クレジットカードの支払いが厳しいとき、「カード会社に相談をすれば待ってもらえるのではないか?」と考える人がいるでしょう。結論から言ってしまえば、待ってもらえる可能性はあります。
しかし、絶対に待ってもらえる確証はなく、あくまでも各カード会社や顧客の信頼度によるものです。そのため、待ってもらえなかった場合の対応方法についてもあらかじめ検討しておく必要があります。
この記事では、クレジットカードの支払いを待ってもらうことはできるのか?待ってもらえなかった場合の対応方法やリスクについて詳しく解説しています。カード代金の支払いが厳しい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
クレジットカードの支払いを待ってもらうことは可能
クレジットカードの支払いが厳しい場合、相談をすることで待ってもらえる可能性があります。しかし、「支払いを待ちます」と公表しているカード会社は存在しないため、その点には注意しなければいけません。
まずは、クレジットカードの支払いを待ってもらうことができるのか?について、詳しく解説します。
「支払いを待つ」と公表しているカード会社は存在しない
クレジットカードの支払いが厳しい場合、相談することで待ってもらえる可能性があります。しかし、その事実を公表しているカード会社は存在していないため、実際に待ってもらえるか否かは相談者とカード会社次第です。
つまり、クレジットカードの支払いを待ってもらうことができるのか?に対する答えは、「各社の判断次第」ということになります。絶対に待ってもらえるという確証はない点に注意してください。
カード会社によっては待ってもらうことができる可能性がある
カード会社によっては、待ってもらえる可能性があります。しかし、先ほども解説した通り、その判断はカード会社によって異なります。
何もせずに滞納をするよりも、事前に「支払いが厳しい」と相談をしておくことで、対応してもらえる可能性があるかもしれません。そのため、ダメ元で相談をされてみてはいかがでしょうか。
カード会社に相談をする際の注意事項
カード会社に相談をしても、支払いを待ってもらえるかどうかはわかりません。しかし、少しでも成功率を上げるためのポイントはいくつかあります。
これから解説する注意事項を参考に、カード会社への相談を検討されてみてはいかがでしょうか。
返済日前に相談をすること
カード会社へ支払日の相談をする際は、必ず返済日前に相談をするようにしましょう。「支払いが厳しい」と分かった時点、できるだけ早めが良いです。
なぜなら、早ければ早いほどさまざまな方法を検討できるためです。たとえば、カード会社によって支払日の◯日前までなら支払い方法の変更が可能である、ということがあり得ます。そのため、できるだけ早めに相談することに意味があります。
また、カード会社からしても印象が異なります。早めに相談をすることで「早めに相談していただいてありがとう、一緒に方法を検討していきましょう」となるためです。
万が一、返済日に遅れて連絡をしてしまった場合は、印象が悪くなり支払いを待ってもらえなくなる可能性があります。そのため、できるだけ早く、支払いが厳しいと分かった時点で相談をするようにしましょう。
具体的な日時を伝えること
支払い日時の相談をする際は、返済できる具体的な日時を伝えましょう。たとえば、給料日に返済できる場合は、「◯月◯日までに必ず支払いをします」などと伝える必要があります。そうすることで、返済を受ける債権者側が安心できます。
債権者側の気持ちに立ってみると、ただ単に「約束の返済日までに返済ができません」と言われても、どうすることもできません。正直なところ、「だから何ですか?支払いをしてもらわなければ困ります」と言われてしまうでしょう。
しかし、「約束の返済日までに返済ができません。できれば、◯月◯日までお待ちいただけませんでしょうか?」といったほうが債権者がいつまで待てば良いのか具体的にわかるため、返事をしやすいです。そのため、必ず返済できる日時を伝えるようにした方が良いです。
なお、一度延長してもらった日時までに返済できなかった場合、改めて相談をすることも可能です。しかし、2度目はとても厳しい目でみられるため、支払い期日の延長が厳しくなる可能性が高いです。十分に注意し、確実に返済できる日時を設定しておきましょう。
支払いをできる根拠を示すこと
返済日の相談をする際は、返済日時と合わせて支払いできる根拠を提示してください。たとえば、「◯月◯日に給料が支払われるため、必ず支払います」と伝えましょう。
上記のように伝えることで、債権者は「給料が入り次第、すぐに返済してくれるんだ」と安心できます。安心できれば、返済を待ってもらえる可能性が高くなります。
