自己破産をすると財産を処分しなければいけない。ということは、自己破産を検討されている方は理解されているはずです。しかし、どこまで調べられるのか?と考えれば少し不安を感じてしまう方は少なくないでしょう。「できるだけ家族にバレたくない」「会社や同僚にもバレたくない」等々、不安を抱えている方も多いはずです。
自己破産という債務整理は、あなたの財産を処分する代わりに借金をすべて免責(0にすること)にする手続きです。よって、財産状況や収支確認等を徹底的に行わなければいけません。
今回は、自己破産手続きを始めた際に調べられることは何か?どこまで調べられるのか?についてお伝えします。本記事最後には、財産隠しをして万が一バレてしまった時のリスクもお伝えしています。少しでも「財産を隠せないかな…?」と思われている方は、記事後半も合わせて参考にしてください。
自己破産手続き開始時に調べられることとは?
自己破産をするときに調べられることは下記の3つです。
- 破産者の持っている財産情報
- 借金額や債権者の情報
- 破産者が借金を抱えた理由
まずは自己破産手続きを開始した際には何を調べられるのか?についてみていきましょう。次にお伝えする「何をどこまで調べられるのか?」にも繋がってきます。まずは、何を調べられるのかを知っておいてください。
破産者の持っている財産の調査
まずは破産者が持っている財産の調査を行います。
そもそも自己破産とは、あなたが持っている一定以上の財産を換価処分(お金に換えて処分)して債権者へ分配し、借金を免責(0にすること)にする債務整理手続きです。よって、まずはあなたが持っている財産を調査しなければいけません。
調査の結果、認められた財産はすべて破産財団にて管理・処分されます。なお、破産財団として認められる財産は「破産者が破産手続きを開始したときに持っている財産」と定められています。
破産者が破産手続きを開始したときとは、あなたが裁判所に破産手続きの申し立てをし、実際に破産手続き開始の決定を受けたときです。つまり、それ以降に取得した財産(新得財産)は換価処分の対象にはなりません。
「破産者が破産手続きを開始したときに持っている財産」つまり、「換価処分される財産」の範囲は非常に広く、少し複雑なので一度確認をしておきましょう。
【自己破産時調べられる財産の定義】
- 財産として認められているもの
- モノには限らず権利関係も含め、お金に変えられるすべてのものが財産です。よって、破産者が権利関係の財産を保有している可能性があるときは、権利関係の調査も行われます。また、極端な例ですが、広い意味で「お金に変えられるもの」と定義されているため、破産者が持つノウハウ(お金に変えられる場合)も財産として認められます
- 破産開始時点で破産者が保有していること
- たとえば、同居家族が所有している財産等は対象になりません。ただし、破産手続き開始決定前に処分した財産は調査の対象になり得ます(自己破産時の財産状況はどこまで調べられる?で詳しく解説しています)。
- 差し押さえが可能な財産であること
- 当然差し押さえが可能な財産でなければ、換価処分できません。ここでいう差し押さえが可能な財産とは、差押禁止財産に含まれていない財産(※)のことです。
- 自由財産に含まれていない財産であること
- 原則として破産者が破産手続き開始時点で所有している財産は、すべて換価処分の対象です。しかし、自由財産と言って破産者が自由に処分できる財産が認められています。これを自由財産(※)と言い、破産財団には属しません。
※差押禁止財産とは?
差押禁止財産とは、その名の通り差し押さえを禁止されている財産であり、もともと破産財団に属さない財産です。差押禁止財産に含まれる財産、主に生活に必要な動産のことを言います。たとえば、テレビや冷蔵庫等の財産が差押禁止財産に含まれます。
※自由財産とは?
