債務整理手続きです。他の債務整理手続きとは異なり、交渉であることや利息しかカットできないというのが任意整理の特徴と言えるでしょう。

では、そのような任意整理を検討するべき人とはどのような人なのでしょうか?

本記事では、任意整理とは何か?についてお伝えするとともに、任意整理の流れやメリットデメリット、向いている人や向かない人についてお伝えします。この記事を読んでいただければ、任意整理のすべてを知ることができるでしょう。

任意整理とは何か?任意整理をしようか悩んでいる。という方は、これからお伝えすることをぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

近藤邦夫

司法書士法人 浜松町歩法務事務所」代表司法書士。 愛知県岡崎市出身。 昭和64年早稲田大学法学部卒業。 長年にわたり、債務整理を行い、 また宅地建物取引士の資格を生かし、不動産登記や商業登記も行なっている。

目次

任意整理とはどのような手続き?

任意整理とは、借金の利息をカットして元金のみを分割で返済できるよう、債権者と直接交渉を行う債務整理手続きです。任意整理をすることによって、債務者であるあなたは借金の元金部分のみを返済すればよくなるため、経済的なメリットが発生します。

一方、債権者側は利息を得ることができなくなるため、事実上損失を発生させてしまうことになります。

ではなぜ、債務者のみに一方的に有利な任意整理が成立するのか?まずは、任意整理とは何か、なぜ任意整理手続きが成立するのか?についてお伝えします。

借金の利息部分をカットできる債務整理手続き

任意整理は借金の「利息」の部分を減額してもらう債務整理手続きです。

そもそも借金には「元金」と「利息」の2種類があります。あなたが毎月返済しているお金は利息から充当され、利息を超えた部分が元金に充当されます。

利息とは、債権者に対して支払う手数料のような役割を担っており、債権者の利益につながる部分のひとつです。一方、元金とはあなたが実際に借りたお金の部分です。

利息は元金に対して一定の利率をかけて計算し、完済するまで発生し続けます。たとえば、あなたが100万円を年率15%で1カ月間(30日)借りていた場合の利息は12,328円です。

あなたが100万円を借りた1カ月後に全額返済をした場合には、1,012,328円の支払いで済みます。しかし、実際には100万円を一括で返済できる方は少ないでしょう。そのため、返済期間に応じて完済までの期間、利息が発生し続けます。

たとえばあなたが100万円の借金を5年間で完済しようとした場合、合計で1,427,300円を支払わなければいけません。つまり、427,300円が利息になるわけです。

同じ借金額であっても、返済期間が長ければ長いほど総利息金額は高額になります。なぜなら、「返済期間が長い=毎月の返済金額が少ない」ということになり、毎月の元金充当分が少ないためです。

つまり、借金の元金に対して毎月の返済金額が少ないと、なかなか元金が減らずに完済が見えないという悪循環に陥ります。そして、このような悪循環から債務者を救済するための制度が任意整理です。

任意整理は原則として利息部分をすべてカットできます。よって、交渉が成立した場合には、元金しか残りません。極端な例ですが、100万円の借金に対して毎月1万円しか返済できなくても、確実に完済を目指せるのが任意整理の特徴です。

もしも、年率15%で100万円を借りている状態ならば、1カ月で12,000円以上の利息が発生します。そのため、1万円の返済では元金どころか利息すらも返済できません。

このように、任意整理をして利息をカットすることで少ない返済金額でも、確実に完済を目指せるようになります。

返済期間の延長や交渉を行える手続き

任意整理という手続きは借金を減額するだけではなく、借金の返済期間についての交渉を行うこともできます。一般的には元金のみを3年程度で返済しますが、債務者であるあなたの経済状況を考慮して、返済期間の延長をしてもらうこともできます。

とはいえ、延長できても5年までが一般的と思っておいてください。まれに、借金総額に応じて7年程度まで延長してもらえることもありますが、債務者側の一方的な主張を押し付けてしまうと、交渉がまとまらないリスクもあるので注意してください。

任意整理は他の債務整理と異なり、あくまでも「交渉」であることを理解しておいてください。債権者が大きく譲歩をして、借金を減額してくれるということを念頭におき、無理のない範囲内で交渉手続きを進めていくようにしましょう。

なお、その他の債務整理について知りたい方は下記を参考にしてください。

内部リンク設定予定箇所(自己破産とは?個人再生とは?)

MEMO
あなたが現在借金の滞納をしていて、借金の一括返済を求められている場合でも、任意整理をすることで分割払いへ変更できます。通常、期限の利益が喪失した時点で、一括返済しかできませんが、任意整理をすることで分割払いになるので、安心して専門家へご相談ください。

任意整理で借金を減額したり返済期間を延長したりできる2つの理由

任意整理は債務者のみが一方的に有利です。これは債務整理全般に共通していることですが、なぜ「交渉」である任意整理で債権者が減額や返済期間の延長に応じてくれるのでしょうか?

