学生のときは付き合いなどで支出が多い一方、収入が少ない分つい「借金」に頼ってしまうこともあるでしょう。
借金をした後で「借金を返済できなくなってしまった」となれば、今後の生活や就職活動にも影響を与えるのではないかと不安を抱えている方も多いでしょう。
基本的には、学生が借金を抱えていても今後の就職活動などに影響を与えることはありません。
しかし、借金を返済できないとなると話は別です。学生が借金の返済を滞れば、クレジットカードを持てなかったりローン契約が難しかったり、最悪の場合に就職先企業に借金がバレる恐れもあります。
上記のことからも「確実に借金を返済したい」そう思う学生は多いはずです。
そこで今回は、学生が「多額の借金を抱えてしまったときの対処法について3つ」を紹介するとともに「借金返済をする上で絶対に避けるべきこと」をお伝えします。
学生で多額の借金を抱えてしまったときにすべき3つの返済方法
学生が多額の借金を抱えてしまったときは、以下いずれかの方法で根本的な解決を図るべきでしょう。
- 親に相談して借金を肩代わりしてもらう
- 収入を増やして確実に完済を目指す
- 債務整理で借金を清算する
「親に相談したくない」「債務整理だけは避けたい」という学生も多いかと思いますが、一つの選択肢として参考にしてください。
返済方法①:親に相談し借金を肩代わりしてもらう
自分の能力や収入のみで借金の返済ができなくなってしまったのであれば、親に相談することも一つの手段です。
借金の額や親の経済状況によっては、借金の肩代わりをしてもらえないこともあるでしょう。もちろん、親から厳しい叱咤を受ける可能性もあります。
上記のことを考えると「親には相談したくない」と考えるのは当然でしょう。しかし、一ついえることは「このままの状況でいて、改善される可能性は極めて低い」ということです。
現状で借金の返済が厳しいのにもかかわらず、現状を何も変えようとしなければ今以上に状況は悪化するでしょう。
「学生で借金を抱えているなら、絶対、親に肩代わりしてもらいなさい!」とはいいませんが、このまま足踏みをしていても状況は変わりません。
借金を解決するための選択肢として、一つの手段として「親に肩代わりしてもらう」ということを検討すべきでしょう。
返済方法②:物理的に収入を増やして確実に完済を目指す
学生でもアルバイトの時間を増やしたり、時給の高いアルバイトに変えたり、スキマ時間を効率よく使えば収入を確実に増やせます。
収入が増えれば必然的に遊ぶ時間が減り、支出も減るでしょう。さらに、収入が増えれば借金の完済も夢ではありません。
ただし学生ならではの悩みとして「扶養内」があります。恐らく学生のほとんどが父母どちらかの扶養に入っているはずです。この扶養内を維持するのであれば、あなたは年間で103万円以下しか稼げない仕組みになっています。
さらに、106万円を超えた方のうち、一定の条件を満たすことであなたは自分で健康保険などに加入しなければいけません。そのため、中途半端に稼いでしまうと、むしろ手取りが減ってしまうという現象が起こります。
また、103万円や130万円といった様々な壁があります。これらを超えると父母いずれかの課税所得が上がったり、あなた自身に所得税や住民税が課されたりすることになるでしょう。
103万円の壁 | ・学生本人の所得税課税ライン ・扶養親族から外れる |
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106万円の壁 | アルバイト先などで 社会保険加入義務が発生 |
130万円の壁 | 社会保険の扶養から外れるため 自分で社保や国保へ加入しなければいけない |
参考:日本FP協会|103万、106万、130万、150万円の壁
上記を考慮した上で「稼ぐときはガッツリ稼ぐ」といった想いで挑むべきでしょう。中途半端な稼ぎだと、学生本人やその家族が損をすることになるので注意してください。
返済方法③:債務整理で借金を清算する
借金の返済が厳しいのであれば、思い切って債務整理をするのも一つの手段です。債務整理には以下の3種類があり、自分に合った整理手続きを選択できます。
- 将来の利息をカットして元金を3年で完済を目指す「任意整理」
- すべての借金を大幅に減額して完済を目指す「個人再生」
- すべての借金が免責される「自己破産」
奨学金やクレジットカード、キャッシング、友達や親からの借金すべてが債務整理の対象です。もちろん、学生でも債務整理手続きは可能なので「借金の返済が厳しい…」と感じているのであれば検討すべきでしょう。
なお、債務整理手続きは基本的に親にバレることはありません。ただし未成年者が債務整理手続きを行うときは、親権者(親)の同意が必要であるため借金の事実がバレるので注意してください。
