住民税の一括請求を払えない時は市役所に相談を!支払いやすい環境を作るコツも解説

住民税の一括請求を払えない時は市役所に相談を!支払いやすい環境を作るコツも解説

住民税は前年の所得を前提に請求されることから、仕事を辞めたり転職したりするタイミング次第では、請求額を払えないという事態におちいります

ただ、仕事をして収入を得ている以上は、原則として住民税の支払い義務から逃れることはできません。

そこで今回は、住民税を一括請求されたのに払えないとどうなるのか、また、住民税を払えないときの対処法を解説します。あわせて、借金が原因で住民税を払えないときの生活再建方法も紹介するので、返済などでお困りの債務者は最後まで参考にしてください。

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この記事の監修者

近藤邦夫

司法書士法人 浜松町歩法務事務所」代表司法書士。 愛知県岡崎市出身。 昭和64年早稲田大学法学部卒業。 長年にわたり、債務整理を行い、 また宅地建物取引士の資格を生かし、不動産登記や商業登記も行なっている。

目次

住民税の一括請求を払えないときはすぐに市役所へ相談する

住民税の一括請求を払えないときには、すぐに市役所に相談することをおすすめします。

なぜなら、支払えないまま放置をしたところで請求分の支払義務は残ったままですし、期限を落とすとデメリットがどんどん大きくなるからです。

そこで、ここからは、住民税を払えないときの対処法及び滞納を継続した場合に生じるデメリットを紹介します。

住民税を払えないときの対処法は全部で3つ

まずは、一括請求された住民税を払えないときの対処法を押さえましょう。納付期限が迫っているのならすみやかに対応する必要がありますし、仮にすでに滞納している場合でも、対応がはやいほどペナルティを回避・軽減できるからです。

具体的な対処法は次の3つです。

  • 分割払いを交渉する
  • 納付期限を延長・猶予してもらう
  • 住民税の支払い額自体を減免してもらう

それでは、それぞれの方法について確認していきましょう。

注意
住民税を一括請求された人のなかには、「住民税も借金と同じように債務整理などで減免できるのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、個人間の契約によって負担した借金と国民・住民の義務として負担する住民税は性質が異なります。したがって、住民税は債務整理では減免できないので、自己破産や任意整理などで住民税の一括請求に対応することは不可能です。

分割払いを交渉する

すでに支払い期限が到来しているかにかかわらず、住民税は一括請求を分割払いに変更することができます

一括請求がきたという人のなかには、まだ支払い期限を過ぎていないという人もいるでしょう。

そこで、支払い期限の前後に分けて、分割払いの方法について解説します。

住民税は最初から分割払いが認められている

住民税の一括請求の支払い期限が到来していないのなら、特別な交渉をすることなく分割払いにできます。

住民税の支払い方法には”特別徴収”と”普通徴収”の2種類が用意されており、いずれにしても分割払いが可能です。

  • 特別徴収:従業員の住民税を雇用主が代わりに支払う方法。住民税は毎月の給与から天引されているので、最初から12分割で支払っているのと同じ状況。
  • 普通徴収:自営業・派遣・フリーターなど、自分で住民税の支払いを行う場合のこと。一括と4期分割を選択できる。

会社員の場合には、ほとんどのケースにおいて”特別徴収”の方法で毎月給与から住民税が天引きされているので、「一括請求を払えない」という事態にはおちいりません。

その一方で、自営業・派遣・フリーターなどの場合には、自分で納税手続きを行う必要があるために、一括払いと4期分割払いのどちらかを選択することになります。

一括払いなら6月末日、4期分割払いなら6月・8月・10月・翌年1月が納付期限になるので、支払い期限までにお金を用意しておきましょう。

MEMO
お住まいの自治体によっては住民税をクレジットカードで支払える場合があります。たしかに、リボ払いや分割払い(3回・5回・6回・10回・12回)なら住民税の支払い負担を軽減できるでしょう。ただし、分割払い・リボ払いでは各種手数料・利息が発生するので、健全な家計管理の観点からはおすすめできません

参照:クレジットカード納付について – 東京都主税局

滞納分の住民税の一括請求も分割交渉できる

すでに支払い期限を徒過した住民税の一括請求についても、未納者の状況に応じて分割払いが認められる可能性があります。すでに滞納している以上、すみやかに市役所の相談窓口まで問い合わせましょう。