主な理由は下記の2つです。

  • 債務者に返済能力がないことが明らかであるため
  • 債務者と直接連絡を取ることができなくなるため

まず、債務者であるあなたが弁護士や司法書士といった専門家に相談をして任意整理をした時点で「私は本当に返済できません!返済能力がありません!」と言っていることが明らかであり、当然債権者にも伝わります。

そうすると債権者は「せめて元金だけでも返済して欲しい。破産されるよりもまだマシ…」と思うようになります。そのため、できるだけ多くの借金を返済してもらうために、債務者側の話に耳を傾けるようになるでしょう。

そして2つめが、債務者であるあなたと直接交渉をすることができなくなるためです。というのも、あなたが司法書士や弁護士などの専門家に債務の依頼をした時点で、債権者は正当な理由なくあなたに連絡することができません。

そのため、債権者は債務者側の専門家と話し合い(交渉)せざるを得ない状況が発生します。そうすることで、交渉術に長けた専門家がうまく交渉をし、借金の減額や返済期間の交渉ができるようになるのです。

なお、連絡に関する行為は貸金業法21条(取立て行為の規制)にて定められていることです。万が一違反すれば、債権者側が貸金業法違反で罰せられるでしょう。

参考:貸金業法|第21条(取立て行為の規制)

任意整理の特徴とは?

任意整理は「借金の利息をカットして、原則元金のみを3年(長くても5年程度)で完済を目指す債務整理手続き」ということでした。そして、この任意整理手続きには任意整理なりの特徴があります。

  • 一括請求された借金も分割払いに変更できる
  • 交渉成立ていたは元金のみを3年〜5年で完済を目指す
  • 借金があれば任意整理交渉が可能

次に、任意整理の3つの特徴について詳しくお伝えします。

一括請求された借金も分割払いへの変更が可能

借金の滞納が2カ月〜3カ月程度続くと、債権者から期限の利益の喪失に伴って、残債の一括請求をされてしまうことがあります。期限の利益の喪失ついては、あなたが借金をする際に確認をした契約書にかならず記載されています。

そのため、期限の利益の喪失によって一括請求をされてしまった場合は、原則で一括返済をするしかありません。仮にその借金総額が数千万円を超える場合であってもです。

とはいえ、残債の一括請求をされたところで一括返済をできる方はそう多くないでしょう。そこで、一括請求を分割払いに変更する唯一の方法として、任意整理手続きがあるのです。

任意整理は利息をカットしたり、返済期間を延長したりできるだけではありません。たとえ一括請求された借金であっても、分割払いにできるという特徴があります。もしもあなたが、借金を返済できずに一括請求をされている状態ならば、任意整理によって分割払いへ変更してもらえるよう交渉すれば良いでしょう。

差し押さえされている場合は交渉が難しい

借金を滞納し続けていた場合、最終的には財産や給与を差し押さえられてしまう恐れがあります。万が一にも、差し押さえが開始されてしまった場合には、任意整理をしても交渉に応じてもらえない可能性があるので注意してください。

というのも、任意整理手続きは「交渉」です。よって、債権者側が交渉に応じなければそもそも話し合いをすることすらできません。あなたが現状で借金を滞納しており、法的手続きに移行する前であれば、「この人(債務者)には返済する意思がある」として交渉に応じてくれるでしょう。

一方、最終段階である財産や給料の差し押さえに至ってしまった場合には、交渉に応じなくとも確実に債権を回収することができます。よって、債権者側は任意整理に応じなくなる可能性が非常に高くなるでしょう。

任意整理で債務整理を検討しているならば、遅くとも法的手続きに移行される前までに弁護士や司法書士に相談をするべきです。

MEMO
財産や給料の差し押さえを止めるためには、個人再生や自己破産を検討してください。任意整理以外の債務整理手続きは法的手続きになるため、強制執行(差し押さえ)を止められます。いずれにせよ早い段階で専門家へ相談されたほうが良いでしょう。

交渉成立後は元金のみを3年〜5年で返済して完済を目指す

任意整理交渉を行う際、原則元金のみを3年以内で返済できるように交渉を行います。しかし、借金総額と債務者の収入状況次第では、3年以内での完済が難しいこともあるでしょう。そういった場合は、最長5年程度で完済できるように交渉することもできます。

任意整理手続きは「交渉」であるため、債権者側が認めれば返済期間を何年に設定しても問題はありません。しかし、一方的に不利益を受ける債権者は、当然できるだけ早く借金のすべてを回収したいと考えます。よって、原則3年で長くても5年以内で完済を目指すのが任意整理の特徴です。

ただし、あなたに返済をする意思があって、どうしても3年〜5年以内での完済が難しい場合には、さらに延長交渉をすることもできます。ただ、交渉ができるからといってかならず和解が成立するとは限りません。

そのため、司法書士等と話し合いをして毎月いくらなら返済できるのか?その返済金額だと何年以内で完済を目指せるのか?について把握しておくと良いでしょう。返済にあまりにも時間がかかる場合には、他の債務整理をすることも検討してください。

MEMO
実際には返済期間を7年程度で和解が成立したケースがあります。とてもレアなケースではあるため、債務者側ができるだけ短期間で完済を目指せるように努力をしなければいけません。ただ、長期間の交渉も可能であることを頭の片隅に置いておいて損はないでしょう。

「借金」であれば任意整理交渉が可能

任意整理手続きはあなたに「借金」があれば可能です。たとえば、消費者金融からの借り入れや、銀行からの借り入れはもちろん、クレジットカード等も対象です。

とくに、クレジットカードの分割払いやリボ払いを利用していて、「利息負担が重たいな…」と感じている方は、任意整理をする意味があるでしょう。また、利息のみならず「一括請求されて返済が厳しい」と感じている方も、任意整理をすることで分割にできる可能性があります。

任意整理はすべての「借金」に対応していることは、覚えておいて損はないでしょう。「クレジットカードだけど任意整理できるのかな?」「自動車ローンだけど任意整理できるのかな?」などなど、悩まれている方がいるかもしれませんが、まったく問題ありません。まずは、司法書士や弁護士といった専門家へ相談をしてください。

任意整理の流れとは?

