「借金300万円」と聞くと、多くの方が危険性を感じてしまうかもしれません。しかし、300万円の借金が危険かどうかは一概に判断をできません。借金の種類や債務者の収入によって危険・安全を判断するべきでしょう。
そこで今回は、借金の種類別に300万円の借金は危険なのか?についてお伝えします。また、何パターンかの利率を設定し、返済シミュレーションもお伝えしています。自分が無理なく返済を続けられるのか?ぜひ参考にしてください。
目次
借金の種類別で判断!300万円の危険性を紹介
300万円の借金が危険かどうかを判断するためには、あなた自身の収入や借金の種類がポイントです。
たとえば「住宅ローンで300万円」と聞けば、ほとんどの人が「無理なく返済できる」と感じるでしょう。一方、「クレジットカードやカードローンで300万円」と聞けば、ほとんどの人が「大丈夫か?危ないのではないか?」と感じるでしょう。
このように、借金が300万円あること自体が危険なのか、安全なのかを一概に判断することはできません。実際はその借金の中身や債務者(お金を借りている人)の状況や収入によって危険性を判断します。
なお、どのような種類の借金でも「返済が厳しい」と感じている時点で危険です。「◯◯だから安心」等といったことは絶対にありません。これからお伝えすることは、あくまでも一般的な判断であると思っておいてください。
それでは早速、種類別に借金総額300万円の危険性を見ていきましょう。
住宅ローンで300万円なら問題なし
借金300万円の中身が住宅ローンならばほぼ問題はないでしょう。ただ、下記のことに該当する場合には、少し問題ありと判断しておいたほうが良いかもしれません。
- 返済期間が短くて毎月の返済負担が大きい場合
- 失業等によってローンの返済が厳しい
- 病気や怪我で働けなくなってしまった
同じ300万円の住宅ローン(借金)であっても、返済期間が10年残っている方と3年しか残っていない方では、毎月の返済負担額が大きく異なります。住宅ローンの一般的な金利は1%前後であるため、毎月の返済金額は下記の通りになります。
【借金300万円を10年で返済する場合】
26,281円/毎月の返済負担額
【借金300万円を3年で返済する場合】
84,624円/毎月の返済負担額
上記の通り、住宅ローンの金利や残債が同じであっても返済期間によって返済負担額が異なります。
住宅ローンは、自分が生活をするための拠点に対してお金を支払っているものであるため、300万円の借金でも無理なく返済はしていけるでしょう。とはいえ、なんらかの事情で住宅ローン残高300万円の返済が難しいならば、債務整理や任意売却といった手続きを進めたほうが良いでしょう。
自動車ローンで300万円は収入次第
自動車ローンで300万円を抱えている方は、収入次第では危険な状態と言えるでしょう。
そもそも自動車ローンの返済期間は概ね5年以内、銀行系だと10年以内で設定するケースが多いです。返済期間が長ければ長いほど、毎月の返済負担額が軽減できるため、返済不能に陥る可能性は低いでしょう。
仮に自動車ローンの金利が3%だった場合、毎月の返済負担額は下記の通りです。
53,906円/毎月の返済負担額
【300万円の自動車を10年で完済する場合】
28,968円/毎月の返済負担額
自動車ローンの返済を10年間で続けていく場合は、約3万円の支払いで済みます。一方、5年程度で完済を目指す場合は約5.4万円です。自動車はいわゆる贅沢品であるため、収支バランスによっては危険な状態になっているかもしれません。
もしも「返済が苦しくなってきた」と感じているならば、自動車を手放す覚悟で債務整理等を検討されたほうが良いかもしれません。もしくは、今乗っている自動車を手放して維持費や本体価格が安い自動車に乗り換えを検討しても良いでしょう。
その他目的ローンは利率次第
借金総額が300万円であっても、実際は利率や使途次第で危険かどうかの判断が分かれます。先にお伝えした通り、住宅ローンであれば利率も低く生活の一部であることから、危険性は低いと判断できます。
一方、自動車のローンで300万円の借金をした場合は、債務者の収入次第で危険かもしれないとのことでした。その他の目的別ローンとしては教育ローンやブライダルローン、リフォームローン等々ありますがいずれも利率や本人の収入次第と言えるでしょう。
【目的別ローンの一般的な金利】
目的別ローン | 利率 |
---|---|
教育ローン | 3%~4%(銀行系) |
ブライダルローン | 3%~10% |
リフォームローン | 1%~4%(銀行系) |
何かしらの目的があって借り入れする借金は、基本的に金利が低い傾向にあります。そのため、300万円の借金をしても収入や返済期間(返済計画)次第では無理なく返済を続けられるでしょう。
しかし、住宅ローン以外の目的別ローンは、生活をするためにかならず必要であるとは限りません。
たとえば教育ローンなら、子供が生まれたときからその時期にお金が必要になることがわかっているため、あらかじめ準備しておけば借金をする必要もありません。ブライダルローンもかならず必要か?と言えばそうではないでしょう。