カード代金を支払えなかった場合に起こり得ること
カード代金の支払いは、毎月決まった日に行わなければいけません。もし、返済に遅れそうな場合は、相談することで待ってもらえる可能性があります。しかし、もしも待ってもらえずに滞納をしてしまった場合、さまざまなリスクが発生します。
次に、カード代金を支払えなかった場合に起こり得る6つのことについて詳しく解説します。
遅延損害金が発生する
カード代金の支払いに遅れてしまうと、遅延損害金が発生します。一般的なカードの遅延損害金は、14.8%以下(ショッピング枠の場合)であり、キャッシング枠の場合は20.0%です。
たとえば、約定返済日が27日であり、仮に10日間後の翌月7日に返済をした場合、10日分の遅延損害金が発生します。遅延損害金の計算方法は以下のとおりです。
【借入金額×遅延損害金利率÷365日×借入日数=遅延損害金】
上記条件に合わせて確認すると、以下の遅延損害金が発生します。なお、借入金額はいずれも100万円だったと仮定します。
ショッピングの場合
100万円×14.8%÷365日×10日=4,054円
よって、通常の支払い金額+4,054円の遅延損害金が発生します。
キャッシングの場合
100万円×20%÷365日×10日=5,479円
よって、通常の支払い金額+5,479円の遅延損害金が発生します。
上記のとおり返済金額が高額となる可能性があるため、返済に遅れないように注意しましょう。なお、カード会社に相談をして支払日を延長してもらった場合であっても、遅延損害金は発生します。そのため、できるだけ早めに支払いをできるようにしましょう。
督促を受ける
何も相談せずにカード代を滞納した場合、厳しい取り立てを受ける可能性がある点に注意してください。たとえば、以下のような督促を受けます。
- 電話による督促
- 書面による督促
- 自宅への訪問
- 職場への連絡
初めに、電話による督促を受ける可能性があります。電話を無視していると、毎日何度も連絡が来て「しつこい」と感じることでしょう。仮に電話に出たとしても「いつ支払いをするのか?」「早く支払いをしてください」といった内容のことを言われるのみです。
仮に、電話を無視していると、書面による督促を受けることになるでしょう。家族と同居している場合は、カード代金を支払っていないことが知られてしまう可能性もあるため、注意しなければいけません。
また、滞納期間が長期にわたる場合であって、電話や書面による連絡をしても返答がない場合は、自宅へ来られる可能性があります。
自宅に来られた場合であっても、その場で金銭を要求されたり、脅かされたりすることはありません。しかし、家族や近所の人に知られてしまう可能性があるため、注意しなければいけません。
もし、訪問に来られても一切の対応をしなかった場合は、職場へ連絡されてしまう可能性があります。職場を介して「本人に連絡をするように伝えてください」と言われてしまいます。
会社の人にもカード代を支払っていないことが知られてしまい、惨めな思いをすることになるでしょう。そうならないように、事前に相談をしたり早急に支払いを済ませたりする努力をしましょう。
カードの利用停止を受ける
カードの支払いに遅れてしまうことを相談せずに滞納した場合、カードの利用を停止されてしまう可能性があります。利用停止となるタイミングはカード会社によって異なりますが、早ければ返済日の翌日に停止されます。
カードの利用ができなくなってしまうと、各種引き落としにも影響が出るため注意しなければいけません。
なお、カード会社に相談をして支払日の延長をしてもらった場合であっても、カードの利用停止となる可能性はあります。とくに、これまで何度も支払いに遅れている場合は、厳しい対応を取られる可能性もあるため注意してください。
強制解約となる可能性がある
長期間の滞納を繰り返した場合は、強制解約となる可能性があります。具体的に「◯日以上の滞納で強制解約」などといった事実は公表されていませんが、一般的には数か月以上の滞納で強制解約となるケースが多いです。
また、カード会社によっては、何度も支払い遅延を繰り返していると強制解約となる可能性があるため注意しなければいけません。
たとえば、カード代金の支払日が毎月27日であり、給料日が毎月月末であった場合「給料が支払われる月末まで待ってほしい」と考えるかもしれません。1回程度であれば問題はないかもしれませんが、何度も繰り返していると強制解約となる可能性があります。
強制解約になったクレジットカードは、2度と利用することができません。また、同じカード会社で改めて発行してもらうのも難しくなるため、支払い遅延には十分注意してください。