これから任意整理をしようと考えている方、どのような流れで進んでいくのか?についても覚えておくべきでしょう。

任意整理の大まかな流れは下記の通りです。

  1. 司法書士や専門家へ相談
  2. 専門家から債権者宛に受任通知を送付
  3. 和解案を作成して交渉を開始
  4. 和解成立〜返済開始

任意整理は相談から和解成立までわずか4ステップで終了します。次に、流れについてもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

ステップ1:司法書士や弁護士等の専門家へ相談

まずはあなたが司法書士や弁護士などの専門家へ債務の整理手続きについて、相談をしてください。当事務所でも任意整理手続きに対応しておりますので、少しでも「借金の返済が苦しい…」と感じているときは相談をしてください。

また、専門家へ相談をする際「任意整理手続きをしたいです!」ということでも構いませんが、「どの債務整理手続きが良いかよくわからないけど…」といった相談でも問題ありません。ただ「借金の返済が苦しいから相談をしたい」というだけでも大丈夫です。

あなたに合った最適な債務整理手続きをしっかり提案させていただくので、まずは相談してみることが大切です。

なお、相談先によって初回相談料を無料に設定しているとこともあります。「とりあえず相談だけしてみたい」と考えている方は、初回相談無料のところで相談してみると良いでしょう。

その後、任意整理をすると決めて専門家と契約をした場合には、費用が発生します。当事務所での任意整理費用は基本的に【5万円+減額できた借金の10%】です。たとえば、あなたが年率15%で100万円の借金があり、10年程度で完済を目指していたとしましょう。

上記ケースの場合、将来利息(返済期間で支払う予定だった利息)金額は「935,960円」になります。よって、この10%である93,596円+5万円が任意整理費用になります。また、借金を滞納していて遅延損害金が発生している場合は、利息額が大きくなることもあります。

当事務所では原則利息のすべてをカットできるため、相談時点で大まかな見積額を算出することができます。まずは、お気軽にご相談ください。

任意整理費用は分割払いが可能

借金の返済自体が苦しい方にとって、10万円を超える任意整理費用を支払うこと自体、容易ではありません。そのため、各法律事務所では柔軟な支払い方法に対応しています。

たとえば、無理のない範囲での分割払いや一時的な猶予等、各債務者に合った方法での支払い方法を提案してくれます。そのため、無理なく任意整理手続きを進めていけるでしょう。

また、分割でも任意整理費用を支払うのが困難である場合は、法テラスの民事法律扶助制度を利用できます。この制度は、法的手続きにかかる費用を立て替えてくれる制度です。経済的に困窮されている方は、法テラスに相談をすることで費用を準備できるでしょう。

法テラスの相談先はこちら

ただし、分割でも任意整理費用を支払うのが困難な方は、そもそも任意整理をしたところで返済を継続できない可能性が高いです。もしも、「任意整理の費用を支払うのが難しい…」と感じているならば、自己破産も視野に入れた検討が必要になり得るでしょう。

ステップ2:専門家から債権者宛に受任通知を送付

債務者と専門家の間で内容を確認し合い、お互いに納得できた場合には契約を締結します。その後、専門家は債権者宛に直ちに受任通知を送付します。

この受任通知とは、債権者に対した「Aさん(債務者)の債務整理を受任しました」ということを知らせる通知です。受任通知と同時に債権者宛に全取引履歴の開示請求も行います。

そして、債権者は受任通知を受け取った時点で、債務者であるあなたに直接連絡を取ることができなくなります。つまり、今まで電話や書面で再三届いていた取り立てがピタッっと止まるでしょう。

MEMO
受任通知到着前でもあなたが債権者に対して「〇〇法律事務所に相談をしています」と伝えた時点で、取り立ては止まります。現在借金を滞納していて、しつこい取り立てに嫌気がさしている方は、債務整理を相談して取り立てを止めてみてはどうでしょうか。

受任通知によって借金の取り立てが止まる理由は、貸金業法という法律によって定められているためです。貸金業法21条では、債務者が司法書士や弁護士に債務の整理を依頼した場合には、正当な理由なく連絡をしてはいけないと定めています。

参考:貸金業法|第21条(取り立て行為の規制)

万が一、債権者がこれに違反をして取り立て行為を行った場合は、貸金業法違反として厳しく罰せられます。

また、あなた(債務者)は司法書士や弁護士に債務の整理を依頼した時点で、一時的に借金の返済義務が停止します。その後、和解が成立してから和解成立案にしたがって返済を継続してください。

なお、借金返済義務が停止することで、毎月の返済費用分が浮くはずです。この費用を任意整理費用に充てることで無理なく、費用の準備が可能になるでしょう。

ステップ3:和解案を作成して交渉開始

受任通知送付後、債権者から全取引の開示請求を行っているため、それを元に「引き直し計算」を行います。引き直し計算とは、利息制限法や出資法といった法律に基づいて、正しく利息が加算されているかどうか?を確認します。

万が一、引き直し計算を行った結果、過払金が発生していた場合はすべて元金に充当し、それも余った場合にはあなたに返還されるでしょう。

というのも、過去には利息制限法と出資違法の間で「グレーゾーン金利」というものがありました。あなたの取引履歴の中で、グレーゾーン金利部分があれば、あなたは利息を支払いすぎていた可能性が高いということになります。

