借金滞納から給与差し押さえまでの流れとは?最悪の事態を回避するために覚えておきたいポイントを解説

借金滞納から給与差し押さえまでの流れとは?最悪の事態を回避するために覚えておきたいポイントを解説

借金の滞納期間が長くなると、遅かれ早かれかならず給与を差し押さえられてしまいます。多くの債権者は「逃げ得は絶対に許さない」という思いを持って請求を行います。

とはいえ、借金を滞納した直後に給与を差し押さえられるわけではありません。いくつかのステップを踏んで最終的にあなたの財産や給与を差し押さえます。

そこで今回は、給与が差し押さえられるまでの流れについてお伝えするとともに、実際に差し押さえられるとどうなるのか?回避したり止めたりする方法はないのか?についてお伝えします。自分が置かれている状況に照らしながらぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

近藤邦夫

司法書士法人 浜松町歩法務事務所」代表司法書士。 愛知県岡崎市出身。 昭和64年早稲田大学法学部卒業。 長年にわたり、債務整理を行い、 また宅地建物取引士の資格を生かし、不動産登記や商業登記も行なっている。

借金滞納で給与が差し押さえられるまでの6ステップ

借金の滞納開始から実際に給与が差し押さえられるまでのステップは、わずか6つです。ただ、逆に言えばステップ5までに対応しておけば、給与の差し押さえを避けられる可能性があるということです。

【借金滞納から給与が差し押さえられるまでの6ステップ】

  1. 債権者からの取り立て
  2. 債権者から催告書の送付および残債の一括請求
  3. 裁判所から支払督促が届く
  4. 裁判所から仮執行宣言付支払督促が届く
  5. 支払督促の確定・強制執行が可能になる
  6. 財産の調査から給与の差し押さえが始まる

まずは、借金を滞納してから実際に給与が差し押さえられる前に起こることについてお伝えします。自分の状況と照らし合わせ、現状がどこのステップなのかを把握してください。

ステップ1:債権者からの取り立て

借金の滞納が始まれば、まずは債権者から入金確認の電話等がかかってくるでしょう。返済日翌日頃だとまだ「入金の確認ができておりませんがいかがでしょうか?」のような内容です。債権者側も「返済日を忘れていたのかもしれない…」と考えているため厳しい取り立てを受けることはありません。

この時点ですぐにでも返済をすれば、あなたが大きな被害を受ける可能性は低いです。「たまたま忘れていたんだろうな」で済みます。

ところが、あなた自身が何らかの理由で借金を返済することができず、債権者からの電話等に対応したり借金を返済したりできずにいれば、徐々に厳しい取り立てを受けることになるでしょう。たとえば、電話やメールでの取り立てはもちろん、書類による取り立てや訪問による取り立てなど。

第1ステップでは、あなたに対して「とにかく借金を支払ってください!」というお願いベース(取り立て)を行います。そこに強制力はないため、あなたが無視を続けていれば、債権者があなたの給与や財産を差し押さえることはできません。

ステップ2:債権者から催告書の送付および残債の一括請求

債権者からの取り立てを放置し続けていると、次に「催告書」という書類が送付されてしまいます。催告書とはあなたに対して「借金を返済してください」と伝える書類です。言ってしまえば督促状と同じです。

しかし、債権者から届く催告書は最終通告であり、催告書には「◯月◯日までに支払いがなければ法的手続きに移行します」と書かれているはずです。これは決して脅しではなく、催告書が届いてもなお放置したり無視したりしていれば、すぐに次のステップへ進まれてしまうでしょう。

また、催告書が届いた時点で債権者はあなたに対して残債の一括請求を行います。そして、この一括請求の根拠は「期限の利益の喪失」であるため、あなたは一括返済をするしかありません。

MEMO
【期限の利益の喪失とは】
期限の利益の喪失とは、「毎月約束された日までに約束された金額を支払えば、残債の支払いを猶予しますよ」という期限の利益を喪失したことを言います。たとえば、あなたが100万円の借り入れがあったとしても、毎月決まった日に返済することで数万円の支払いで済んでいたのは、期限の利益によるものです。

期限の利益はあなたと債権者の間でできている信用を元にしています。その信用がなくなってしまった今、あなたに対して「期限の利益を喪失したから一括で返済してください」と伝えているのです。