学生で借金返済が厳しくても絶対に避けるべき4つのこと
借金の返済が厳しくなってくるとつい、友達からお金を借りて借金の返済をしたり、支払いに遅れてしまったりすることもあるでしょう。
しかし、借金を返すために借金をしたり、支払い遅延したりすると「自分の信用」を失う結果になりかねません。
次に、学生が借金の返済が厳しいときについやってしまいがちなこと、絶対に避けるべきことについてお伝えします。
- 支払いに遅れてしまうこと
- 借金を借金で返済する
- 闇金や知らない人からの個人間融資
- 危険なアルバイトへの参加
避けるべきこと①:支払いに絶対遅れない
「数日後にはバイト代が入るけど、数日だから延滞してしまおう」などと考え、返済を無断で遅れてしまうのは絶対に避けてください。返済に遅れてしまうと、最短1日目から返済状況確認の電話などの連絡があります。
電話を無視していると自宅へ督促状などが届いたり、勤め先として登録しているアルバイト先に電話が掛かってきたりします。親に借金の遅延がバレたりアルバイト先に借金の事実がバレたりするのはイヤだ思う方がほとんどでしょう。
また、支払いに遅れてしまうとあなた自身の「信用」が傷ついてしまいます。信用が傷つくことによって、将来のローン契約などに影響を与える恐れもあるでしょう。
「数日なら大丈夫」とは思わず、返済に遅れそうなときは必ず債権者へ連絡するように心がけてください。
どうしても遅れそうなときは債権者に連絡を
どうしても返済に遅れてしまいそうなときは、債権者(お金を貸した側、カード会社など)へ必ず連絡をしてください。1週間~10日程度であれば、支払日を約束することで待ってくれる可能性が高いです。
黙って延滞するのではなく「◯月◯日までの支払いができません。◯月◯日にはアルバイト代が入って支払えるのですが、待っていただけませんか?」など、伝えることが大切です。
あまりにも長期間だと待ってもらえない可能性が高いですが、無断で滞納せずに必ず相談をしてください。
避けるべきこと②:借金を借金で返済するのは絶対NG
借金を借金で返済するのも絶対NG。たとえば「今月のカードの引き落としが間に合わないから、消費者金融から借りよう」などと思ってしまうこともあるでしょう。しかしこれは、絶対に避けるべきです。
借金を借金で返す行為は「返済を先延ばしにしているだけ」なので、目の前の問題を解決できていません。
また、借金を返すために借りた借金に対しても利息が発生しているため、本来返済すべき金額よりも、返済金額が膨らんでしまう可能性が非常に高いです。
借金を借金で返す行為が常態化し、何度も繰り返しているといずれまったく返済できない状況に陥り、破綻します。
目先の借金返済だけ解決できても長い目で見れば絶対に損をする上に、根本的な部分は解決できていないので、絶対に避けるべき行為といえるでしょう。
避けるべきこと③:闇金や知らない個人からの借り入れ
闇金からの融資や個人間融資も避けてください。最近では、SNSを通して簡単に個人からお金を借りられる時代にもなりました。
「一見優しそうな人だから」とか「良心的な金利だから」という理由であっても、個人からの借り入れは絶対に避けるべきです。
また、たとえ個人間融資であっても、営利を目的として反復継続的に行う貸金業は「貸金業登録」をしなければいけません。
貸金業登録を行っていない個人や業者はすべて「闇金」です。トラブルに巻き込まれる恐れが非常に高いので絶対に避けてください。
参考:貸金業情報検索サービス
参考:金融庁|個人間融資の注意喚起
なお、今現時点で個人からの借り入れ、闇金からの借り入れなどでトラブルに巻き込まれている方は弁護士へ相談してください。返済しすぎている利息は返還請求できますし、場合によっては返済義務を負っていない可能性もあります。
避けるべきこと④:危険なアルバイトに手を出さない
最近ではSNSを介して高単価で魅力的なアルバイトの募集がたくさんあります。短時間で数万円程度稼げるような募集案件を見かけた経験がある方も少なくはないでしょう。
これらの募集はすべて「危険なアルバイト」と思ってください。短期間で数万円、楽をして稼げるようなアルバイトは絶対に存在しません。中には、詐欺の受け子役として犯罪に加担されてしまう方も多くいます。
警察に捕まってしまえば、今後の人生にも多大な影響を及ぼす恐れがあります。また「とりあえず話を聞くだけ」と思っても、逃げ出せない、キャンセルできないといったトラブルに巻き込まれる可能性も高いです。
魅力的なアルバイトには必ず裏があると思って、近道せず確実な方法で借金を返済できるよう努力してください。
学生が借金を抱えたまま返済できないでいると今後に影響する?