そして、実際に支払いすぎていたお金を元金に充当し、正しく計算を行った結果、任意整理をせずに借金が消滅することもあります。もしかすると、支払いすぎていたお金が返ってくることがあるかもしれません

ただ、最近の取引で過払い金が発生しているケースは少ないため、あまり期待はされないほうが良いでしょう。とはいえ、支払いすぎていた部分があれば、借金の減額にもつながるため、かならず引き直し計算を行うのです。

その後、引き直し計算を行って算出された正しい借金額に対して、和解案を作成します。この和解案では、すべての利息をカットする内容と、具体的な返済計画案について提案します。

返済計画案では元金のみを毎月いくらずつ、何年間で返済をしたい…。のような内容です。

MEMO
返済期間や返済金額は、司法書士や弁護士といった専門家対あなた(債務者)の間で話し合いをして決定します。ただし、あなたの意見が100%通ることはないので注意してください。

その返済計画案をもとに債権者に対して交渉を持ちかけ、同意を得られればそこで和解成立です。一方、債権者側にも主張があるため、「この和解案はのめない」ということがあるかもしれません。

そういった場合は、専門家対債権者の交渉で和解に向けて尽力します。それでも折り合いがつかない場合は、債務者であるあなたにも譲歩を求めることがあるかもしれません。

もしもあなたが、債権者の主張をのめずに和解交渉が成立しなければ、今まで通りの請求や支払い義務が発生します。もちろん、その他の債務整理を選択することもできますが、交渉決裂時点で任意整理が不成立になるので注意してください。

なお、任意整理が不成立に終わった場合でも、基本料金は発生するので注意してください。

ステップ4:和解成立〜返済開始

無事に和解が成立した場合には、返済計画案に従って返済を続けていくことになります。

なお、返済が開始後に返済に遅れてしまったり、長期間の滞納が続いたりした場合にはまとまった計画案が破綻します。その場合は、残債の一括請求をされてしまう恐れがあるので十分に注意してください。

もしも、返済途中に何らかの事情で支払いが難しくなった場合には、再分割の相談をすることもできます。絶対に、払えないからといって放置などはせず、かならず専門家へ相談をするように心がけてください。

なお、もしも任意整理後に改めて任意整理をする場合は、カットできる利息がない分経済的メリットが少ないです。そのため、その他の債務整理手続きも視野に入れた検討が必要になるかもしれません。

まずは、無理なく返済計画案を立てることと、その計画案通りに確実に返済を継続することが大切です。そのうえで返済が厳しいときには、改めて専門家へ相談をすること。このことを徹底してください。

MEMO
返済忘れなどの不安がある方は、各専門家事務所で「返済代行」を行ってくれます。これは、あなたが専門家へお金を支払い、専門家から債権者に直接お金を支払う方法です。これならば、万が一返済に遅れそうになっても、専門家から連絡が来るため安心です。
多くの法律事務所で行っている制度なので、不安がある方は相談をされてみてはどうでしょうか。

任意整理をするメリット・デメリットとは?

任意整理には、借金を減額できたり返済期間を延長・分割にできたりといったメリットが多くあります。一方、債務者側もまったくの無傷で借金を減額できるわけではありません。

もちろん、あなた(債務者)に対しても多くのデメリットを受けることがあるでしょう。次に、任意整理に伴う4つのメリットと2つのデメリットについて、詳しくお伝えします。

任意整理をする5つのメリット

任意整理をすることによって得られる主なメリットは下記の5つです。

  • 借金を減額して完済を目指せる
  • 一括請求された借金も分割払いに変更可能
  • ひとつの債務から整理手続きが可能
  • 受任通知の送付で取り立てが止まる
  • 家族や会社にバレる心配がない

まずは任意整理のメリットについて詳しくお伝えします。これから任意整理をしようか検討されている方は、これからお伝えすることをぜひ参考にしてください。

借金を減額して確実な完済を目指せる

任意整理は借金の利息部分をカットできる債務整理手続きの一種です。よって、借金を減額できるという部分は、任意整理最大のメリットと言えるでしょう。

たとえばあなたが年率15%で100万円の借金を抱えていて、10年での完済を目指していた場合の利息合計は「935,960円」です。つまり、この金額をカットできるということです。

あなたの借金総額や借金の返済期間によっては、数百万円程度の減額が見込める可能性もあります。たかが利息と思われる方がいるかもしれませんが、相当な金額の減額を見込めるのが任意整理の特徴です。

また、利息をカットすることによって残る借金は元金のみになるのもメリットです。極端な話ですが、毎月1,000円の返済でも確実に完済を目指せるでしょう。通常は、100万円の借金を1カ月間借りていた場合(年率15%)の利息は「12,328円」であるため、この金額以上を支払えなければ、完済を目指すことができません。

その点、元金のみの返済を続ければ良い任意整理手続きは、毎月の返済金額が少なくても完済を目指せるのでメリットと言えるでしょう。自分の生活を守りながら借金の完済を目指したい方は、任意整理を検討されてみてはどうでしょうか。

一括請求された借金も分割払いに変更可能

任意整理は「借金」であればどのような状態でも手続きを開始することていたできます。とくに、残債の一括請求をされて返済できずに悩まれている方も多いでしょう。そのような方であっても、任意整理をすることによって残債を分割払いにできるのがメリットです。

通常、借金を長期間(一般的には2か月〜3か月)滞納することによって、残債の一括請求をされてしまいます。これは期限の利益の喪失と呼ばれるものが原因であって、契約書にも記載されていることです。