あなたは契約時に、期限の利益の喪失に関する事項も確認していつはずです。そのため、期限の利益を喪失した時点で、原則一括返済しか認められません。

つまり、ステップ2の催告書が届いた時点であなたは債権者に対して、借金を一括で返済しなければいけない状況ということです。とても危機的状況であるのはいうまでもありません。

この状況を打破するためには、催告書が届いた時点で司法書士等へ相談をして債務整理をするしかありません。債務整理をすれば、一括請求がされている債務も分割払い変更できる可能性があります。

万が一、次のステップまで進んでしまえば、債務整理の選択肢も少なくなってしまいます。借金を一括返済できる財力がないなら、遅くともステップ2で債務整理をしなければ、給与の差し押さえや自己破産あるいは個人再生しか選択肢がなくなってしまうでしょう。

ステップ3:裁判所から支払督促が送られてくる

債権者からの催告書を無視・放置していると、実際に法的手続きに移行されてしまうため、裁判所から督促状が届きます。裁判所からの督促状は債権者から届く督促状よりも危険なものです。

書類の種類 危険度
債権者からの督促状
債権者からの督促状
裁判所からの督促状
裁判所からの仮執行宣言付督促状(次見出し参照) 危険(すぐに対応しなければ差し押さえが始まる)

債務者であるあなたは給与の差し押さえを避けるために、督促状が届いてから2週間以内に異議申し立てが可能です。異議申し立て後は訴訟へ発展してしまいますが、訴訟の過程で和解が成立する可能性もあるでしょう。

そのため、裁判所から督促状が届いた時点ですぐに異議申し立てを行うか、司法書士等へ相談をして債務整理を検討してください。

万が一、裁判所からの督促を無視・放置していると、次のステップである仮執行宣言付支払督促状の送付が行われます。その後は直ちに給与の差し押さえが可能になる、強制執行が開始されてしまうでしょう。

参考:裁判所|支払督促を受けた方へ

MEMO
支払督促の異議申し立ての意味は広い
支払督促に対する異議申し立てとは「金額が間違えている」「そのような借金をした事実はない」等に対することだけではありません。たとえば、「分割払いにして欲しい」「◯日まで待ってほしい」と言った旨を申し立てることも可能です。

ステップ4:裁判所から仮執行付支払督促が届く

裁判所から届く督促状を放置・無視していると、督促状に仮執行宣言が付されてしまいます。この仮執行宣言付支払督促状に対しても、2週間以内であれば異議申し立てが可能です。

しかし、仮執行宣言が付された支払督促を無視したり放置したりしていると、申し立て人(債権者)は直ちに強制執行へ移行するので注意しなければいけません。

逆にいえば、法的手続きに移行されたあとも督促状から2週間、仮執行宣言が付されてから2週間、合計で4週間の期間猶予をあたえられています。この間に自分で考え、行動しておけば給与の差し押さえは避けられます。

「どうせ払えないから…」と言って放置し続けていると、とんとん拍子でことが進むため、本当に給与が差し押さえられてしまう結果になるでしょう。「給与の差し押さえだけは避けたい」と考えているならば、すぐに異議申し立てを行うか司法書士へ相談をして債務整理を開始してください。

ステップ5:支払督促の確定・強制執行が可能になる

仮執行宣言付支払い督促状を無視・放置していると、支払督促が確定します。裁判上の手続きである支払督促・仮執行宣言付支払督促上は判決と同じ効力を有するため、申立人は債務者の財産調査や実際に差し押さえができる状態になってしまいます。

しかし、ギリギリこの時点で借金を返済したり司法書士等に相談をして債務整理を開始すれば、給与の差し押さえだけは回避できるでしょう。逆に言えば、ここを過ぎると給与を差し押さえられてしまうため本当に最終通告・最後の連絡と思って対応されたほうが良いでしょう。

ステップ6:財産調査〜給与等の差し押さえを開始

ここが最後のステップです。ステップ6まで来てしまえば給与の差し押さえが開始します。まずは債権者があなたの財産を調査します。口座内お金が入っている場合もこの時点で差し押さえが始まるでしょう。

また、給料日直後に預金口座を差し押さえられれば、その月は無収入になってしまう恐れがあります。通常、給与の差し押さえは1/4までと定められていますが、口座に入金された時点で預金資産としてみなされるため、全額の差し押さえが可能です(回避するためには事前の申し立てが必要)。

仮に、預金口座の差し押さえを避けられたとしても、給料が差し押さえられてしまうようになるでしょう。当然会社やあなたの自宅宛に差し押さえが決まったことを伝える書類が届きます。家族や会社に借金の事実や滞納をしていたことがバレてしまうでしょう。

給与を差し押さえられるとどうなるの?