残債の一括請求が行われる
滞納が長期間となってしまった場合は、残債を一括請求されてしまう可能性があります。たとえば、分割払いやリボ払いによって残っている債務を全額すぐに返済してくださいと言われてしまいます。
このことを「期限の利益の喪失」と言いますが、カード会社の会員規約にはしっかり明記されているため、従わざるを得ません。
そもそも、クレジットカードとしてのサービスが利用できるのは、期限の利益があるためです。期限の利益とは、支払日を待ってくれるサービスであると考えれば良いです。
たとえば、コンビニ等で買い物をした際、商品と引き換えに金銭を支払わなければいけません。しかし、クレジットカードを利用することによって、その場で金銭を払う必要はなく、カード会社の指定する日に使用した金額を支払えば良いです。
上記のサービスを「期限の利益」と言います。本来は、その場で支払わなければいけない金銭をカード会社が立て替え、顧客に対しては翌月等に返済を求めるシステムです。これは、顧客の信用に基づいて成立しています。
そのため、長期間の滞納等で顧客自身の信用が著しく低下してしまった場合は、期限の利益を喪失します。その結果、残債を一括で返済するように求められてしまうのです。
期限の利益の喪失は、カード会員規約にも記載されているため、原則従わなければいけません。そのため、遅くとも期限の利益が喪失する前までに、支払いを完了させたり支払いの相談をしたりするようにしましょう。
法的手続きへの移行・強制執行の可能性
滞納期間が長期間になってしまった場合、法的手続きへの移行や強制執行となる可能性があります。強制執行となった場合は、所有財産を差し押さえられてしまう可能性があるため、注意しなければいけません。
中には「差し押さえられるような財産はないため、大丈夫」と考えている人がいるかもしれません。しかし、差し押さえの対象となるのは、債務者が所有する財産の他、債権も対象となります。
とくに注意しなければいけないのは、給与債権の差し押さえです。給与債権とは、給与所得者が会社に対して持っている債権(労働の対価として給与を受け取る権利)を指します。
給与債権を差し押さえられてしまうと、手取り額の最大1/4を完済できるまでの期間差し押さえられ続けます。たとえば、元金・利息合わせて100万円の債務が差し押さえの対象になっているとしましょう。
仮に、債務者の手取り給与が20万円であると仮定した場合、毎月5万円を20か月に亘って差し押さえられ続けるということです。当然、給与債権の差し押さえは、第三債務者である会社に対して行われるため、借金を滞納していることが知られてしまいます。
会社にも知られて惨めに感じ、給与の1/4を差し押さえられて生活にも著しい影響が出ることを考えると、法的手続き移行前までに解決しておいたほうが良いです。
なお、強制執行までの流れは以下のとおりです。
- 債権者による支払督促の申立て・発付・送達
- 支払督促状を受けた債務者は2週間以内に異議申立てが可能(異議申立てがない場合は次へ進む)
- 債権者による仮執行宣言付支払督促正本の申立て・送達
- 仮執行宣言付支払督促正本を受けた債務者は、2週間以内に異議申立てが可能(異議申立てがない場合は仮執行宣言が確定)
- 仮執行宣言の確定
- 債務者へ任意の支払いを求める
- 任意の支払いが行われない場合は、財産調査の後に差し押さえ
上記のとおり、実際に差し押さえを受けるまでには時間があり、何度もチャンスを与えられます。とくに、異議申立てをできるタイミングで行わなければ、次のステップへ進み、状況は悪化し続けます。
カード会社に支払いを待ってもらえなかった場合の対処法
カード会社へ相談をしても必ず支払日を延長してもらえるとは限りません。万が一、返済を待ってもらえなかった場合は、これから紹介する方法を検討されてみてはいかがでしょうか。
支払い費用の工面を検討する
初めに返済費用の工面方法を検討しなければいけません。具体的な返済費用の工面方法は、以下のとおりです。
- 家族に相談をする
- 不用品を売却する
- アルバイト等でお金を稼ぐ
初めに、家族への相談を検討されてみてはいかがでしょうか。「事情があり、お金を貸してほしい」と相談をすれば、お金を借りられるかもしれません。もしお金を借りるのが難しければ、自分で用意する方法を検討しなければいけません。
たとえば、不用品を売却したりアルバイトをしたりする方法があります。
普段使用しないブランド品や過去に使用していたスマートフォンなどを売却することで、当月のカード代くらいになるかもしれません。もし、売却できるものがなかったり、売却してもなお、不足したりする場合はアルバイトでお金を稼ぐ方法があります。