自由財産とは、破産者が自由に処分できる財産のことを言います。法律では自由財産について下記のように定められています。
- 新得財産
- 破産手続き開始決定以降に取得した財産は新得財産(新しく得た財産)として、破産財団に属しません。
- 要99万円以下の現金
- あくまでも「現金」であり、銀行預金等は含まれません。当然、自己破産時には口座内まで調べられるので注意してください。
- 自由財産の拡張が認められた財産
- 破産者が最低限どの生活を送るために必要だと申し立て、認められた財産についても破産財団に属しません。破産者の実情に合わせて個別に判断されるのが一般的です。
- 破産管財人によって破棄された財産
- まず、破産管財人とは破産財団を管理する者を言います。この破産管財人が破棄した財産は、破産者の自由財産として認められます。たとえば、換価処分が難しい(価値がない・価値があるけど買い手がつかない等)ような財産は破棄され自由財産として認められるでしょう。
このようにまずは、破産者が持っている財産のすべてを徹底的に調べられます。
借金額や債権者を調査
借金額や債権者の調査のことを債権調査と言いますが、これは自己破産に限ったことではありませんすべての債務整理手続きにおいて、一度すべてを洗い出します。そのうえで自己破産という性質上、すべての債権者に受任通知が送付される流れになっています。
とくに、自己破産の場合は「すべての借金」が対象になるため、徹底的に調査をしなければいけません。たとえば、消費者金融等からの借り入れはもちろん、各種ローン契約や友人・家族等からの借金も調査し、報告をしなければいけません。
そして、すべての債権者に対して弁護士や司法書士から受任通知を送付します。その後は債権者が破産者に対して直接連絡をしたり、債権の取り立てをしたりできなくなります
【債権調査で調べられること】
- 債権者と債権額の調査
- 消滅時効の成立有無
- 相続や連帯保証によって新たな借金を抱えていないかどうか
- 売買代金等で未払いが発生していないか
自己破産は「すべての借金」を免責にする手続きであるため、債権の状況を徹底的に調べ上げ、債権者に通告しなければいけません。よって、あらゆる手段を用いて上記のことはすべて調べられるでしょう。
自己破産をするうえで債権調査はかならず行わなければいけません。正確かつ確実な手続きを目指すためにも、隠し事をすることなく正しく伝えるようにしてください。たまに「家族から借金をしているけど、バレたくないから言わないでおこう」などと言い、隠してしまう方がいます。
これは偏波(へんぱ)弁済(特定の債権者のみに支払う行為)として違法になります。破産手続きができなくなるだけではなく、悪質な場合には詐欺破産罪として刑事罰の対象になり得るので注意してください。
破産者が借金を抱えた理由の調査
自己破産をする際には、破産者が借金を抱えた理由を調査する必要があります。なぜなら、自分の欲望に負けて作った借金の場合は、わざわざ借金を免責にする必要がないためです。
自己破産をする際はかならず免責不許可事由に該当しているか否かを確認をします。その結果、免責不許可事由に該当していれば、自己破産の免責許可は下りません。たとえば、ギャンブルや浪費で作った借金は免責不許可事由に該当するため、免責許可は下りないでしょう。
【免責不許可事由一覧】
- 浪費やギャンブルによって作った借金
- 財産を隠したり勝手に贈与したりする行為
- 特定の債権者のみに返済をする行為
- 破産申し立てから1年以内に身分(住所・氏名等)を偽ってクレジットカード等を作成し、買い物をしたり借金をしたりしたとき
- ローンやクレジットカードで購入した商品を、明らかに安い価格で処分したとき
- 今回の申し立て以前7年以内に免責許可決定を受けたことがある
- 裁判所や破産管財人に協力しなかった場合
参考:裁判所|免責不許可事由
あなたが借金を抱えた理由を踏まえ、本当に財産を消滅させることが適当なのかどうかを確認します。もし、免責許可を決定するのが適当と認められ場合は、免責許可を受けることができず、借金をなくすことができません。
ただし、ギャンブルや浪費が原因で借金を作ってしまった場合も破産者本人がしっかり反省し、悔い改めている場合には、裁判所の裁量で免責を認めることがあります。これを裁量免責と言いますが、よほどのことがない限りは認められるので安心して相談してください。
自己破産時の財産状況はどこまで調べられる?
自己破産をする際に調べられることは、「破産者が持つ財産情報」「債権者・債権の情報」「破産者が借金を抱えた理由」とのことでした。では、実際にこれらのことをどのようにして、どこまで調べられるのでしょうか?