MEMO
期限の利益の喪失とは、毎月決められた期日に決められた金額を支払えば良いという「期限の利益」を喪失したことを意味します。たとえば、あなたが借りたお金を即返済しなくても良いのは、期限の利益があるためです。

つまり、この期限の利益を喪失してしまうことによって、あなたは残債を原則一括で返済しなければいけなくなります。これはあらかじめ契約書に記載されていることであるため、通常は債権者に相談をしたところで分割払いにしてもらうことは難しいでしょう。

期限の利益を喪失してあなた宛に残債の一括請求をされてしまった場合、あなたの選択肢は「一括で返済をするのみ」です。しかし、このような状態になっても任意整理をすることによって、分割払いへ変更してもらえる可能性があるのです。

また、期限の利益を喪失しているということは、数カ月分の遅延損害金が発生しています。よって、この遅延損害金分も任意整理によって、カットできる可能性があるということです。

たとえばあなたが100万円の借金を2カ月(60日)〜3カ月(90日)滞納していた場合の利息は、32,876円〜4,931円(年率20%で計算)です。この金額もカットできるため、残債の一括請求をされている時点で任意整理をしてもメリットが大きいでしょう。

ただし、任意整理はあくまでも「交渉」であるため、あなたの状況次第では交渉に応じてもらえない可能性もあることは留意点として覚えておいてください。

ひとつの債務から整理が可能

任意整理は債務整理手続きの中で唯一、ひとつの債務から整理が可能です。どういうことかというと、他の債務整理手続き(個人再生・自己破産)はすべての借金が対象になるということです。

たとえば、個人再生や自己破産をしたときには、クレジットカードや消費者金融からの借り入れ、自動車ローン等すべてが対象になります。一方で、任意整理手続きは「特定のクレジットカードだけ」や「自動車ローンだけ」ということができます。

そのため、任意整理であれば「借金の返済負担を軽減したいけど、自動車ローンだけは残しておきたい」ということができるようになるのです。これは任意整理のみのメリットと言えるでしょう。

他の債務整理をした時点で、すべての債務が対象になってしまうため、自動車ローンを抱えている場合は自動車を引き上げられてしまいます。さらに、すべてのカード類が利用停止になり得るでしょう。

現在自動車ローンを抱えている方や、特定の借金のみを整理したい方にとっては、とても大きいメリットになり得る制度と言えます。

ただし、任意整理をすることによってあなたの信用情報にキズが付いてしまいます。その結果、任意整理をした借金以外にも影響が出る恐れがあるので注意してください。

たとえば、あなたがAというクレジットカードの借金とBという消費者金融からの借り入れがあったとします。このとき、「Bのみを任意整理する」ということができます。しかし、Bを任意整理することによって、個人信用情報機関に事故情報が掲載されてしまうのです。

その結果、Aというクレジットカード会社が途上与信の際に事故情報を発見し、カードの利用停止や強制解約になる恐れがあるということです。

クレジットカード会社や消費者金融等の貸金業者はすべて、半年に1回程度顧客の信用情報を確認します。これを途上与信と言いますが、この際に問題が発見されたときには、利用停止や強制解約が可能であることを契約書に記載されています。

よって、ひとつの債務から整理手続きが可能であるとは言いつつ、実際にはその他の借金にも影響が出る可能性が高いと思っておいたほうが良いでしょう。

とはいえ、すべての債権者が直ちに利用停止にするとは限りません。特定の債務を任意整理したとしても、自分のところで優良顧客として認められていれば、継続してカード等を利用できることがあるかもしれません。あくまでも可能性として起こり得るということだけは理解しておいてください。

なお、自動車の場合は影響が出ないことのほうが多いです。たとえばあなたがBという消費者金融からの借り入れを任意整理した場合、自動車ローンも契約が終了して引き上げられるのか?といえば、そうとも限りません。

というのも、自動車の場合は新たな借り入れができず、言ってしまえば返済専用です。そのため、あなたが自動車ローンの返済を滞っていたり、自動車ローンを任意整理しない限りは、手元に残しておける可能性が高いです。

ただし、今後は信用情報が回復するまでの期間、新たにローン契約を締結することが難しいので注意してください。

MEMO
任意整理をする借金と自動車ローンが同じ場合は注意してください。たとえば、オリエントコーポレーション(オリコ)のように、自動車ローンやクレジットカード、キャッシングサービスを提供している場合です。

あなたがオリコのクレジットカードに加えてオートローンを利用していて、クレジットカードのみを任意整理した場合、車も引き上げられる可能性はなきにしもあらずです。

受任通知送付で取り立てが止まる

「受任通知送付で取り立てが止まる」というメリットは、任意整理に限ったことではなく、すべての債務整理に共通していることです。しかし、「取り立てが止まる」ということは、厳しい取り立てを受けている方にとっては、とても大きなメリットになり得るでしょう。

そもそも受任通知とは、あなたが司法書士や弁護士といった専門家に債務の整理を依頼した際に、その専門家が債権者に対して「債務の整理を受任しました」と伝える書類です。この通知を債権者に送達することによって、債権者はあなた(債務者)に対して連絡をすることができなくなります。

当然、あなたも返済義務が一時的に停止します。つまり、今までしつこいくらい届いていた督促状が止まったり、毎日かかってきていた電話がピタッと止まり、ストレスから解放されるようになるでしょう。

これは、貸金業法という法律によって定められているもので、もしも違反した場合には債権者側が厳しく罰せられるようになっています。よって、債権者からの取り立ては驚くほどピタッと止まるでしょう。