中には「会社で副業が禁止されているから…」と悩まれている人がいるかもしれません。しかし、公務員を除いて副業を禁止することは、原則禁止であるという見方が強いです。そのため、まずは会社へ相談をされてみてはいかがでしょうか。
正当な理由なく禁止されている場合は、違法性を問うことができます。もし、会社にアルバイトが認められれば、日払い支給のあるバイト等でお金を稼ぐと良いでしょう。休日を利用すれば、無理なくカード代を用意できるかもしれません。
分割払い・リボ払いを利用する
分割払いやリボ払いを利用して返済金額を引き下げる方法です。クレジットカード会社によっては、締日を過ぎた後でも後から分割払いやリボ払いへ変更できます。
分割払いやリボ払いへ変更することで、返済金額を抑えられるため、返済期日までの返済が可能となるのではないでしょうか。
なお、変更可能日時は各カード会社によって異なります。「返済が厳しいかもしれない」とわかった時点で早急に対応しておくことで、より確実に返済日に間に合わせられます。できるだけ早く、対応するように心がけましょう。
債務整理を検討する
長期的にカード代金の支払いが厳しい場合は、債務整理を検討されてみてはいかがでしょうか。
債務整理とは、借金を減額したり免責にしたりできる法的手続きです。以下3つの種類があり、それぞれの選択肢によって減額できる借金の額が変わります。
- 利息分をカットし、元金のみを原則3年〜5年で完済を目指す「任意整理」
- 借金を大幅にカットできる「個人再生」
- 非免責債権を除くすべての債務を免責にできる「自己破産」
自分の状況に合わせて選択できます。まずは、専門家へ相談をした上で、自分に合った債務整理手続きは何か?を検討されてみてはいかがでしょうか。
カード代金の支払いを待ってもらう際によくある質問
カード代金の支払いを待ってもらう際によくある質問を紹介します。
Q.支払いを待ってもらう場合、個人信用情報への影響はありますか?
A.さまざまな事情によって変わります。
まず、相談をして支払い期日を延長してもらった場合であっても、カード会社によっては支払い遅延の情報を登録します。
個人信用情報機関に登録されている情報は、すべてカード会社等からの報告によって記載されています。そのため、カード会社が「支払い遅延である」と認めた場合は、そのように登録されるため注意してください。
また、カード会社によっては「連絡をいただいて承諾をしているため、支払い遅延ではない」と判断するケースもあります。ただ、この場合であっても、長期間の滞納は影響が出る可能性が高いです。できるだけ早めに支払いをできるようにしましょう。
Q.支払い猶予が認められた場合、遅延損害金は発生しますか?
A.カード会社によって異なります。
支払い猶予が認められた場合であっても、支払い遅延であることに変わりありません。そのため、遅延損害金が請求される可能性はあります。
ただ、実際の取り扱いは各カード会社によって異なります。あらかじめ確認をしておくと良いでしょう。
Q.カードの利用停止や強制解約の可能性はありますか?
A.あります。
支払いの延長が認められた場合であっても、そのことが原因で利用停止となったり強制解約となったりする可能性があります。
とくに、何度も支払い延長の相談をしていたり、何も相談をせずに何度も滞納を繰り返したりしている場合は利用停止・強制解約となる可能性が高いです。利用停止や強制解約の判断もクレジットカード会社が行うため、一概には言えません。
また、カード代金支払い時に相談をしたとしても、利用停止や強制解約の可能性を教えてもらうことはできません。そのため、できることであれば相談をせずに、支払いをできるように工面されてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、カード代金の支払いが難しい場合、相談すれば待ってもらえるのか?について解説しました。
結論から言ってしまえば「カード会社によって異なる」ということでした。必ず待ってもらえるという確証はないものの、支払いが厳しい場合は事前に相談をしておいたほうが良いです。
もし、何も相談せずに返済日までに返済できなかった場合は、さまざまな影響が発生します。最悪の場合は、カードの利用停止や強制解約となる可能性もあるため注意しなければいけません。
返済が難しいと分かった時点で早めに相談をし、もしも返済を待ってもらえないのであれば、その他の方法を検討するしかありません。いずれにせよ、早めに対応することで検討できる時間、選択肢の幅が広がります。
今回紹介した内容を踏まえ、今後の対応方法をご検討ください。