次に、自己破産を行う際の手続きで、どのようにしてどこまで調べられるのか?についてお伝えします。自己破産を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
提出書類の精査
自己破産を申し立てる際には、いくつかの書類を提出しなければいけません。その書類の中には、破産者が持っている財産や家計収支等を明らかにするものが含まれています。
【破産手続き申し立て時に提出書類】
- 破産手続開始・免責許可申立書
- 破産手続きの申し立てに必要な書類であり、負債額や財産額、家族構成等を詳細に記載します。その他、差し押さえの有無や借金をするに至った経緯を時系列で細かく記載し、所有財産も細かく記載しなければいけません。
- 資産目録
- 申立書で大まかに資産状況を記載しなければいけませんが、それとは別に資産目録の提出も求められます。資産目録では預貯金や不動産、その他財産などを細かく記載するよう求められます。漏れのないように確認しながら記入してください。
- 家計収支表
- 家計の収入・支出を破産申し立て2カ月分記入する書類です。
- 債権者一覧表
- 債権者の氏名あるいは会社名や所在地、借り入れ金額等を詳細に記入する書類です。
- その他必要書類
- その他必要となる書類は別途下記でお伝えしています。
【破産申し立て時に必要となるその他書類】
- 世帯全員の住民票(マイナンバーの記載がないもの)
- 給与明細書のコピー
- 源泉徴収票のコピー
- 土地・建物の不動産全部事項証明書(持ち家の方)
- 賃貸借契約書(全部のページ)コピー(借家の場合)
- その他債権や財産等の証拠となり得る書類等
上記の通り、破産手続き開始時には多くの書類提出が求められます。まずは申し立て書類で大まかに記入し、補助書類で詳しく記入するような形です。
裁判所でまず初めに調べられるのはあなたが申告した書類です。すべてを精査し、それを裏付ける書類があればそれで完了します。しかし、何かしらの疑わしい事実があったときはさらに深くまで調べられる可能性があるので注意してください。
過去5年以内に20万円以上で購入した物品も申告
申し立てをする裁判所によっては、過去5年以内に20万円以上で購入したモノまで申告をしなければいけません。さらに、用意ができるのであればそれを裏付ける証拠(購入レシート等)も必要です。
万が一、過去5年以内に20万円以上で購入したモノを、借金返済等のために換価処分した場合は、その申告もしなければいけません。何かしら疑わしいことがあれば、しっかり調べられてしまうため、覚えている範囲で漏れなく申告するように心がけてください。
破産者宛の郵便物を転送
裁判所は破産管財人の職務遂行上、必要であると認められる場合に限っては、破産者宛の手紙を破産管財人へ転送するよう配送業者へ嘱託できます。郵送物の転送によって、隠し財産が発覚したり新たな債権者を発見したりされてしまう恐れがあります。
先ほども簡単にお伝えしましたが、財産を隠したり特定の債権者のみに借金を返済したりする行為は認められません。免責不許可事由に該当するだけではなく、最悪の場合は詐欺破産罪になり得るので避けるべきです。
仮に財産等を隠そうとしても、郵送物の転送でバレてしまう可能性が非常に高いです。たとえば、クレジットカードの利用明細書が転送されたり、固定資産税や自動車の通知書からバレたりしてしまう可能性は高いでしょう。
必要に応じて金融機関や保険会社へ情報提供を求める
必要に応じて金融機関や保険会社、信用情報機関等へ情報提供を求めて徹底的に調べられることもあります。
たとえば、あなたが破産申し立て時に申告をしていない口座の発見や、隠していた解約返戻金のある保険の発見などが起こり得るでしょう。また、信用情報機関へ情報開示請求をすることで、あなたの借金状況を明らかにすることもできます。
やはり徹底的に調べられた結果、何かしらの隠し事が明らかになれば、免責不許可事由に該当してしまう恐れがあります。単に「忘れていた」だけならば大きな問題にはなりませんが、できるだけ漏れのないように申告をするように心がけてください。
過去1年〜3年分程度の入出金明細
破産者が持つ銀行口座の入出金明細も概ね1年〜3年分提出しなければいけません。とくに銀行口座は、入金や出金等細かく記載されているため、怪しい入出金があるとすぐに突かれてしまうでしょう。