参考:貸金業法|第21条(取り立て行為の規制)

「今すぐに取り立てのストレスから解放されたい…」そのような理由でも構いません。まずは、専門家へ相談をしてください。

任意整理をするかしないか自分の中で決められていなくても、まずは相談をして取り立てを止めて、冷静になってからどう解決していくか?考えられれば良いでしょう。

家族や会社にバレることなく手続きができる

任意整理は家族や会社にバレることなく、手続きを進められます。というのも、任意整理はひとつの債務から手続きを開始できるため、車を引き上げられたり家やその他の金融財産を処分する必要がありません。

自分のクレジットカードが使えなくなる等の影響こそありますが、家族にあたえる影響や会社にあたえる影響はなく、誰にもバレることなく手続きを進められます。

一方、その他の債務整理手続き(個人再生・自己破産)は、官報(国の機関紙)に情報が掲載されたり、財産を処分したりしなければいけません。よって、家族にバレてしまうリスクは少なからずあるでしょう。

「誰にもバレずに手続きを進めたい」と考えている方にとっても、任意整理はとてもメリットの多い手続きと言えるでしょう。

任意整理をする2つのデメリット

債務者のみが一方的に有利になる任意整理は、当然無傷というわけにはいきません。債務者が任意整理をした場合には、下記2つのデメリットが起こり得るでしょう。

  • 個人信用情報にキズがつく
  • 債権者によっては和解交渉に応じない

次に、任意整理をする際のデメリットについても見ていきましょう。

個人信用情報にキズがつく

任意整理手続きをすると、あなたの個人信用情報に事故情報が掲載されてしまいます。これはいわゆるブラックリストのことであり、事故情報が消えるまでの期間は新たにローン契約を締結したり、クレジットカードを作成したりすることができません。

ただ、一生事故情報が掲載され続けるわけではなく、一定期間を経過すると事故情報が消滅して真っ白な状態になります。

日本国内には3つの個人信用情報機関がありますが、いずれの機関も任意整理の場合は5年間で掲載が終了します。ただ、いつから5年間なのか?については、専門家でも意見が分かれてしまうところです。

というのも、任意整理をして和解が成立した時点から5年経過後という見方もあれば、任意整理の和解が成立し、完済をしてから5年経過後という見方もあります。返済期間を3年間とすれば、和解成立から5年間なのか8年間なのか?というところになるでしょう。

これは一定期間経過後に自分自身で信用情報の開示請求を行い、確認をしてみるしかありません。ただ、これから任意整理をすることを考えるのであれば、一応、完済から5年間経過したあとに情報が消滅すると思っておいた方が良いでしょう。

MEMO
信用情報への事故情報掲載は任意整理以外でも起こり得ます。たとえば、長期間(2カ月〜3カ月)の滞納をした場合などが該当します。長期間の滞納は、滞納が解消されてから5年間は残り続けるため、早めに任意整理を検討されたほうが良いでしょう。

なお、信用情報から事故情報が消えたとしても、かならずローンやクレジットカードを作れるようになるとは限りません。というのも、キャッシュレス決済が進む昨今、クレジットカードを所有しているのが当たり前の時代です。

よって、一切の情報がない信用情報(いわゆるスーパーホワイト)は、カード会社やローン会社に金融事故を疑われてしまうためです。

「事故情報が消えた=何も情報がない状態」であるため、どうしても懸念されてしまうのは仕方のないことでしょう。とくに、30代以上の方であればクレジットカードを持っていて当たり前というのが一般的な見方です。

そのため、任意整理による事故情報が消えた直後に大きな買い物をするのではなく、まずは限度額が低いクレジットカード等所有してください。そして、信用情報を積み重ねてから大きな買い物をするよう心がけてください。

なお、あなたのクレジットカードやローンの申し込み履歴は半年間残り続けます。そのため、むやみに申し込みをしすぎると、いわゆる申し込みブラックになるのでその点も注意してください。

債権者によっては和解交渉に応じない

任意整理は交渉手続きである以上、和解交渉に応じない債権者がいてもおかしくはありません。実際、大手消費者金融の中には、任意整理に対して厳しく対応するところもあります。

たとえば、任意整理の交渉が長期間(3カ月以上)になる場合には、法的手続きに移行してしまうところもあります。中には、任意整理を断固として受け付けないところがあるかもしれません。

このように、任意整理は交渉であるために、各債権者によって対応が分かれてしまう点はデメリットと言えるでしょう。あなたが借金を減額してもらえれば返済できる、という意思があったとしても相手が交渉に応じなければ無意味です。

債務整理に長けている司法書士や弁護士等の専門家であれば、あなたの債権者や状況を鑑みて任意整理を進められるかどうかを判断できます。まずは、相談をして任意整理をすることによって得られる経済的メリットや、そもそも任意整理をできるのかについて判断をして貰えば良いでしょう。

なお、任意整理は「原則すべての利息をカットして元金のみを3年〜5年で完済する手続き」ですが、かならずしもそのようになるとは限りません。あなたの状況や債権者次第では、返済期間を2年以内に指定されたり、一部の利息を残さなければいけないこともあります。

すべての債務者が同じ効果を得られるとは限らないと覚えておいてください。

任意整理をできる人とできない人とは?

