毎月10万円借金返済する事は可能?返済が厳しいときに検討すべき債務整理手続き

毎月10万円借金返済する事は可能?返済が厳しいときに検討すべき債務整理手続き

日本人の平均年収を考えると、住宅ローンを除く、毎月10万円の借金返済はかなり厳しいでしょう。とくに、2人以上の世帯になれば借金の返済が厳しいと感じる世帯は増加するはずです。

そこで今回は、現実的に考えて毎月10万円の借金返済は可能なのか?について、いくつかの世帯人数に分けて、シミュレーションをもとに詳しくお伝えします。

「借金の返済が厳しい」「毎月10万円の借金返済は厳しいのかな…?」と思われている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

近藤邦夫

司法書士法人 浜松町歩法務事務所」代表司法書士。 愛知県岡崎市出身。 昭和64年早稲田大学法学部卒業。 長年にわたり、債務整理を行い、 また宅地建物取引士の資格を生かし、不動産登記や商業登記も行なっている。

毎月10万円の借金返済は現実的に厳しい?

毎月10万円の借金返済が厳しいか否かは、借金の内容や債務者の収入状況、家族構成によって異なります。たとえば、一般的な家族構成で一般的な年収で、住宅ローン返済のための「10万円」であれば厳しくはないでしょう。

一方で、一般的な家族構成、一般的な年収で消費者金融等からの借り入れで「10万円」であれば、返済・完済はほぼ100%無理でしょう。

上記のように、いくつかの内容によって借金返済が可能か否かが異なります。いくつかの家族構成や年収に合わせた返済計画をもとに、借金10万円の返済は可能か?についてお伝えします。

「住宅ローンの借金」なら年収次第で現実的

住宅ローンの借金であれば、返済比率は30~40%以内であれば現実的です。住宅ローンによる借金の返済比率は、下記の計算式で算出します。

【1年間での借金返済額÷年収✕100=返済比率】

毎月10万円の返済であれば1年間で120万円、日本人の平均年収は436万円(※国税庁データ参考)なので、返済比率は下記のとおりになります。

【120万円÷436万円✕100=27.5%】

27.5%(小数点以下四捨五入)になるため、毎月10万円の返済は「現実的」です。ただ「現実的=返済できる」ではありません。少しでも返済が厳しいと感じるのであれば、生活スタイルの見直しや返済計画の見直しが必要でしょう。

参考:国税庁|民間給与実態統計調査結果(P3)

返済比率が可処分所得の30%を超えているならかなり危険

住宅ローン以外での借金であれば、可処分所得の30%を超えると一般的に見て「返済が厳しい状況」と言えます。可処分所得とは、総所得金額から社会保険料や各種税金を差し引いた手取り金額です。

毎月10万円の返済をするのであれば、最低でも33万円程度の手取り金額がなければ返済は厳しいでしょう。仮に33万円の可処分所得から、10万円の返済をしたとすれば手元に残るお金は23万円です。

総務省のデータによれば、1世帯の総支出平均(1カ月あたり)は「233,568円」であるため、平均的な生活はできる計算になります。

ただ、世帯人数が増えれば支出が増えるのは当然です。かならずしも「手取り33万円の収入があれば安全」とは言い切れないので、自身の状況をしっかり判断してください。

参考:総務省|家計調査

単身世帯の返済計画

単身世帯の平均支出は「150,506円」であるため、毎月10万円の借金を返済しようとすれば、最低でも25万円程度の可処分所得がなければ厳しいです。単身世帯で25万円の可処分所得を得ようとすれば、最低でも30万円~35万円程度の額面がなければいけません。

単純年収にすると360万円~420万円程度なければ、毎月10万円の借金返済は厳しい結果になります。

ただ、日本人の平均年収が約436万円なので、平均的な稼ぎがある単身者であればギリギリ10万円の返済はしていけるでしょう。

参考:e-Stat|家計調査

3人世帯の返済計画

3人世帯(夫婦+子1人)の平均的な生活支出は「23.5万円+家賃」です。仮に家賃支払いが10万円とすれば、支出合計は33.5万円です。

さらに10万円の借金を返済しようとすれば、可処分所得で43.5万円程度なければ生活はとても厳しいことになります。

額面価格で見れば月額あたり55万円~60万円(本人・子供の年齢によっても異なる)、単純に660万円~720万円程度の年収があればギリギリ返済可能と言えるでしょう。

ただ実際には、子供の養育費や進路状況、住まい等によっても大きく異なるため、かならずしも「安全」とは言い切れません。

また、年収700万円を超える人の割合はわずか15%前後と少数です。家族人数が増え、平均的な年収の人は月10万円の借金返済はかなり厳しいと思っておいたほうが良いでしょう。