破産管財人は弁護士ですが、慣れている方ならすぐに怪しい入出金で、隠し財産等がバレてしまう恐れがあります。口座を隠すことも許されなければ、中身を隠すことも許されません。借金も財産も徹底的に調べられるので、隠し事はしないほうが良いでしょう。
配偶者の通帳も提出しなければいけない
破産者に配偶者がいる場合には、配偶者の通帳(入出金明細)も提出しなければいけません。また、配偶者に収入がある場合には、給与明細書や源泉徴収票の提出も求められるでしょう。
これは、隠し財産を発見するためのものです。たとえば、配偶者が専業主婦であるにもかかわらず、毎月数万円ずつ口座に入金があったとしましょう。それがATM等による入金なら「配偶者の口座で貯金をしているのではないか?」と疑われる恐れがあります。その結果、隠し財産等の発見につながることもあるため、かならず提出が求められます。
なお、配偶者に収入があっても破産手続きに大きな影響をあたえることはありません。とはいえ、自己破産は債権者が大きく損をする手続きであるため、配偶者に多額の収入等がある場合には、破産手続きに影響が出る恐れもあるでしょう。
働いていない子供の預金は、確認および差し押さえの対象になる恐れがあります。たとえば、破産者しか働いていない世帯で、子供の預金が実質的に破産者のものである場合です。もちろん、子供本人がお年玉等を貯めたお金であれば、差し押さえの対象にはなりません。
自己破産前に財産を隠しておくことはできる?
自己破産の免責許可決定を受けることで、すべての借金を精算できる一方、破産者が抱えているほとんどの財産を処分しなければいけません。たとえ、その財産に相当な思い入れがあったとしてもです。
そのため「できれば、この財産だけは隠しておけないかな…?」と考えてしまう方も中にはいるでしょう。借金は返済できないけど、どうしても処分したくない財産を抱えている方がいてもおかしくはありません。
しかし、自己破産によって借金をすべて精算する以上は、あなた自身も財産をすべて処分しなければいけません。なぜなら、債権者から見ても返したお金が一銭も返ってこないとなると、あまりにも酷だからです。
もしかすれば、あなたが自己破産をすることによって、生活が困窮してしまう債権者がいるかもしれません。あなたの財産を換価処分して分配されることで、少なからず救われる方がいるかもしれません。
これらのことを考えると、破産者であるあなたが財産を隠してしまうのは、絶対に許されることではないでしょう。とはいえ、誘惑が勝ってしまい、万が一財産を隠してしまったらどうなるのでしょうか?
最後に、破産者が財産を隠すと起こり得るリスクについてお伝えします。自己破産手続きの本質を理解したうえで、参考にしてください。
財産を隠し通すことはほぼ不可能
まず大前提として、財産を隠し通すことはほぼ不可能と言って良いでしょう。なぜなら、先にもお伝えした通り、あらゆる手段を用いて、あなたの財産状況を調べられるからです。
たとえば、あなたの現預金等は口座の入出金明細等でバレてしまいます。あなたが隠しているつもりでも、破産管財人が少しでも「怪しい」と考えれば徹底的に調べられるため、バレる可能性はとても高いでしょう。
また、モノによる財産も申告しなければバレないのではないか?と思われがちですが、バレる可能性は高いです。原則、管財人が自宅に財産を確認しに来ることはありませんが、何かしら疑わしいときは調査をしに来ます。
通常、破産管財人との面談や資産目録等で判断をしますが、プロである破産管財人(弁護士)に嘘は通用しないと思っておいた方が良いでしょう。見破られる可能性は高いです。万が一、バレてしまった時のことを考えても、あまりにもリスクが高すぎるため避けたほうが良いでしょう。
なお、換価処分できる財産を持っていない方は、(少額)管財事件として扱われません。同時廃止事件として扱われるため、自己破産費用を安く抑えられます。
しかし、破産者の財産状況が怪しいときや、免責不許可事由に該当する恐れがあるときは、(少額)管財事件として扱われます。初めから素直に応じておいたほうが自分のためになるでしょう。
債務整理費用が支払えない場合はどうする?費用が用意できなくても債務整理をする方法を解説財産隠しは免責不許可事由に該当する