リフォームローンにしても、住宅を購入した時点である程度の修繕やリフォームが等が必要になることはわかっているはずです。あらかじめ準備をしておけば済んでいた話です。
あらかじめ準備をできなかったからといって、ローンを組むことがかならずしも正解とは限りません。金利が低ければ返済もしやすくなるかもしれませんが、300万円の借金をしている時点で安全とは言えないでしょう。
クレジットカード・カードローンならかなり危険
クレジットカードやカードローンで300万円の借金を抱えているなら、相当危険な状態です。今すぐ借金を整理するための手続きを検討されたほうが良いでしょう。そう遠くない未来にかならず借金返済不能状態に陥ります。
ただし、クレジットカードを300万円使っても毎月一括で返済できるだけの資力がある方なら、もちろん問題はありません。クレジットカードを日常使いされている方も多いですが、原則一括返済されている方なら借金が300万円あろうが500万円あろうがまったく問題ないでしょう。
問題があるのはカードローンを利用されている方、分割払いやリボ払いでクレジットカードを利用されている方です。なぜなら、カードローンやクレジットカードの金利が非常に高いからという理由と、毎月の返済額が異常に高いからです。
300万円の借金を年率15%で借りていた場合は、1カ月(30日)で約36,986円の利息が発生します。よって、毎月最低でも37,000円程度の借金を返済できなければ、元金を減らすことができません。
貸金業者によっては最低弁済額を貸付金額の3%程度に設定しています。300万円の借金があるならば、毎月9万円の返済をしなければいけません。日本人の平均手取り月収(27万円~29万円)から見れば、生活を圧迫することは言うまでもないでしょう。
上記の通り、一般的に見ればカードローンやクレジットカードで300万円の借金を抱えている状況は、非常に危険であり今すぐに対処しなければいけません。対応が遅れてしまうと、信用情報への影響や強制執行(給料や財産の差し押さえ)等が始まってしまう恐れがあるので注意してください。
300万円の借金は返済可能?毎月の利息と返済期間を解説
一般的な収入の方であれば、300万円の借金を返済するのはなかなか容易ではありません。とはいえ、借り入れ金利や返済期間によっては完済を目指せるかもしれません。
次に、300万円の借金を年率5%・10%・15%で借りていたときの返済期間やそう返済金額、毎月の利息についてお伝えします。自分が抱えている借金の金利と近いシミュレーションを参考にしてください。
年率5%の場合
年率5%は目的別ローンや銀行系のカードローン等の一部と同程度です。年率5%で300万円の借金をしていると、1日に発生する利息の金額は約410円です。よって、1カ月あたりに発生する利息金額は約13,000円程度と思っておけば良いでしょう。
では、年率5%で300万円の借金を確実に完済するためには、どのくらいの期間・毎月の返済額が必要なのでしょうか?それぞれ詳しく見ていきましょう。
【3年で完済を目指す場合】
返済回数 | 総返済金額 | 総利息 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
36回 | 3,236,832円 | 236,832円 | 89,912円 |
【5年で完済を目指す場合】
返済回数 | 総返済金額 | 総利息 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
60回 | 3,396,780円 | 396,780円 | 56,613円 |
【7年で完済を目指す場合】
返済回数 | 総返済金額 | 総利息 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
84回 | 3,561,684 円 | 561,684円 | 42,401円 |
【10年で完済を目指す場合】
返済回数 | 総返済金額 | 総利息 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
120回 | 3,818,280円 | 818,280円 | 31,819円 |
年率5%で300万円を借りている場合は、比較的利息金額も少ないです。とはいえ、10年間と言う長期間で完済を目指す場合は、利息金額だけで80万円を超えます。毎月の返済額も3万円以上と決して安いわけではありません。
年率10%の場合
年率10%は自動車ローンや一部のカードローン等と同程度です。年率10%で300万円の借金をしていると、1日に発生する利息の金額は約821円です。よって、1カ月あたりに発生する利息金額は約25,000円程度と思っておけば良いでしょう。年率5%のときと比べても利息の負担が重いのが分かります。
では、年率10%で300万円の借金を確実に完済するためには、どのくらいの期間・毎月の返済額が必要なのでしょうか?それぞれ詳しく見ていきましょう。
【3年で完済を目指す場合】
返済回数 | 総返済金額 | 総利息 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