ただし、どのような分割方法でも自由に設定できるというわけではありません。

分割払いが認められるかは窓口担当者との交渉具合によってケースバイケースですが、役所から認められる分割払いの条件は次のような目安を参考にしてください。

  • 滞納状況が深刻ではない
  • 1回あたりの支払い額が1万円以上
  • 分割回数は12回まで

また、未納者の態度が悪く、「支払う意思がない」と捉えられると分割払いが認められない可能性があります。

したがって、一括請求された住民税の分割払いが認められるかは未納者の個別事情に左右されるということを覚えておきましょう。

参照:納税困難な方の分割納付・猶予等のご相談をお受けしています – 中野区

注意
交渉によって分割払いが認められたケースでも、支払い途中で財産・給与などが差し押さえられる場合があります。交渉の場面だけではなく住民税の総額を支払いきるまでは、誠実な態度で滞納なく分割払いを継続しましょう。

納付期限を延長・猶予してもらう

住民税の分割払いさえ難しいなら、支払い期限の延長・猶予という方法が考えられます。延長・猶予が認められるのは次のような”やむを得ない事情”がある場合です。

  • 新型コロナウイルス感染症の影響で支払い手続きができない
  • 病気・怪我などを理由に収入が落ちこんだ
  • 仕事を解雇された

延長・猶予が認められている期間は、延滞金の発生が免除され、また、差し押さえなどの滞納処分も待ってもらえます。したがって、どうしても期限までにお金を用意できない場合には、かならず延長・猶予申請を行いましょう。

なお、延長・猶予が認められる期間は自治体によって異なります。90日の期限延長や1年近く猶予してくれるケースもあるので、市役所の窓口までご相談ください。

参照:市税の猶予制度について – 岩倉市

住民税を減免してもらう

自治体ごとに住民税の減額・免除制度が定められています。減額・免除の要件は、次の項目ごとに詳しく定められているので、自治体の窓口までお問い合わせください。

  • 生活保護を受給している場合
  • 失業した場合
  • 所得が前年の6割以下に減少すると想定される場合
  • 障がい者・未成年者・寡婦・ひとり親の場合
  • 災害などの被害を受けた場合

参照:個人市・府民税の減額・免除制度について – 大阪市

注意
住民税の減免制度を利用するには、支払い期限を過ぎていないことが前提とされます。せっかく住民税の免除を受けられるのに滞納してしまうと全額の支払い義務から逃れられないので、かならず余裕をもって申請しましょう。

住民税の一括請求を払えないまま放置するのはNG!リスクが大きくなるだけ

住民税を普通徴収の一括払いで支払う場合、翌年の6月末日に納付期限が到来します。転職やコロナ禍の不況で今年度の収入が大幅に減少などすると、遅れてやってくる住民税を支払えないということもあるでしょう。

ただ、市役所の窓口に相談をしないまま滞納を続けてしまうと、次の2点のデメリットが生じます。

  • 延滞金が発生する
  • 財産・給与などが差し押さえられる

各デメリットについて、詳しく見ていきましょう。

延滞金の負担が発生する

納付期限までに住民税を支払わないと、滞納翌日から延滞金が発生します。

延滞金の算定基準は毎年の”延滞金特例基準割合”によって変動しますが、現在、延滞金は次のような延滞金年利率を基準に算定されます。

対象期間 納付期限翌日~1カ月 納付期限1カ月経過後~
令和3年1月1日~ 2.5% 8.8%
平成30年1月1日~令和2年12月31日 2.6% 8.9%
平成29年1月1日~平成29年12月31日 2.7% 9.0%
平成27年1月1日~平成28年12月31日 2.8% 9.1%
平成26年1月1日~平成26年12月31日 2.9% 9.2%
平成22年1月1日~平成25年12月31日 4.3% 14.6%

参照:市税の延滞金 – 大阪市
参照:延滞金がかかる場合があります – 練馬区

ここから分かるように、延滞期間1カ月を境目にして、延滞金の負担が重くなります。

特に、納付期限から1カ月以上住民税を払えないままだと、消費者金融などからの借入利率並みの延滞金です。すみやかに住民税の延滞状況を改善する必要性をご理解いただけるでしょう。

MEMO
たとえば、令和3年に住民税10万円を50日滞納している場合の延滞金は次のような形で求められます。
(10万円 × 2.5% ÷ 365日 × 30日) + (10万円 × 8.8% ÷ 365日 × 20日) = 687円

財産・給与などが差し押さえられる

住民税を延滞しつづけると、やがては財産・給与などが差し押さえられて滞納処分により回収されます。

行政側が差し押さえに踏みきるタイミングについて画一的な基準があるわけではありません。ただ、滞納状況や支払う意思の有無などの事情が総合的に考慮されて担当者の判断でおこなわれることから、「住民税の一括請求を払えないままだといつ財産が差し押さえられても仕方がない状態」だと考えられます

