【債務整理を検討すべき8つのタイミング】早めの対策が借金生活から楽に抜け出すポイント

【債務整理を検討すべき8つのタイミング】早めの対策が借金生活から楽に抜け出すポイント

適切なタイミングで債務整理に踏み切れば、債務者が抱えている借金状況はスムーズに改善されます。

ただ、債務者のなかには、「なんとか返済できているので債務整理は必要ないのでは?」「約束通りに借金を返せないのは申し訳がない…」などの理由で、債務整理に対して消極的な姿勢を見せる人が少なくありません。

そこで、この記事では、債務整理を検討すべきタイミングをまとめて紹介します。債務整理のタイミングを逃すことによって生じうるデメリットもあわせて解説するので、借金返済生活から抜け出した明るい未来のためにお役立てください。

この記事の監修者

近藤邦夫

司法書士法人 浜松町歩法務事務所」代表司法書士。 愛知県岡崎市出身。 昭和64年早稲田大学法学部卒業。 長年にわたり、債務整理を行い、 また宅地建物取引士の資格を生かし、不動産登記や商業登記も行なっている。

目次

債務整理を検討するタイミングは8つ!

債務整理を検討するタイミングは重要です。

なぜなら、時機を逸すると滞納によって生じるペナルティが重くなるだけではなく、債務整理の選択肢が狭くなるというリスクまで生じるからです。

そこで、まずは債務整理を検討すべきタイミングを紹介します。次の8つのうち1つでも該当項目がある債務者は、今すぐ債務整理を前向きに検討してください。

  • 借金癖がある
  • 借金を滞納している
  • 多重債務状態におちいっている
  • 借金総額が年収の1/3を超えている
  • 他社からの借り入れを断られた
  • 借金生活が長いと感じたとき
  • 収入が減少したとき
  • 「借金生活から抜け出したい」と感じたとき

それでは、各タイミングについて詳しく見ていきましょう。

借金癖がついているタイミング

借金を滞納しているか否かにかかわらず、借金癖がついている人は債務整理という選択肢を常に忘れないようにしてください。

もちろん、現在借金を完済できている状況なら、今すぐに債務整理に踏み出す必要はありません。

ただ、ギャンブル癖・浪費癖・買い物癖がついているのなら、いつ収入幅を超えた金額の借金を背負いこんで返済継続が困難になるか分からないはずです。

借金癖は債務者の生活だけではなく家族などにも迷惑がかかるもの。気付いたときには借金が膨れあがっている危険性があるので、常に債務整理を視野に入れておきましょう。

MEMO
ギャンブル癖・浪費癖は自分の弱さだけが原因ではなく、カウンセリング・治療が必要な病気です。「やめたいのにやめられない」のなら、ひとりで悩みを抱えこまずに専門機関に相談しましょう。

借金を滞納しているタイミング

借金を滞納しているのなら債務整理を検討すべきタイミングといえるでしょう。

なぜなら、借金を滞納しているということは、毎月の収入から返済額を用意できない状況にあることを意味するからです。

本来、借金の返済は家計に無理をきたさない状態で完済を目指さなければいけません。

つまり、滞納状態におちいっているということは、すでに”正常な返済生活”が破綻しているということです。

したがって、滞納状況が今以上に深刻にならないように、すみやかに債務整理を検討しましょう。

注意
借金の延滞が続くと、遅延損害金・ブラックリストへの登録・残債の一括請求・財産などの差し押さえというデメリットが生じます。デメリットが軽い段階で債務整理をした方が生活を再建しやすいので、決して滞納状況を放置しないでください。