任意整理は誰でも手続きを開始することはできますが、すべての人が交渉に応じてもらえるとは限りません。もちろん「債権者」が断固として任意整理に応じない!ということもありますが、債務者(お金を借りている側)側の事情で任意整理をできない人もいます。

  • 主に任意整理をできない人の特徴は2つ
  • 返済能力がない人
  • 契約期間が短かい人

次に、任意整理に応じてもらえない債務者の特徴についてお伝えします。

返済能力がなければ任意整理は成立しない

任意整理は原則利息のみをカットして、元金を3年〜5年程度で完済を目指す債務整理手続きです。よって、元金のみを3年〜5年以内で完済できる見込みがない方は、そもそも任意整理が成立しません。

たとえば、任意整理の検討し始めたきっかけが、大幅な収入減によるものの場合。任意整理をしたところで、また返済に行き詰まることは明らかです。このようなケースでは、ほぼ確実に任意整理は成立しないでしょう。

あなた(債務者)の状況次第では、司法書士や弁護士に相談をした時点で、任意整理ではなく自己破産を勧められることも考えられます。そのような場合には、率直に自分の状況を見つめ直して、自己破産等を検討した方が良いでしょう。

なお、仮に司法書士や弁護士といった専門家が任意整理をできると判断し、手続きを勧めた場合であっても、債権者側が応じない可能性もあります。

あなたに返済能力がないにもかかわらず債権者に交渉を行うと、債権者は「また返済できない状態に陥るだろう…」と考えます。その結果、確実に借金を回収できる方法として、法的手続きへの移行や強制執行(財産や給料の差し押さえ)が始まるでしょう。

また、あなたが「毎月◯万円なら支払える」と考えていても、その返済金額で和解が成立するとも限りません。たとえば、借金の利息をカットできたとして、元金が100万円残ったとしましょう。

もし仮に5年間で完済を目指すとすれば、1カ月あたり約17,000円の支払いで済みます。自分が「毎月17,000円なら支払えるから任意整理をしよう」と思っていても、債権者が「3年以内で完済できなければ和解に応じない」という可能性もあります。

もしも3年間での完済を求められた場合には、1カ月あたり28,000円です。あなたは「17,000円なら払えるけど、28000円は無理…」となると、返済能力がないとみなされて交渉は成立しません。

無理をしてまで任意整理をした場合は、かならず返済不能状態に陥るでしょう。そのような結果が見えているならば、初めからその他の債務整理を検討した方が良いです。

中には2度の任意整理にも応じてくれる債権者はいますが、カットできる利息がない分メリットは少ないです。任意整理という手続き自体はメリットも多いですが、自分の収支状況に合わせた選択されるよう心がけてください。

契約期間が短い人は交渉に応じてもらえない可能性が高い

契約期間が極端に短い人は、任意整理交渉に応じてもらえない可能性が高いです。仮に認められたとしても、とても厳しい和解条件を提示されると思っておいてください。

というのも、任意整理手続きは利息をカットする手続きであるため、債権者側が本来受け取れるはずだった利益分の損失が発生します。そのため、今まで多額の利息を支払ってきた人と比較して、まったく利息を返済していない人はとても厳しい条件になり得ます。

たとえば、あなたが消費者金融から100万円を借りて1度も返済することなく、任意整理をしようとした場合です。債権者側は100万円を貸して100万円を返してもらうだけになるため、1円の利益も発生しません。

あなたに費やした経費を考慮すれば、むしろ債権者側がマイナスになってしまいます。本来得られるはずだった利息をカットするだけならまだしも、マイナスになることは許されません。

よって、このようなケースでは金利を引き下げて和解が成立したり、そもそも和解が成立しなかったりなどの影響が出るでしょう。「利息の全カット」はとても難しいと思っておいてください。

任意整理を検討するべき人の特徴

債務整理手続きには、利息をカットして元金のみの返済を継続する任意整理のほか、借金を大幅に圧縮できる個人再生や、すべての借金を0にできる自己破産があります。

減額できる金額だけで見れば、任意整理がもっとも少なく自己破産がもっとも多くなるでしょう。では、そのような中であえて任意整理をすべき人とはどのような人なのでしょうか?

あえて任意整理を検討すべき人の特徴は下記の3つです。

  • 少しの減額で確実に完済を目指せる人
  • 特定の債務だけを整理手続きしたい人
  • 資格制限を受ける可能性がある人

次に、任意整理を検討するべき人の特徴とは?について詳しくお伝えします。

少しの減額で確実に完済を目指せる人

何度もお伝えしていることですが、任意整理は利息をカットする手続きであるため、減額できる金額は少ないです。そのため、任意整理を検討するべき人の特徴として、少しの減額で確実に完済を目指せる人があげられます。

たとえば、リボ払いの返済で返しても返しても終わらないから、元金のみを返済して完済を目指したい人などが該当するでしょう。

また、任意整理は最低限の返済能力を求められています。返済能力があり、少しだけでも減額を見込めれば完済できるという方は、あえて任意整理を選択しても良いでしょう。

逆に、少しの減額ではどうしようもできない方は、自己破産等の債務整理手続きを検討した方が良いです。

特定の債務だけを整理手続きしたい人

任意整理はひとつの債務から整理手続きが可能です。

たとえば、Aという消費者金融からお金を借りており、さらにBという会社で自動車ローンを組んでいた場合、自動車を残しておくために「Aのみ」を任意整理できるのが特徴です。

他の債務整理手続きでは、原則すべての債務が借金が対象になってしまうため、上記のケースでは車を手放さなければいけません。仕事やプライベートで車を利用される方や、どうしても整理手続きをおこないたくない借金がある場合には、任意整理を洗濯されたほうが良いでしょう。