参考:e-stat|家計調査

5人世帯の返済計画

5人世帯(夫婦+子3人)になれば支出も大きく増え「30.5万円+家賃」です。5人世帯ともなれば、そこそこ大きな住居を用意しなければいけないことから、家賃を12万円とすれば、毎月の支出は約42.5万円です。

さらに毎月10万円の借金返済を考えれば、可処分所得で「52.5万円」なければ厳しいでしょう。また、子供の教育状況や進路状況、年齢によって支出が大きく異なります。子供の人数が増えればその差はどんどん広がっていくでしょう。

仮に、10万円の借金返済も含め、52.5万円の支出で済むとすれば額面価格で70万円~75万円程度。単純840万円~900万円程度の額面年収です。

ここまでの年収になればいわゆる「高給取り」と呼ばれ、7%前後の人しかいません。

日本人の平均年収に照らし合わせれば、家族5人世帯で毎月借金10万円を返済するのはほぼ不可能と言えるでしょう。かろうじて、800万円~900万円程度の年収があればギリギリ返済が可能です。

参考:e-Stat|家計調査

毎月10万円の返済が厳しいときはどうしたら良い?

毎月10万円の返済が可能か否かは、各家庭状況や収入の状況によっても大きく異なります。仮に、1人世帯で平均的な収入を得ていたとしても、その人の生活状況次第では「返済が厳しい」と感じる方もいます。

かならず「こうなれば借金10万円の返済が可能」と、一概に言えることはありません。少しでも「借金の返済が厳しい…」と感じるのであれば、今すぐに債務整理を用いて借金問題を解決したほうが良いです。

毎月の借金返済額が10万円なのであれば、恐らく借金総額は数百万円に膨れ上がっているはずです。最低でも10万円程度支払わなければ、利息だけで借金が膨れ上がってしまうギリギリの状態と言えるでしょう。

債務整理には下記の3種類あるので、少しでも「借金の返済が厳しい」と感じているのであればいずれかの手続きを検討してください。

  • あらゆる「利息」をカットできる任意整理
  • 借金を最大1/10まで減額できる個人再生
  • 今あるすべての借金を免責できる自己破産

借金額が大きければ任意整理の効果は絶大

任意整理手続きは債務者に代わって弁護士(専門家)が債権者と交渉を行います。交渉の内容は各債務者の状況によって異なりますが、一般的には下記の「利息」をカットして元金を3~5年掛けて完済できるよう返済計画を作り、交渉を行います。

  • 最後の返済から現在までに発生している「経過利息」
  • 借金の延滞があるときに発生する「遅延損害金(遅延利息)」
  • 将来、当然に発生する「将来利息」

これらの「利息」は任意整理の交渉次第ですべてカットできる可能性が高いです。任意整理に必要な費用は1社あたり4万円~が相場であり、安価かつ簡単に手続きを開始できるのが最大のメリットです。

しかし、借金総額が大きければ大きいほど任意整理を行うメリットが非常に大きくなります。

たとえば、借金総額10万円の方が3年で完済しようとしたときと、借金総額100万円の方が3年で完済しようとしたときでは下記のような「差」が発生します。

借金総額 利息
10万円 24,812円
100万円 247,940円

※いずれも「年率/15%」で計算

毎月「10万円」という大金を返済に充てているのであれば、借金総額は数百万円になっていることでしょう。仮に、300万円~500万円の借金を抱えている方が3~5年で借金の返済を目指そうとしたときの将来利息は下記のとおりです。

【300万円の借金返済計画(15%)】

返済年数 将来利息 毎月の返済額
3年 743,856円 103,996円
4年 1,007,616円 83,492円
5年 1,282,200円 71,370円

借金総額300万円の方が、毎月の返済額を10万円に設定しているのであれば、おおよそ3年間での完済を目指しているのでしょう。仮に、3年で完済しようとすれば、将来利息だけで「743,856円」発生することになります。

任意整理手続きをすることで最低でも「743,856円」をカットできます。費用が4万円程度と考えれば、経済的なメリットは約70万円になるでしょう。

任意整理をして元金300万円のみを3~5年で完済しようとすれば、毎月の返済額は5万円~8.3万円まで抑えられます。現状で「借金の返済が厳しい」と感じている方であれば、任意整理をする効果はとても大きいでしょう。

【400万円の借金返済計画(15%)】

返済年数 将来利息 毎月の返済額
3年 991,796円 138,661円
4年 1,343,504円 111,323円
5年 1,709,600円 95,160円