36回 | 3,484,386円 | 484,836円 | 96,801円 |
【5年で完済を目指す場合】
返済回数 | 総返済金額 | 総利息 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
60回 | 3,824,460円 | 824,460円 | 63,741円 |
【7年で完済を目指す場合】
返済回数 | 総返済金額 | 総利息 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
84回 | 4,183,452円 | 1,183,452円 | 49,803円 |
【10年で完済を目指す場合】
返済回数 | 総返済金額 | 総利息 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
120回 | 4,757,400円 | 1,757,400円 | 39,645円 |
利率が10%になると利息の負担額が重くのしかかります。仮に300万円の借金を7年で完済しようとしても、利息だけで100万円以上支払わなければいけません。
返済期間が長ければ長いほど、毎月の返済負担額を軽減できますが、その分利息も増えます。本当に完済を目指せるのか?完済を目指すべきなのか?今一度考えて見たほうが良いでしょう。
年率15%の場合
年率15%はリボ払いや消費者金融等のカードローンと同程度です。年率15%で300万円の借金をしていると、1日に発生する利息の金額は約1,232円です。よって、1カ月あたりに発生する利息金額は約36,986円程度と思っておけば良いでしょう。
利率が15%にもなると、1日で1,000円以上の利息が発生するため、いかにして元金を効率よく減らすかがポイントになります。年率15%で300万円の借金を確実に完済するためには、どのくらいの期間・毎月の返済額が必要なのでしょうか?それぞれ詳しく見ていきましょう。
【3年で完済を目指す場合】
返済回数 | 総返済金額 | 総利息 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
36回 | 3,743,820円 | 743,820円 | 103,995円 |
【5年で完済を目指す場合】
返済回数 | 総返済金額 | 総利息 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
60回 | 4,282,140円 | 1,282,140円 | 71,369円 |
【7年で完済を目指す場合】
返済回数 | 総返済金額 | 総利息 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
84回 | 4,862,760円 | 1,862,760円 |
【10年で完済を目指す場合】
返済回数 | 総返済金額 | 総利息 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
120回 | 5,808,000円 | 2,808,000円 | 48,400円 |
利息制限法という法律に従えば、300万円の借金に対する最高利率は15%です。消費者金融等は確実な収益を発生させるために、上限いっぱいの利率を設定するケースも珍しくはありません。
万が一、あなたが年率15%で300万円の借金を抱えているならば、非常に危険な状態であることは上記の通りです。このままではかならず返済不能状態に陥ってしまうでしょう。
毎月の返済負担額を軽減しようと10年間での完済計画を立てれば、利息だけで300万円弱です。実際に借りた金額の倍額を支払わなければいけないという異常な状態であることを理解してください。
もし、5年程度で完済を目指すならば毎月7万円強の返済を続けなければいけません。日本人の平均月収や芸金的な支出を鑑みれば、非常に厳しいのが現実でしょう。返済できるだけの資力がないならば、思い切って借金を整理するための手続きを開始するべきでしょう。
借金総額300万円の返済が厳しいときはどうすれば良い?
借金300万円の返済が厳しいときは、すぐにでも下記の対処法を検討してください。
- 複数者から借入をしているときは一本化を検討する
- 収入を増やして完済を目指す
- 債務整理で借金の減額や免除を目指す
「借金の返済が難しい」そう感じている時点で、遅かれ早かれ借金返済不能状態に陥ります。気付いた時点で早めに対応をしていれば、被害を最小に抑えられる可能性が高いです。
最後に、借金300万円の返済が厳しいときに検討すべき対処法についてお伝えします。現時点で「返済が厳しい・苦しい…」と感じている方は、これからお伝えすることを参考にしてください。
複数社からの借り入れなら一本化を目指す
複数社から借金の借入をしている方、いわゆる多重債務者の方は借金の一本化をすることで借金の返済負担を軽減することができます。その理由として大きいのが「利息」です。
利息制限法では貸付利率の上限を下記のように定めています。
借入金額 | 利率上限 |
---|---|
10万円以下 | 20% |