なお、先ほどもお伝えした通り、クレジットカード等であれば他社で任意整理をした時点で、途上与信時に利用停止や強制解約になる恐れがあります。その点は注意しながら本当に任意整理で良いのか?について考えると良いでしょう。

資格制限を受ける可能性がある人

債務整理手続きのうち、自己破産は破産手続き開始決定から免責許可決定までの期間、就けない仕事(資格制限)があります。たとえば、警備員や生命保険募集人、宅建士等が該当します。

資格制限一覧はこちら

これらの資格制限に該当する仕事に従事している方は、選択肢として任意整理もしくは個人再生しかありません。

そして、個人再生は借金を大幅に減額できるという特徴はあるものの、最低でも100万円の借金が残ります。もしもあなたが給与所得者ならば、可処分所得(手取り給与)2年分の借金は残ってしまいます。

借金総額が非常に高額なのであれば、個人再生を検討しても良いですが、数百万円程度であれば任意整理で解決できないかどうかを確認された方が良いでしょう。

任意整理をできない場合の対処法とは?

何らかの事情で任意整理手続きをすることが難しい方は、他の債務整理手続きを検討するか、収入を増やして確実な完済を目指してほうが良いでしょう。

最後に、任意整理をできない場合に検討すべき対処法についてもお伝えします。任意整理意外にも、借金を確実に減らしたり完済したりできる方法はあるので、ぜひ参考にしてください。

破産の申し立てを検討する

任意整理をすることが難しい方は、自己破産の申し立てを検討したほうが良いでしょう。任意整理をできない理由が、契約期間短かったとか債権者が交渉に応じないということであれば、個人再生という選択肢も視野に入れたほうが良いです。

しかし、任意整理をしたところでそもそも返済できる見込みがない方や、個人再生をしたところで借金返済が難しい方は、破産を検討するべきでしょう。

自己破産手続きはあなたの借金をすべて免責(0にすること)にする手続きです。よって、任意整理や個人再生とは異なり、1円も借金が残りません。もう一度0から人生をやり直したい方や、任意整理が難しい方はやはり破産手続きを検討するべきでしょう。

なお、自己破産手続きは借金をすべて無くす手続きであるため、相応のデメリットがあります。たとえば、一定以上の財産を処分しなければいけない、すべての借金が対象になるため、車や家のローンがある場合には手放さなければいけないなど。

任意整理と比べてしまうと、やはりデメリットが目につきやすいでしょう。とはいえ、自分で借金問題を解決できず、任意整理も難しい状況ならば、破産手続きを検討されてみてはどうでしょうか。

MEMO
どのような債務整理手続きをするか自分で決められていなくても、まずは司法書士や弁護士といった専門家へご相談ください。あなたの借金総額や生活スタイルに合った債務整理手続きや、借金解決方法をかならず提案してくれるので安心をしてください。

収入を増やして確実な完済を目指す

任意整理ができず、その他の債務整理を検討することも難しいならば、自分の収入を増やして確実に完済を目指せば良いでしょう。

そもそも、任意整理は「利息」をカットする手続きです。言ってしまえば、利息しかカットできません。そのため、毎月利息分くらいの収入を増やせれば、任意整理をしなくても確実に完済を目指せるようになるでしょう。

たとえば、あなたが年率15%で100万円の借金を抱えている場合、1カ月(30日)あたり12,328円の利息です。借金総額が200万円なら25,000円程度です。そのくらいの収入であれば、少し多めに残業をしたり、収入を増やす努力をすれば届くはずです。

【利息早見表】

借金総額 年率15%の場合 年率20%の場合(遅延利率)
100万円 12,328円 16,438円
200万円 24,657円 32,876円
300万円 36,986円 49,315円

たとえあなたが300万円の借金を抱えていて、滞納をして遅延損害金を請求されている場合であっても、5万円あれば利息を返済できます。5万円分を残業等で増やすのは困難かもしれませんが、空いた時間を有効活用して副業等をすれば無理なく返済できるはずです。

今返済しているお金に加えて、副業で得た収入も返済に充てられれば、任意整理をしなくても無理なく借金の完済を目指せるでしょう。

なお、公務員ではない限り、副業は原則認められるのが一般的です。会社内で「副業禁止」と謳っている場合であっても、まずは交渉をすることから始めてください。本業に支障がない範囲で副業を始めて確実な返済を目指されてみてはどうでしょうか。

まとめ

今回は、任意整理とは何か?についてお伝えしました。

任意整理を一言で言うならば「利息をカットして元金のみを原則3年以内で完済をする手続き」とのことでした。任意整理は、借金の利息部分をカットできるため、債権者側が大きく損失を受ける手続きです。

そのため、任意整理をすることによって、金融事故情報が掲載されたり、しばらくの間は各種ローン契約が難しいなどのことが発生します。それでも、利息をカットできるというのは、とてもメリットが大きいと言えるでしょう。

そして、任意整理手続きはその他の債務整理とは異なり、あくまでも「交渉」であることから、応じてもらえない可能性があります。万が一、債権者側が断固として任意整理に応じなければ、あなたは任意整理をすることができません。

また、仮に任意整理には応じられたとしても、債権者次第では厳しい和解条件を提示されることもあるでしょう。任意整理手続きは利息をカットできる可能性がある反面、かならずしも万能な手続きとは言い切れません。

あなたが本当に任意整理をするべきなのか?それはわかりませんが、もしも任意整理を検討されているのであれば、今回お伝えしたことをぜひ参考にしてください。

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