(市町村民税に係る滞納処分)
第三百三十一条 市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
一 滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。

引用元:地方税法

もっとも、ある日いきなり財産・給与などが差し押さえられるわけではなく、滞納処分に至る前に、滞納者に対しては次の流れで督促が行われるので、差し押さえの予兆を知ることは可能です。

  • 督促状:滞納すると最初に郵送される書類。納付書が同封され、延滞金と合わせた金額の納付期限が記載されている。
  • 催告書:督促状の後に郵送される書類。督促状の内容に加えて、「未納の場合には強制執行に踏みきる」旨が記載されている。
  • 差押予告書:延滞が深刻な状態で郵送される書類。将来的な差し押さえが現実的になったことが分かる。

このように、住民税を払えないままの未納者に対しては順次書類による督促が繰り返されるので、滞納処分に進む前の段階で市役所に連絡をして支払い方法の変更や猶予申請などを行いましょう。

MEMO
市役所側から行われる督促行為は「郵便物の送付」がメインです。電話や自宅訪問が行われることはほとんどありません。ただし、延滞状況が長期に及ぶなど悪質な未納者に対しては厳しい取り立てが行われる可能性があるので注意が必要です。
一定範囲の財産などは差し押さえの対象外

未納住民税を回収するために”債務者名義の財産・給与・預金口座”が処分対象になることが多いですが、一定範囲のものについては差し押さえの対象外とされています。

なぜなら、未納住民税を回収するためとはいえ、何の制限もなく未納者の財産などの差し押さえが許されるとすると、滞納処分によって未納者やその家族が健全な日常生活を送れなくなるリスクがあるからです。

したがって、次に挙げる財産・給与などは差し押さえの対象から除外されるので、「いきなり明日からの生活が困難になる」という事態は回避できます。

  • 給与額の3/4(ただし、給与額が44万円以上の場合は保護されるのは33万円まで)
  • 生活に必要な家具など
  • 子どもの教育に関連する物品
  • 66万円までの現金
注意
銀行との間でローン契約などを締結している状態で、当該銀行口座が住民税の差し押さえの対象になると、ローンの残債が一括請求されます。預金残高ではローン残債の一括請求に耐えられないと、銀行口座が凍結するリスクも。その他引き落としができない状態になるのでご注意ください。

住民税は債務整理では減免できない

「お金を請求されている」という意味では、住民税も借金も同じです。そのため、借金問題を債務整理で解決できるように、「住民税も債務整理で減免できるのでは?」と考える人は少なくありません。

しかし、債務整理で支払い状況を改善できるのは、金融機関などからの借入や一部の損害賠償請求などだけ。税金・罰金・養育費・重過失等を理由とする損害賠償請求などは、債務整理をもってしても減免不可能です。

したがって、住民税を払えないときには、かならず市役所窓口まで分割払い等の交渉に行きましょう。

住民税の消滅時効は期待できない

住民税の消滅時効は5年なので(地方税法第18条)、未納のまま5年が経過しているものについては支払う必要はありません。

ただ、現実問題として、住民税の消滅時効を期待するのは難しいと考えられます。なぜなら、消滅時効には中断事由が定められているからです。

たとえば、債権者側が差し押さえ手続きに踏みきったり、あるいは、債務者側が承認行為をしたりしたときには、期間がリセットされてしまいます。

そして、行政側が住民税の未納行為をそのまま5年間放置することは考えられません。かならずといっていいほど消滅時効が完成するまでの間に督促が繰り返され、どこかのタイミングで強制執行にまで踏みきられます。仮に転居したとしても、住民票などの情報から簡単に居場所が判明するでしょう。

したがって、住民税の一括請求を払えないとしても消滅時効の完成を期待するのではなく、強制執行が行われる前に分割交渉などを行ってください。

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借金が原因で住民税を払えないなら債務整理などを検討しよう

住民税の一括請求を払えない人のなかには、転職や収入減が理由で支払いが難しいというだけではなく、”借金の返済負担が原因で住民税を支払う余力がない”という債務者もいるはずです。

ここで押さえるべき点は、「債務整理では住民税を減免することはできないが、借金問題なら大幅に改善できる」ということ。つまり、現在抱えている借金問題を債務整理で片づければ、住民税の一括請求も払えるようになるということです。