10万円超100万円未満 | 18% |
100万円超 | 15% |
たとえばあなたが6社の消費者金融から50万円ずつ借金をしていた場合は、利率が最大で18%まで認められます。その結果、1日あたりの利息が約1,479円、1カ月で計算をすると約44,383円になります。年率15%と比較すれば、その差は約7,000円です。
当然返済期間が長くなれば総支払金額も多くなりますし、利率が高い分、毎月の返済負担額も高額になります。さらに、返済手数料(ATM手数料)や毎月の最低弁済額を考慮すれば、一般的な収入で一般的な生活はほぼ無理でしょう。
しかし、借金を一本化することで利率を大幅に下げられる可能性があります。最低でも15%に下げられるため、十分な経済的効果が発生します。さらに、おまとめローン(借金の一本化)をすることで、15%以下の金利軽減も見込めるでしょう。
借金は以下にして金利を引き下げるかによって、完済までの状況が変わってきます。借金が厳しい方で、信用情報にキズがついていない方は一本化を検討されてみてはどうでしょうか。
収入を増やして完済を目指す
借金の返済が厳しいのであれば、副業等をして収入を増やせば良いでしょう。
最近では副業をする方も増えてきており、企業で見ても副業を解禁しているところが多い印象です。また、公務員以外で副業を禁止すること自体違法との見方もあります。「うちの会社は副業が禁止だから…」は言い訳でしかありません。
もしも副業を会社で禁止されているならば、まずは会社側に強気で副業交渉を行うべきでしょう。毎月5万円程度の収入を増やすだけでも、確実に300万円の完済を目指せるはずです。
まずは、できない理由を探す前にどうすればできるのか?について考え、自ら行動して変えていくことを意識されたほうが良いでしょう。
借金返済におすすめの副業って何がある?副業をする際の注意点も解説債務整理で借金の大幅な減額を目指す
失業や離職等、なんらかの事情で借金の返済が難しくなった方、働いているけど借金が膨れすぎて返済が難しい方は、債務整理を検討してください。債務整理をすることで300万円ある借金を大幅に減額したり0にしたりできるでしょう。
【債務整理の種類】
- 任意整理
- 任意整理とは債権者(お金を貸してくれている人)に対して「借金の返済が厳しいから減額&返済計画の見直しをしてほしい」と依頼・交渉する債務整理手続きです。交渉が成立すると、利息のカットに加えて借金返済期間の見直しを行えるでしょう。
300万円の借金の場合は、利息が大きな負担になっているため、任意整理をするだけでも経済的効果は非常に大きいです。さらに、任意整理をすれば元金のみを返済すれば良くなるため、仮に5年で完済を目指すならば毎月50,000円の返済で済みます。
- 個人再生
- 個人再生とは裁判所に対して借金の返済が困難であることを申し立てて、借金を大幅に減額してもらう債務整理手続きです。個人再生をすることで借金を最大で100万円まで減額できるため、最高で200万円程度の減額(人によります)は見込めるでしょう。
また、個人再生の特徴として「住宅を残しておける」というものがあります。住宅ローン特則と言って、住宅ローンを省いてその他の借金のみを整理できるので、住み慣れた自宅を処分する必要もありません。
- 自己破産
- 自己破産とは裁判所に対して借金の返済が困難であることを申し立て、借金のすべてを免責(0にすること)してもらう債務整理手続きです。自己破産が成立することによって、すべての借金を消滅させることができるため、最大で300万円の経済的メリットが発生するでしょう。
ただし、借金をした理由によっては免責不許可事由に該当したり、一定以上の財産を処分しなければいけなかったりなど、自己破産はデメリットも多いです。借金をすべて免責にできることを考えれば当然とも言えますが、デメリットも把握したうえで自己破産を検討してください。
債務整理は上記の通り複数の種類があります。自分がどの手続きを始めれば良いのかわからないという方も、まずは司法書士等の専門家へご相談ください。早めの手続きを開始することで被害を最小に抑えられる可能性が高くなります。借金に悩まれているくらいなら今すぐ行動することが大切でしょう。
まとめ
今回は、借金総額300万円の危険性や返済シミュレーションについてお伝えしました。
借金300万円はその中身によっても危険性が異なるとのことでした。たとえば、住宅ローンで300万円の残債があるなら、特別危険とは言えないでしょう。一方、他の目的別ローンやカードローンクレジットカードで抱えている借金額なら危険かもしれません。
収入に見合っていない支出を繰り返した結果が分割払いです。分割払いには利息がかならず発生するため、借金額が高額になればなるほど「返しても返しても減らない」という状態に陥ります。
今回お伝えした返済シミュレーションを元にしていただきながら、少しでも「返済が厳しい」と感じているならば、借金解決方法を検討してください。収入を増やしたり債務整理をしたりなどできることはたくさんあるはずです。
まずは自分の状況を見つめ直し、300万円の借金とどのように向き合っていくのか?を検討されてみてはどうでしょうか。