万が一、給与を差し押さえられてしまうと下記のことが起こり得ます。

  • 手取り給与の1/4を借金完済まで差し押さえられる
  • 第三債務者である会社に裁判所から「債権差押通知」が送付される

給料の差し押さえが始まると、毎月多額のお金が差し押さえられるため、生活等にも甚大な影響をあたえる恐れがあります。次に、給与を差し押さえられるとどうなるのか?についてお伝えします。

手取り給与の1/4を借金完済まで差し押さえられる

給与の差し押さえが始まると、毎月可処分所得(手取り給与)の1/4が差し押さえられてしまいます。たとえば、手取り給与が20万円の方は毎月5万円を完済まで差し押さえられ続けます。

毎月、手取り給与の1/4も差し押さえられてしまえば、生活に甚大な影響が出るのは自分でも理解しているはずです。とはいえ、給与の差し押さえは債務者であるあなたが返済をしなかった結果です。あまんじて受け入れるしかないでしょう。

なお、手取り給与が44万円を超えている方は毎月33万円を超えた金額の差し押さえが可能です。よって、生活費の捻出が難しくなり、生活が困窮する恐れがあります。とにかく早めに対応しなければ、自分や家族の生活を苦しめる結果になるでしょう。

仮に、あなたが100万円の借金を抱えていて、給与差し押さえ前に任意整理で分割払いに変更したとしましょう。任意整理は原則元金のみを3年〜5年かけて返済をする手続きです。よって、毎月の支払額が1.7万円〜2.8万円の支払いで済みます。

生活等を考えればどちらが良いかは一目瞭然です。給与が差し押さえられる前に、任意整理等の検討をするべきでしょう。

第三債務者である会社に裁判所から「債権差押通知」が送付される

給与の差し押さえはあなたが持っている債権を差し押さえるのと同じです。あなたは、会社から給与を受け取る「権利」を有しているわけですから、この権利を差し押さえようとするのが給与の差し押さえです。

つまり、債権者は会社(あなたの勤務先)に対して「債務者(あなた)に支払う一部の給与をこちらに支払いなさい」という命令を発します。その結果、借金をしていた事実がかならず会社にバレてしまいます。

会社にバレてしまえば、自分自身が惨めな思いをしたり生活に支障が出たりするでしょう。できるだけ早めに対応しておくことで、給与の差し押さえは避けられます。会社にバレたくない、給与を差し押さえられたくない、と思うならば早めに対応しておくべきでしょう。

給与の差し押さえを回避・止めるためにはどうすれば良い?

給与の差し押さえを回避したり止めたりするためには、滞納を解消するしかありません。とはいえ、「返済できるだけの財力があるなら、はじめから滞納なんてしていない」というのが本音でしょう。

では、どのようにして給与の差し押さえを回避したり止めたりすれば良いのでしょうか?次に、給与の差し押さえを回避したり止めたりする方法についてお伝えします。

残債を一括返済すればすぐに差し押さえを止められる

当然ですが、滞納している借金を返済すれば差し押さえは回避できますし、差し押さえ中でも止めることができます。なぜなら、給与を差し押さえる意味がないからです。

なぜ給与を差し押さえるのか?その理由は、再三の請求をしてもなお返済がないため「強制的に差し押さえましょう」となったためです。差し押さえる理由がなくなれば、当然給与が差し押さえられることはないでしょう。

また、債権者から一括請求をされる前であれば、実際に滞納している分の返済で許される可能性があります。早めに滞納を解消しておくことで、給与の差し押さえはもちろん、多くの被害を抑えられるようになるでしょう。

転職をすれば一時的に差し押さえを止められる

給与の差し押さえとは、あなたに対して行われるものではなく会社に対して行われるものであるため、転職をすれば差し押さえを止められます。

そもそも給与の差し押さえとは、会社に対して行うものです。債権者から見れば第三債務者である会社(債務者の勤め先)に対して、「給与の一部をこちらに支払いなさい」と命令するのが給与の差し押さえです。

つまり、あなた転職をしてしまえばその会社からあなたに支払われる給与がなくなります。その結果、転職先企業が債権者に発見されるまでは、給与の差し押さえを止められるのです。