400万円の借金を抱えている方の返済計画は4~5年での完済でしょう。仮に、毎月10万円の借金が厳しいと少しでも感じているのであれば、任意整理をしてください。最低でも130万円~170万円程度の減額が見込めます。

【500万円の借金返済計画(15%)】

返済年数 将来利息 毎月の返済額
3年 1,239,772円 173,327円
4年 1,679,392円 139,154円
5年 2,137,000円 118,950円

借金総額が500万円を超えてくると、毎月10万円の返済でも完済が難しくなります。仮に、5年で500万円の借金を返済しようとすれば、利息だけで200万円を超えます。最低限、毎月10万円ずつの返済であれば、6~7年利息だけで300万円弱支払わなければいけません。

逆に言えば、任意整理をすることで300万円弱の利息をすべてカットできる計算です。

任意整理に必要な費用は4万円+減額成功報酬が相場なので、経済的なメリットはとても大きいでしょう。

大きなデメリットを抱えてまで、個人再生や自己破産を選択されたくない方は、ぜひ任意整理を検討してください。

マイホームを残したいなら個人再生がおすすめ

マイホームを残したまま借金を「大幅」に減額したいのであれば、個人再生がおすすめです。個人再生は、借金を最大で1/10まで減額できる債務整理手続きです。

借金をすべて免責できる自己破産とは異なり、最低でも100万円の借金はかならず残ります。しかし、毎月10万円の借金返済をされている方であれば、100万円以上の借金を抱えているかと思います。

また、マイホームを持たれている方、処分したくない方もいるはずです。そういった方は、個人再生で借金を大幅に減額すれば良いでしょう。

なお、任意整理と個人再生どちらのほうが減額できるか?といえば、一般的には「個人再生」です。ただ、借金総額や返済状況、債務者の状況等を鑑みれば任意整理のほうがメリットが多いこともあり得ます。

一概にどちらが良いとは言い切れないため、まずは弁護士などの専門家へ相談されたほうが良いでしょう。

借金の返済が厳しいなら自己破産の検討が必要

毎月10万円の借金返済が厳しいとか、とにかく借金から開放されたいと望むのであれば、すべての借金を免責できる「自己破産」を検討してください。

自己破産は、一定以上の財産を失う代わりに債務者が抱えているすべての借金を免責(0)にする手続きです。当然、自宅や車など一定以上の財産を失うことになるため、デメリットは大きいでしょう。

その代わり、債務整理の中でも一番効果が大きい「すべての借金を免責する」というメリットがあります。いくつか紹介した債務整理と照らし合わせて、どの債務整理が自分にあっているか?検討してください。

無理のある返済計画はかならず破綻する

毎月10万円の借金返済は、かなり異常です。住宅ローンの返済ならまだしも、それ以外の借金返済であれば、一般的に見て「危険な状態」と言えるでしょう。

現状では「ギリギリ返済できている」と思っているかもしれませんが、無理な返済計画はいずれかならず破綻します。少しでも「返済が厳しい…」と感じているのであれば、早め早めに対応することで、最悪の事態は免れるでしょう。

「今月は返済がキツい」と感じることが数カ月続いたときや、「そろそろ返済が厳しいな」とか「借金を返したら生活できない」と感じることがあるときは、今すぐ債務整理を検討してください。

まとめ

今回は、借金10万円の返済は現実的なのか?についてお伝えしました。今回お伝えしたことをまとめると下記のとおりです。

  • 住宅ローン(借金)の返済で毎月10万円であれば、普通であり、一般的な収入があれば安全である可能性が高い。だけど、少しでも返済が厳しいと思うのであれば生活の見直しが必要
  • 住宅ローン以外で毎月10万円の借金返済があるのは危険。平均的な年収で単身世帯であれば、かろうじて返済は可能。だけど、安全とは言えないので要注意
  • 平均的な収入、2人以上の世帯で毎月10万円の借金返済はほぼ不可能。生活を圧迫している可能性が高いので今すぐに対処が必要
  • 毎月10万円の返済が厳しいのであれば、今すぐに債務整理の検討が必要。とくに任意整理をするメリットはとても大きい

住宅ローン以外で毎月の借金返済額が10万円もあるのは、とても危険な状態です。とくに、2人以上の世帯では、恐らく家計を圧迫していることでしょう。

今の状況が続けばそう遠くない未来にかならず破綻します。今すぐに収入を増やすことができるのであれば話は別ですが、難しいのであれば債務整理を検討するべきでしょう。とくに、任意整理をするだけでも経済的なメリットは大きいです。

今回お伝えした返済計画や、10万円の返済が厳しいときの対処法を踏まえ、少しでも「借金の返済が厳しい」と感じるのであれば、債務整理を検討してください。

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