多重債務状態になっているタイミング

多重債務状態におちいっているのなら、今すぐ債務整理を検討しましょう。

なぜなら、“借金のために借金を重ねている状態”は深刻な家計状況に置かれているといえるからです。

借金返済のために他社からの借り入れをあてにしているのは、もはや返済日を先延ばしにしているだけで完済は遠のくばかり。

利息の支払いに資力を奪われているだけなので、借金総額が雪だるま式に増える一方でしょう。

したがって、今すぐ家計状況に抜本的なテコ入れが必要な状況だと考えられるので、債務整理で根本的な解決を目指してください。

参考:借りすぎ・多重債務にご注意 – 金融庁HP

借金総額が年収の1/3を超えているタイミング

借金総額が年収の1/3を超えると完済が難しい金額の借金を背負っていると考えられるので、債務整理が必要なタイミングといえます。

実は、個人が借金をできる金額は原則として年収の1/3までと決められています(=総量規制)。

これは、無制限な借金を認めてしまうと破綻する債務者が多く発生するために設けられている基準値です。

つまり、総量規制は危険な借金状態のメルクマールといえるので、「借金総額が年収の1/3以上に膨れあがっている」「月収の1/3以上を返済に充てている」などの状態なら債務整理のタイミングだとご判断ください。

参考:貸金業法について – 日本貸金業協会
参考:貸金業法第13条の2 – e-Gov法令検索

注意
総量規制は貸金業者を対象にしたルールなので、銀行からの借り入れ・ローンや銀行系カードローンは範囲外です。つまり、貸金業者からの融資に加えて銀行系の借り入れをあわせると、年収の1/3以上の借金を負担しかねない状況に置かれる実質的なリスクがあるのでご注意ください。

他社からの借り入れを断られたタイミング

新規の借り入れ・追加融資を申し込んだのに審査に落ちたのなら、債務整理を検討すべきタイミングといえるでしょう。

なぜなら、借り入れを断られた債務者は、次の3つの状態にある可能性が高いからです。

  • 信用情報機関にブラックリスト情報が登録されている
  • 金融機関などの内部ブラックに登録されている
  • 総量規制に抵触している

総量規制についてはすでに説明をしているので、残り2項目について詳しく解説します。

信用情報機関にブラックリスト情報が登録されている

借金の返済日を2カ月~3カ月落としてしまうと信用情報機関に事故情報が登録されてブラックリストとして扱われます。

ブラックリストになると新規の借り入れ審査に落ちるので、合法に貸金業を営んでいる事業者からは一切融資を受けられません。

このように、ブラックリスト入りが原因で新規融資を受けられない債務者はすでに借金生活がひっ迫している状況にあると考えられるので、債務整理を利用して返済状況を改善しましょう。

MEMO
一度ブラックリストになると、約5年~10年が経過しなければ事故情報が登録されたままです。新規の借り入れができないだけではなく、クレジットカードが使用不可になったり賃貸物件の入居審査に通りにくくなったりなどのデメリットが生じるので注意が必要です。

金融機関などの内部ブラックに登録されている

債務者の延滞情報は信用情報機関に登録されてすべての金融機関に情報が共有されますが、これとは別に、各社は独自に滞納履歴がある人物のデータなどを「内部ブラック」として集積しています。

つまり、過去の延滞をすでに解消して5年以上が経過している場合でも、当該金融機関からは再度の融資を受けられないケースもあるということです。

もちろん、現在の借金状況が深刻でなければ今すぐ債務整理を検討する必要はありませんが、過去に借金を滞納した事実があり、数年が経過した今になってふたたび融資を希望するということは、借金癖などの問題を抱えている可能性が高いと考えられます。

したがって、内部ブラックが原因で金融機関からの融資を断られた場合であったとしても、状況次第では債務整理の利用を検討すべきケースは少なくないでしょう。

MEMO
信用情報機関にはCIC・JICC・KSCの3社があり、各組織はCRIN(クリン)というシステムで情報を共有。その結果、1社にブラックリスト情報が登録されるだけですべての金融機関からの融資が断られてしまいます。これに加えて、各金融機関はCRINとは無関係に独自データとして内部ブラック情報を収集して顧客管理を行っているという仕組みです。