ただし、債権者は各自治体や税務署等に情報開示請求ができます。そのため、仮に転職をしてもすぐにバレてしまいます。転職先企業ですぐに給与を差し押さえられてしまえば、自分自身もその会社にいづらくなるでしょう。

あまりおすすめできる方法ではありませんが、差し押さえを止める方法として頭の片隅に入れておいてください。

(仮執行宣言付)支払督促受け取り時点で異議申し立てをする

給与の差し押さえを回避する方法として、裁判所からの支払督促・仮執行宣言付督促状が届いた時点で異議申し立てをしてください。いずれの書類も届いたあと2週間ずつ異議申し立てをできる期間が設けられています。

多くの方が、「異議申し立て=事実誤認に対してのみ」と思われているでしょう。たとえば「そのような借金はしていない(事実はない)」「金額が異なる」等々…。

しかし実際は、「借金を払えません」とか「分割払いに変更してほしい」などで異議申し立てをしても良いです。異議申し立てをすることで訴訟に発展し、裁判上で借金に対する判決を受けることになるでしょう。

概ね、訴訟に発展した時点でお互いが譲歩しあい、分割払いでまとまるケースがほとんどです。とはいえ、債務者自身も大きく譲歩しなければいけません。その結果、毎月の返済金額が高額だったり、利息等はそのまま残ったりなど、経済的メリットは少ない可能性があります。

しかし、給与の差し押さえを回避するのが目的ならば、異議申し立てをするのはとても有効です。異議申し立てできる期間は2週間ずつなので、督促状等が届いている方は早めに対応されたほうが良いでしょう。

債務整理で差し押さえを回避・止められる

どのような状況であっても、債務整理をすれば給与の差し押さえを回避したり止めたりできます。仮に、給与の差し押さえが始まってしまっているとしても、債務整理を開始した時点で給与の差し押さえは止まるので「困ったら債務整理」と考えておいてください。

なお、債務整理には下記3種類ありますが、唯一任意整理のみ法的手続き移行後は意味がなくなる恐れがあります。

【債務整理の種類】

任意整理
任意整理とは、このままでは借金の返済が困難であることを債権者に伝え、借金の減額(利息のカット)や分割払いの相談をする手続きです。任意整理交渉がうまくまとまれば、あらゆる利息のカットに加え、無理のない範囲で毎月返済をできるようになります。

しかし、あくまでも交渉手続きである任意整理は、債権者が法的手続きに移行した時点でする意味がなくなります。なぜなら、債権者が交渉に応じなくなるためです。債権者は法的手続きに移行後、強制執行であなたの給与等を強制的に差し押さえられる準備を開始しているため、わざわざリスクのある交渉に応じる必要がありません。

個人再生
個人再生とは、借金の返済が困難であることを裁判所に申し立て、借金を大幅に減額してもらう債務整理手続きです。しかし、給与所得者であるあなたは、可処分所得(手取り給与)の3年分までしか減額できません。

つまり、毎月の手取り額が30万円ある方は、720万円も借金が残る計算になります。借金の額があまりにも高額である方は良いですが、個人再生は経済的メリットのない手続きなので、その点注意してください。

自己破産
自己破産とは、借金の返済が困難であることを裁判所に申し立て、すべての借金を免責(0にすること)してもらう債務整理手続きです。他の債務整理とは異なり、一切借金が残らないのが特徴です。

借金を全て精算し、一からやり直したいと考えている方は自己破産を検討するべきでしょう。

債務整理手続きのうち、個人再生や自己破産は法的手続きであるため給与の差し押さえを止めることができます。一方、任意整理はあくまでも交渉手続きであるため、債権者が応じなければ差し押さえを止めることが難しいです。

債務整理の中でも任意整理は安価で簡単にはじめられるのが特徴です。そのため、給料が差し押さえられる前、もっと言えば法的手続き移行前に司法書士や弁護士に相談をし、債務整理を検討したほうが良いでしょう。

なお、万が一法的手続きに移行されてしまった方、現時点で給与を差し押さえられている方は、すぐに司法書士等へ相談してください。今以上に被害を拡大させないためにも早めの手続き対応が必要です。

給与差し押さえに関するよくある疑問

「給与の差し押さえだけは避けたい」誰しもがそう考えているのは当然です。では、万が一給与を差し押さえられてしまったらどうなるのでしょうか?