ただ、債務整理には任意整理・個人再生・自己破産の3つの手続きがあるので、債務者の生活再建に適切な方法を熟慮する必要があります。

そこで、ここからは、各債務整理手続きの特徴を紹介するとともに、どのような形で住民税を払える環境が整うのかを説明します。

なお、債務整理以外にも借金問題を解決する方法はいくつか考えられます。以下のリンク先のなかで、家計管理の方法や完済を目指しやすくする方法を具体的に紹介しているので、あわせてご参考ください。

借金を早く返す方法は意外と簡単?どうしても返済できないなら債務整理を検討しよう 借金を早く返す方法は意外と簡単?どうしても返済できないなら債務整理を検討しよう

任意整理なら将来利息を免除できるので住民税を払いやすくなる

任意整理とは、借金の将来利息の支払いをカットできる債務整理手続きのことです。

実は、消費者金融などからの借入では、債務者はかなり厳しい利息負担を強いられています。

たとえば、借金総額や返済期間次第では、完済までに借入元本総額以上の利息負担が発生することも珍しくはありません。これでは、どれだけ真面目に返済を継続しようとも、債務者の家計状況は厳しくなるばかりです。

任意整理を利用すれば、残りの返済期間は利息の支払いが免除されます。裁判所を利用せずに債権者と直接交渉できるので、他の債務整理手続きと比べると手間もかかりません。

したがって、本来ならば利息に充てていた分をそのまま住民税の支払いに回しやすくなるでしょう。

なお、任意整理の詳しい説明は「任意整理とは何ですか?」で解説しているので、あわせて参考にしてください。

注意
任意整理を利用すると、債権者との和解が成立してから約3年で完済するスケジュールが組まれます。つまり、借金残債額次第では、任意整理利用前よりも毎月の返済額が増える可能性も。この場合には住民税を支払う余裕を作れません。したがって、任意整理後にどのような返済計画になるのかを、事前に司法書士などの専門家に相談するのがおすすめです。

個人再生なら借金を減額できるので住民税を払いやすくなる

個人再生とは、借金元本額の大幅な減額を狙える債務整理手続きのことです。

将来利息のカットしかできない任意整理とは違って、現在抱えている借金元本自体を減額できます。つまり、個人再生を利用すれば任意整理以上に住民税を払いやすい家計状況が生まれるということです。

借金総額に応じてどこまで返済額を減額できるか基準が定められているので、こちらをご参照ください。

100万円未満の場合:負債額全部
100万円以上500万円未満の場合:100万円
500万円以上1,500万円未満の場合:負債総額の5分の1
1,500万円以上3,000万円以下の場合:300万円
3,000万円を超え5,000万円以下の場合:負債総額の10分の1

個人再生手続について – 裁判所HP

また、自己破産とは異なり、個人再生ではマイホームを手元に残せるという大きなメリットが得られます。

つまり、債務整理で大幅な減額を狙いつつ、現在の住環境を変更する必要がないので、「今の生活を維持したまま返済状況を改善したい」というニーズをみたせるということです。

なお、個人再生の詳しい説明は「個人民事再生とは何ですか?」で解説しているので、あわせて参考にしてください。

注意
個人再生の認可を受けるためには、原則3年で完済できる再生計画案を作成する必要があります。つまり、借金総額が比較的低額で個人再生でも減額効果を期待できないようなケースでは、任意整理を利用した場合と同じように、毎月の返済額が増える可能性が。したがって、個人再生を利用するとしても、事前に司法書士などの専門家に返済シミュレーションをしてもらうのがおすすめです。

自己破産なら借金を免責できるので住民税を払いやすくなる

自己破産とは、裁判所の許可を得て借金の返済義務を免責してもらう債務整理手続きのことです。

裁判所の免責許可を獲得できれば、その時点で借金生活は終了。住民税の支払いがしやすくなるだけではなく、返済ストレスのない環境で生活の立て直しを目指せます。

ただし、自己破産を利用する際には、返済義務がなくなるというメリットを得るのと引きかえに、債務者名義の財産を処分しなければいけないなど、大きな代償を払わなければいけません。

したがって、自己破産で借金問題の解決を目指す場合には、メリットとデメリットを丁寧に比較してから手続きに踏み出しましょう。

なお、個人再生の詳しい説明は「自己破産とは何ですか?」で解説しているので、あわせて参考にしてください。

注意
自己破産で手元に残せる財産は、99万円までの現金・20万円までの預貯金などというように限りがあります。確かに自己破産後には返済から解放されるので住民税を払いやすい環境が整うものの、住民税の一括請求に応じたあとは生活資金に不安が生まれる可能性も。したがって、現在の収入事情なども総合的に考慮して自己破産の利用を検討しましょう。