参考:信用情報の交流 – CIC
参考:他信用情報機関との情報交流 – JICC
参考:情報交流(CRIN) – KSC

借金返済が長期間に及んでいると感じたタイミング

特別な事情がなくても、「借金の返済期間が長すぎる」「まったく借金残債が減らないのはおかしい」などのように、借金の返済状況に疑念を抱くようならば債務整理のタイミングと考えられます。

たとえば、1年以上返済を継続しているのに完済が見えないとき、リボ払いの残債が月ごとに増えているとき、毎月の返済額のほとんどが利息の支払いに消えているときには、今まで通りに返済を継続しても完済は到底不可能です。

したがって、将来利息をカットできる任意整理や借金総額を減額できる個人再生を視野に入れて、完済が近づく努力をしてください。

MEMO
消費者金融からの借金やリボ払いの手数料は年利10数%の高利率で発生するので債務者の負担になる。特に、毎月の返済設定額が低額ではいつまでも元本が減らないという事態になりかねないので、完済を目指すのなら綿密な返済シミュレーションを練るのがポイント。

収入が減少したタイミング

解雇・シフト減少・体調不良による休職などが理由で収入が減少してしまうと家計内から返済額を用意するのが難しくなるので、債務整理を利用して延滞によるペナルティを回避するのがおすすめです。

もし、収入の減少にも耐えられるほどの貯蓄があるのなら、そこから生活費や借金返済分を用意するのも選択肢の1つ。

ただ、収入が回復する目途が立たないままでは、高確率でどこかのタイミングで返済が行きづまるのが目に見えています。

したがって、生活レベルを無理に落としてまで借金の返済を継続するのではなく、収入が落ちたタイミングで債務整理を視野にいれましょう。

注意
仮に収入が0になったとしても、無職の人でも利用できる「自己破産」という選択肢が残されています。すべての債務整理が返済継続を前提としているわけではないのでご安心ください。

「借金生活から抜け出したい」と前向きな気持ちになったタイミング

たとえば、結婚や転職、子どもが生まれるなど、人生にはいくつも転機が訪れるはず。

このようなタイミングをきっかけに、「借金生活から抜け出して心機一転人生をやり直したい!」という気持ちが胸に浮かぶこともありますよね。

ここまで紹介したように、債務整理を検討すべきタイミングはいくつもあります。

ただ、もしここまでのポイントに該当しなくても、あなた自身が借金生活からの脱却を希望するのなら、それこそが債務整理にピッタリのタイミングです。

「前向きに人生をやり直したいが債務整理が適切か分からない」とお悩みなら、今すぐ司法書士などの専門家の扉をたたいてください。

「どのような債務整理が適切か」についての相談はもちろんのこと、「あなたの生活再建にとって債務整理が適切か」という根本的なところから丁寧にアドバイスをしてくれるでしょう。

債務整理のタイミングを逃すとデメリットがどんどん大きくなる

債務整理のタイミングを逃して借金の滞納が続くと、債務者に生じるデメリットがどんどん大きくなってしまいます。

延滞日数に応じて生じるデメリットは次の通りです。

  • 滞納翌日~:毎日遅延損害金が発生する
  • 滞納2カ月~3カ月程度:ブラックリストに登録される
  • 滞納3カ月程度:残債を一括請求される
  • 滞納3カ月以降:財産などの差し押さえ

滞納している借金問題に真正面から向き合わないだけでこれだけのデメリットが生じます。

裏を返せば、勇気をふりしぼって債務整理に踏み出すだけで、借金滞納から生まれるこれらのデメリットを回避できるということです。

それでは、債務整理のタイミングを逃すことで強いられる各デメリットについて見ていきましょう。

1日でも延滞すると遅延損害金が発生する

債務整理のタイミングが遅れて借金を滞納すると、返済日の翌日から遅延損害金が毎日発生します。

遅延損害金は、【残債 × 遅延損害金年利率(年利20%が一般的) ÷ 365日 × 滞納日数】の計算式で算出されるもので、滞納分とあわせて支払わなければ延滞状況が解消されません。