最後に、給与の差し押さえに関するよくある質問を3つほど紹介します。

  • 債権者に職場を知られていなければ差し押さえを避けられる?
  • 自分が引っ越しをすれば差し押さえを避けられる?
  • 給与を差し押さえられたら会社がクビになるの?

万が一、借金を滞納して給与を差し押さえられそうになっている方は、これからお伝えすることをぜひ参考にしてください。

債権者に職場を知られていない場合は差し押さえられない?

債権者があなたの職場を知らなければ、当然給与を差し押さえることができません。たとえば、あなたが転職をしていてそのまま申告をしていなかった場合などは、差し押さえられることができないでしょう。

しかし、債権者は市区町村や年金機構への情報提供を求められます。強制執行等、特別な事情があるときには情報の開示が可能であるため、職場を知られていないからといって油断をしていると差し押さえられてしまいます。

参考:裁判所|第三者からの情報取得手続を利用する方へ

ただし、あなたが会社等をやめて給与所得を得ていない場合には、当然給与を差し押さえることはできません。このとき債権者は他の財産等から差し押さえることになります。

とはいえ、配偶者や家族の財産を差し押さえられることはありません。あくまでも債務者本人が所有権を有するモノに対してしか差し押さえの効力が生じないので、その点だけは安心してください。

ただし、債権者はいかなる状態であろうとかならず借金を回収するよう努めます。可能であれば、早めに債務整理等を検討したほうが良いでしょう。

債権者が債務者の所在地を知らなければ差し押さえ回避可能?

債権者があなたの住所(所在地)を知らなければ、当然差し押さえをすることができません。仮に、あなたの勤務先がわかっていてもです。なぜなら、支払督促や仮執行宣言付督促状、債権差押命令等の各種書類を送付できないためです。

支払督促や仮執行宣言付督促状はとくに、債務者に対して「このような申し立てが行われていますがどうですか?異議はありますか?このままで良いですか?」といったお伺いの意味が込められています。よって、債務者本人に送達できなければ手続きを開始することすらできません。

ただし、逃げ得は許されないため、かならず債権者はあなたの所在地を突き止めます。弁護士会照会制度という制度を利用することで、旧住所からあなたの住所を簡単に発見できます。

参考:日本弁護士会連合会|弁護士会照会制度

なお、あなたが引っ越しをしたあとも住所変更手続きをしていなければ、発見が困難になります。しかし、引っ越し後14日以内に住所変更手続きを行わなければ、住民基本台帳法違反として、最大5万円以下の科料が課される恐れがあります。

よって、住所(所在地)が不明であってもほぼ100%の確率で給与の差し押さえが始まると思っておきましょう。仮にあなたが亡くなったとしても、相続人が借金を相続します。絶対に逃れられるものではないので、正しく対処されることをおすすめします。

給与を差し押さえられると会社をクビになるの?

万が一、給与を差し押さえられてしまえば必ず会社に借金を滞納していた事実がバレてしまいます。しかし、給与の差し押さえを理由に会社をクビになることはないので、その点だけは安心してください。

とはいえ、会社には必ずバレてしまうため自分が嫌な気持ちになることは言うまでもありません。社内で変な噂を立てられてしまう可能性もなきにしもあらずでしょう。

また、クビになることはなくてもお金に関する信頼が失墜してしまうでしょう。お金を扱うことが多い会社に勤めている方は、部署異動等の対応があるかもしれません。

クビになることはなくても社内からのイメージ等を考えれば、ある程度の被害は避けられないでしょう。少なからず影響が出る恐れもあります。早めに対応することを意識しておいたほうが自分のためになるのは間違いないでしょう。

まとめ

今回は、給与を差し押さえられるまでの流れとは?給与を差し押さえられるとどうなるのか?についてお伝えしました。

給与を差し押さえられるまでには、督促の開始から実際の差し押さえまで6つのステップがあるとのことでした。遅くてもステップ5までに対応できなければ本当に給与が差し押さえられてしまいます。

給与が差し押さえられてしまえば、生活にも影響をあたえますし、家族や会社からの評価も失墜してしまう恐れがあります。差し押さえを避けるためには、債務整理等を検討するべきです。

今回お伝えしたことを参考に、自分の状況を照らしながら今どうするべきか?今一度ご検討いただければ幸いです。

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