債務整理でも住民税の一括請求を払えないなら生活保護などを検討しよう

すでに住民税の一括請求を滞納している、あるいは、住民税の支払い期限が迫っているという状況では、時間をかけて債務整理手続きをしている余裕がないという債務者も少なくないはずです。

その場合には、行政の各種支援制度の利用をご検討ください。間違っても、住民税の支払いなどのために他社からの借入を頼ってはいけません。

MEMO
債務整理を司法書士などの専門家に依頼した場合には、専門家が債権者に受任通知を送付した段階から借金の返済をストップできます。つまり、債務整理を思い立った段階から家計に余裕を作れるということ。「専門家の費用を支払う余裕がないから…」という考えにも一理ありますが、専門家に依頼をした方が早期に困窮状態から抜け出せます

緊急小口資金なら一時的に生活費を借り入れられる

生活福祉資金貸付制度の一環である”緊急小口資金“制度を利用すれば、生活費が苦しいなどの事情で困っている場合でも行政から借入可能。従来は貸付上限額は10万円でしたが、新型コロナウイルスの影響で20万円までの借入が認められています

無利子・保証人不要・据置期間1年・償還期限2年以内というように、利用者側の経済状況に配慮したかたちで融資が行われているので、消費者金融などからの借金よりもよほど良心的です。

お住まい地域の社会福祉協議会が相談窓口になっているので、一時的な生活費不足などでお困りの方はご検討ください。

参照:生活福祉資金貸付制度 – 厚生労働省
参照:生活福祉資金の特例貸付 – 厚生労働省

注意
住民税の支払いや借金の返済を目的に行政から融資を受けるのは禁止されています。その一方で、住民税の支払いなどが原因で経済的に厳しい家計状況に追いこまれた場合は融資対象です。

生活保護制度なら自立できるまで必要な支援を受けられる

生活保護とは、国民の最低限度の生活を保障するために設けられている福祉支援制度のこと。資産状況や収入などを総合的に考慮し、制度利用希望者の実情に沿った形でいろいろな支援が行われます。

たとえば、食費・被服費・光熱費が必要なら「生活扶助」、家賃が必要なら「住宅扶助」、子どもの教育費が必要なら「教育扶助」など、利用目的に応じて助成額が決められる点が特徴的です。

生活保護を活用すれば最低限の生活費が保障されるので、融資を受けている間に生活を整えることができます。生活保護受給期間中に就職活動や生活拠点探しなどに集中して取り組めば、将来的には生活保護の受給なしで自立できる生活環境が整うでしょう。

したがって、住民税の支払い方法などを交渉するために市役所に足を運んだついでに、生活保護などの支援制度についてもあわせて相談することを強くおすすめします。

参照:生活保護制度 – 厚生労働省

MEMO
生活保護は申請すれば誰でも利用できるものではありません。なぜなら、本当に受給が必要な人を見定める必要があるからです。この点、受給希望者側が司法書士などの専門家からの相談を受けている方が行政担当者との交渉を進めやすいと考えられるので、本当に受給を検討している方は、ぜひ司法書士などの専門家の力を頼りましょう。

公的融資制度は幅広く用意されている

その他、緊急小口資金や生活保護以外にも、次のような形で公的融資制度は幅広い利用者を想定して多数設けられています。

  • 生活福祉資金貸付制度
  • 求職者支援資金融資制度
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付
  • 年金担保貸付
  • 教育一般貸付
  • 看護師等修学資金

いずれの制度も行政などの公的制度なので、消費者金融などからの借金のように債務者側が不利な条件で貸付を受けるものではありません。

住民税の支払いを契機に家計が困窮状態におちいる可能性が高い人は、利用できる制度がないか行政の窓口までご相談ください。

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住民税を払えないときは家計の見直しからスタートしよう

住民税の一括請求を払えないときは、できるだけ早いタイミングで市役所に分割払いなどの交渉に行きましょう。なぜなら、一括請求を払えないままでは延滞金などのペナルティが重くなるだけだからです。

その一方で、他の借金が原因で住民税の一括請求を払えないのなら、債務整理で借金問題を解決しつつ、住民税を払えるだけの環境を整えるのがおすすめ。返済ストレスから解放されれば、過度な負担のない日常が手に入るはずです。

そして、その際には、かならず司法書士などの専門家に相談するようにしてください。なぜなら、どのような形での生活再建を目指すにせよ、債務者の家計が厳しい状況におちいっている原因を客観的に分析するプロセスが欠かせないからです。

必要な公的融資制度にかんするアドバイスも得られるので、相談して損はありません。どうぞお気軽にご相談ください。

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