つまり、ただでさえ毎月の返済が苦しいのに遅延損害金分が加算されて余計に家計を圧迫することになるので、さらに完済が難しくなってしまいます。

遅延損害金の負担を軽減したいのなら、すみやかに滞納分を支払うか、債務整理に踏み切るしかありません

滞納が続くとブラックリストに登録される

延滞日数が2カ月~3カ月が経過すると、信用情報機関に事故情報が登録され、それ以後はブラックリストとして日常生活にいろいろなデメリットが発生します。

代表的なデメリットとして挙げられるのは次の6点です。

  • クレジットカードの利用停止・新規発行不可
  • ETCカードの利用停止・使用不可
  • 新規ローン・借り入れ不可
  • 子どもの奨学金などの連帯保証人になれない
  • 賃貸物件の入居審査に通りにくくなる
  • 携帯電話・スマホ端末代金の分割払い不可

これまで通りの日常生活に支障をきたすだけではなく、今後の生活も左右することになります。

ただ、借金の滞納期間が2カ月以上にならなければブラックリスト情報が登録されることはないので、これらの弊害を避けたい債務者はかならず短期間で延滞状況を解消してください

ブラックリスト情報が登録されるのは一定期間だけ

借金を滞納した結果ブラックリスト情報が登録されたとしても、一生ブラックリストの身分が続くわけではありません。

延滞を解消してから数年が経過すれば(債務者の個別事情によって期間は異なる)事故情報は抹消されるので、ふたたび”ホワイト”としてブラックリスト登録前と同じ状態に戻ります。

ただし、延滞を解消した後にふたたび借金を滞納するなどの事情があると、初回よりも早いタイミングで事故情報が登録されるリスクがあるのでご注意ください。

債務整理を利用してもブラックリストに登録される

すでに延滞が長期に及んだ結果ブラックリストに登録されている債務者が押さえておくべきポイントは、債務整理を利用してもブラックリストに登録されるということです。

つまり、今現在ブラックリストによるデメリットを被っているわけですから、今さら債務整理によるデメリットとしてのブラックリスト登録を嫌がる必要はありません

したがって、今以上に日常生活面に悪影響が生じることはないので、躊躇なく債務整理を検討するタイミングだといえるでしょう。

ブラックリストによる弊害は代替手段で対応できる

なかには、「債務整理でブラックリストに登録されるのは嫌だ」という債務者もいるでしょう。

たしかに、生活面への悪影響を考えると、多少無理をして返済を継続してでもブラックリストによるデメリットを避けたいと考えるのは当たり前の感情です。

ただ、実は、ブラックリストによる弊害は代替手段によってリスク軽減を目指せます

具体的には、次の項目をご参照ください。

  • クレジットカード→デビットカードやプリペイドカードは使用可能
  • ETCカード→デポジット制のETCカードは使用可能
  • 奨学金の連帯保証人→機関保証制度で代替可能
  • 入居審査→家主と交渉・信販系の入居審査がない物件を選ぶ
  • 携帯電話・スマホの端末代金→一括払い・安い端末を選ぶ
  • 新規借り入れ→借金なしで生活できるように家計管理に集中

このように、債務整理によってブラックリスト情報が登録されたとしても代替手段を利用すれば日常生活への支障を軽減できます。

したがって、ブラックリスト登録を嫌って債務整理自体を拒絶する必要はほとんどないと考えられるので、適切なタイミングで債務整理に踏み出しましょう。

3カ月以上延滞すると残債を一括請求される

債務整理のタイミングを逃したまま延滞が3カ月程度続くと、借金の残債を一括請求されます。

なぜなら、各金融機関の規約において、約3カ月の延滞によって債務者が期限の利益を喪失すると定められているからです。

毎月の返済額さえ支払えない債務者にとって、残債全額を支払うのはほとんど不可能でしょう。

したがって、残債を一括請求される前に金融機関と今後の支払い計画について話し合うか、債務整理を利用して返済状況の抜本的な解決を図ってください。

MEMO
期限の利益とは、所定の返済日まで支払義務が猶予される債務者側の利益のこと。たとえば、分割払いなら、毎月の約定返済日まで支払いを強制されることはない。ただ、期限の利益を喪失することによって返済日までの猶予が認められなくなるので、残債を一括請求されることになる。