万が一、財産を隠していることが破産管財人や裁判所にバレてしまうと、免責不許可事由に該当してしまうため、借金を免責することができません。もちろん、司法書士や弁護士へ支払った自己破産費用も返還されることはないため、ただただ無駄金を支払ってしまっただけになります。
さらに、免責許可が下りなかったことであなたは10年間、破産者として資格制限を受け続けることになります。通常、破産手続き開始決定後〜免責許可決定(判決)を持って復権しますが、免責不許可事由を受けてしまった方は、10年間復権することはできません。
よって、資格制限を受けている職についている方は、著しい影響が出る恐れがあります。「ただ財産を隠しただけなのに…」と思うかもしれませんが、ルールを守れなければ罰せられるのは当然のことです。
悪質な場合は「詐欺破産罪」になり得る
いわゆる財産隠しが悪質であると判断された際には、「詐欺破産財」として罰せられます。万が一、詐欺破産罪が認められてしまえばあなたは「1カ月以上10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金」に処されます。
自己破産をする過程で財産を隠してしまい、徹底的に調べられた結果に財産隠しがバレてしまえば、自己破産ができないうえに刑事罰も受ける恐れがあります。非常に重罪であるため、財産を隠すような行為は絶対にするものではありません。
そもそも、自己破産とは本来返済すべき借金を破産者が払えないからといって、すべて免責する手続きです。債権者からすれば、本来は返してもらえるはずだったお金を返済してもらえなくなるのです。
そのような状況下で「少しでも良いから返済してほしい。それで許すからお願い。少しだけでも返して…」というのが債権者の本音だと思ってください。財産を隠す行為は、この債権者の気持ちを踏み躙るのと同じです。
そのため、万が一バレてしまえばとても厳しい結果が待っているのは当然です。正直、自業自得としかいえません。絶対に財産を隠す行為だけはせず、素直に申告をするようにしましょう。結果的に自分が損をするだけです。
詐欺破産罪になり得る事例紹介
過去を振り返れば、実際に詐欺破産罪(破産法違反)で刑事罰を受けた方がいます。個人で自己破産をされた方が、詐欺破産罪で裁判まで至ったケースは少ないですが、財産を隠しているとどうなるのか?について実際に発生した裁判を1例ご紹介します。
【破産法違反の裁判例】
この事件は合計約8億円の財産を隠匿しようと考え、実際に隠匿するための行為を行い、隠匿した裁判です。金額が8億円弱と非常に高額であったことや、その悪質性から被告人(破産者)には「懲役3年執行猶予5年」の判決が下されました。
参考:裁判所|判例(事件番号:平成27特(わ)1454)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87719
執行猶予がついたとはいえ、非常に厳しい判決が下ったのはいうまでもありません。個人の自己破産であっても、債権者へあたえる恐れがあった損害やその悪質性によっては、罰金や懲役の判決が下る可能性は十分にあります。
仮にあなたが財産を隠したとしても、徹底的に調べられてしまえばかならず報いを受けることになるでしょう。自己破産をするうえで財産を隠す行為は百害あって一利なしです。自己破産がどういう制度なのかを理解したうえで、正しく申告をするように心がけてください。
まとめ
今回は、自己破産をするとどこまで調べられるのか?についてお伝えしました。一言でまとめると「徹底的に調べられる」ということでした。
自己破産手続きは債務者の借金をすべて免責(0)にする代わりに、破産者が持っている財産を換価処分して債権者に分配する手続きです。そのため、破産者が財産を隠して債権者に不利益を与えるようなことがあってはいけません。
そのため、必要に応じて破産管財人を選任し、破産者が持っている財産を徹底的に調べなければいけません。
破産管財人はある程度の権力を有しているため、手紙の転送等も可能ですし、信用情報の開示請求や口座の開示請求等も可能です。あらゆる可能性を考えれば、財産を隠し通すのは決しておすすめできません。
自己破産の本質を理解し、正しく申告を行ったうえで正しく借金を精算するようにしてください。間違っても財産の申告漏れがないよう、くれぐれも気をつけてください。