延滞がさらに続くと財産などを差し押さえられる

残債の一括請求に応じられないと、債務者名義の財産や給料などが強制執行により差し押さえられます。

どの財産が差し押さえられるかは強制執行の段階になるまで分かりませんが、たとえば、給料が差し押さえられると会社に借金滞納の事実が知られますし、マイホームが差し押さえられると家族にもバレてしまうでしょう。

さらに、今まで通りの生活を送ることが難しくなるリスクさえ生じます。

したがって、強制執行に至る前に債務整理に踏み出して、借金生活から抜け出すチャンスを確保しましょう。

MEMO
残債の一括請求までは債権者から督促状などが郵送されますが、強制執行にかんする書類は裁判所から「差押予告通知」という形で送付されるのですぐに分かる。裁判所からの郵便物は見慣れないはずなので、かならずチェックしよう。

債務整理が遅れるとそれだけ生活の再建が難しくなる

以上のように、債務整理のタイミングが遅れるほど債務者にふりかかるデメリットは大きくなりますし、それだけ債務整理の選択肢も狭くなってしまいます。

たとえば、任意整理ではすでに発生した利息・遅延損害金の支払いはカットできないのが一般的なので、延滞日数がかさむほど任意整理後の債務者の返済生活は厳しいものに。

場合によっては、任意整理後の返済計画をこなすだけの経済力がないために、任意整理を選択できない可能性もあるでしょう。

また、債務整理のタイミングが遅れたためにギャンブルの借金が増えてしまい、その態様が悪質だったために自己破産が認められずに借金返済義務を帳消しにできないというケースも考えられます。

このように、債務整理のタイミングを逃すと選択肢自体が減るリスクまで生じるので、借金の返済が難しいようならばできるだけ早期に債務整理を利用するのがおすすめです

「今がタイミングだ」と感じたらすみやかに債務整理に踏み出そう

借金生活から抜け出して前向きに人生をやり直すためには、可能な限りすみやかに債務整理に踏み出してください。

なぜなら、債務整理のタイミングが早いほど、生活を立て直しやすいと考えられるからです。

ただ、債務整理には任意整理・自己破産・個人再生の3つの手続きがあるので、どの方法を選択するのかによって生活再建のプロセスが変わってきます。

そこで、ここからは、各債務整理手続きにはどのような特徴があるのか、どのような人に向いているのかをそれぞれ解説します。

任意整理なら利息の支払いから解放される

任意整理とは、債権者と直接交渉をして今後の返済計画を作り直す債務整理手続きのことです。

和解案が成立した後の将来利息は原則としてカットされるので、元本だけを返済すればよくなります。

ただし、和解案通りに返済できないと再和解をするのは簡単ではありませんし、残債を一括請求されるおそれもあるので注意が必要です。

したがって、任意整理による債務整理が適しているのは、次のような債務者だと考えられます。

  • 3年~5年間返済を継続するだけの収入がある
  • 利息の支払い負担が大きすぎて元本の減りが悪い
  • 会社・家族に借金の事実を知られたくない

任意整理のメリット・デメリットや手続きの流れについては、「任意整理とは何ですか?」をご参照ください。

自己破産なら借金生活から解放される

自己破産とは、原則としてすべての借金返済義務を免除してもらう債務整理手続きのことです。

借金生活から一度に抜け出せるので最大の救済措置になる反面、借金の返済を受けられない債務者側の利益にも配慮しなければいけないので、債務者は一定のデメリットが生じることを覚悟しなければいけません。

たとえば、財産の処分、手続き中の職業・資格制限、官報への掲載などです。

したがって、自己破産による債務整理が適しているのは、次のような債務者だと考えられます。

  • 処分される財産を所有していない
  • 無職・低収入のため任意整理・個人再生を利用できない
  • 資格制限を受けない仕事に就いている

自己破産のメリット・デメリットや手続きの流れについては、「自己破産とは何ですか?」をご参照ください。

MEMO
自己破産で処分される債務者の財産の範囲には制限が加えられており、差し押さえ禁止財産・20万円までの預貯金・99万円までの現金・その他裁判所が許可した財産は手元に残せます。したがって、「財産処分」とはいっても自己破産後の生活基盤がすべて奪われるわけではないのでご安心ください。

個人再生なら今の生活を維持したまま借金総額を減額できる

個人再生とは、裁判所を利用して借金総額を一定割合で減額してもらう債務整理手続きのことです。

原則として将来利息のカットしかできない任意整理とは異なり、個人再生では借金元本も減額できるので完済しやすい環境を整えることができます。

また、住宅ローン返済中のマイホームに配慮した特別条項(住宅資金特別条項)が用意されているので、自己破産のようにせっかく購入した自宅を処分することなく借金問題を解決できるでしょう。

ただし、個人再生計画案の認可を受けるための要件は厳しく、裁判所における手続きにも時間がかかるので、迅速な解決を目指す人にはおすすめできません。

これらを踏まえると、個人再生による債務整理が向いているのは、次のような債務者だと考えられます。

  • マイホームを手元に残したい
  • サラリーマンなど、継続して安定的な収入がある
  • 借金総額が多すぎるので元本の減額も希望している

個人再生のメリット・デメリットや手続きの流れについては、「個人民事再生とは何ですか?」をご参照ください。

【注意!】債務整理を検討するときは過払い金もチェックしよう

返済期間が長期に及んでいる債務者がかならずチェックしたいポイントが過払い金の有無についてです。

過払い金とは、利息制限法の上限金利規制に違反する融資条件によって「返済しすぎた利息」のこと。

参考:5 お借入れの上限金利は、年15%~20%です – 日本貸金業協会

借金元本額・返済をしていたタイミングにもよりますが、20%を超える利息条件で返済を続けている期間があれば、過払い金が発生している可能性が高いです。

そして、過払い金返還請求をすれば、その分を借金元本に充当できるので完済が楽になりますし、さらに、残債総額以上の過払い金がある場合には、借金生活から抜け出せるだけでなく手元にお金が戻ってくるというメリットもあります

したがって、債務整理を利用するタイミングで過払い金の有無も確認すれば、借金生活から抜け出すための選択肢が増えると考えられるでしょう。

過払い金返還請求のメリット・デメリットや手続きの流れについては、「過払い金返還請求とは何ですか?」をご参照ください。

MEMO
過払い金のチェックは債務者側が主体的に行う必要があり、債権者側から申告してくれるものではない。司法書士などの専門家に依頼すれば、債務整理のタイミングですべての返済履歴を取りよせてくれるので、当然のように過払い金の有無も判断してくれる。

債務整理のタイミングが分からないときは専門家に相談しよう

債務者ごとに事情は異なるので、債務整理のタイミングも人それぞれです。

結婚、解雇による収入減、長すぎる返済生活への不満など、いろいろなきっかけが考えられるでしょう。

ただ、すべてのきっかけに共通しているのが、「なんとかして借金問題を解決したい」という債務者側の意思です。前向きな理由でも後ろ向きな感情からでも、「借金の返済に追われる日常から抜け出したい」と思ったのなら、今がまさに債務整理に適したタイミングのはずです

ですから、「借金をなんとかしたいけれど、どうしても債務整理に踏み出す勇気がでない」「法律のことは難しくて分からない」などとお悩みなら、まずは司法書士などの専門家のアドバイスを受けてみましょう。

専門家なら、債務整理のタイミングはもちろんのこと、債務者それぞれにとって適切な債務整理手続きの助言もしてくれます。

専門家への相談は現状から抜け出す大きなきっかけです。どうぞお気軽にお問い合わせください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です