学生時代から借金をし、返済できないままでいると今後の長い人生に多大な影響を及ぼす恐れがあります。実際に起こり得ることは以下の通りです。
- クレジットカードを作ることが難しくなる
- 各種ローン契約の締結が難しくなる
- 会社に借金がバレる可能性がある
上記はいずれも「借金を放置した結果」で起こり得ることばかりです。借金問題に向き合い、根本的な解決をすれば、社会人になって早い段階で信用も回復することでしょう。
今後、クレジットカードなどを作ることが難しくなる
借金を返済できない状態でいると、いつまで経ってもクレジットカードが作れません。これから社会人になって、クレジットカードが必要な場面が発生しても、作成できずに苦労することもあるでしょう。
仮に借金の返済をしたとしても「3カ月以上の滞納」は、あなたの信用情報に金融事故として掲載されます。
借金を返済できずにクレジットカードが強制解約になったとしても、その情報が掲載されてしまうでしょう。
上記のように学生時代に作った「金融事故」が残り続けている間は、クレジットカードを持つことができません。
信用情報が回復するまでの期間は「延滞解消から5年間」です。いつまでも返済できずにいると、社会人になったときに影響を与える恐れがあるので早めに解決しておきましょう。
なお債務整理で借金を解決したときも、金融事故として信用情報に掲載されます。
しかし、債務整理も「5年~10年」経過すれば信用情報から事故情報が消えます。同じ期間で情報が消えるのであれば、早めに債務整理をするのも選択肢の一つとなるでしょう。
債務整理の種類 | 信用情報掲載期間 |
---|---|
任意整理 | 5年 |
個人再生 | 5年~10年 |
自己破産 | 5年~10年(KSCのみ10年掲載) |
住宅ローンやマイカーローンなど各種ローン契約ができなくなる
「将来は車が欲しい。家族ができたら家を建てたい」と思っている学生の方も多いでしょう。
しかし、借金の遅延が発生していると、各種ローン契約を締結することができないため、車も家も一括で購入するしかありません。
車ならまだしも住宅を一括で購入するのは難しいでしょう。「将来は〇〇が欲しい」といった夢があるのであれば、早い段階から借金問題を解決しておいたほうが良いです。
先程もお伝えした通り、各種ローン契約が締結できるようになるのは「延滞解消から5年」もしくは「債務整理をしてから5年~10年」です。
◯歳までには何が欲しいといった人生設計があるのであれば、逆算して早めの解決を図っておいたほうが良いでしょう。
就職に影響することはないが会社に借金がバレる可能性はある
借金の事実や借金の延滞などが、今後の就職活動に影響することはほぼありません。しかし、借金の延滞が続いていると、就職先企業に取り立ての電話が掛かってくる可能性があります。
貸金業法ではむやみに債務者の勤め先や自宅への電話を掛ける行為、過度な取り立てを規制しています。
しかし、学生時代から幾度となく支払い延滞を繰り返し、債権者からの信用がなければ、やむを得ないとして勤め先へ電話を掛けられる可能性は十分にあります。
特に学生時代に作った借金が原因で就職先企業に電話が掛かってきてしまうと、周りからの目がどうしても気になってしまうでしょう。
せっかく入社した会社に居づらくなってしまえば、会社をやめてしまう理由にもなりかねません。
せっかく社会人としての人生をスタートさせたのに「借金」を理由に退職したり、自分が居づらくなったりするのは非常にもったいないです。
借金の返済が滞っていれば自分が損をするだけなので、早めの解決を目指しましょう。
まとめ
今回は、学生が借金を返済できないときはどうしたら良いのか、返済できなかったらどうなってしまうのか、などについてお伝えしました。今回お伝えしたことをまとめると以下の通りです。
- 借金問題の解決には「親に借金を肩代わりしてもらう」「収入を増やして完済を目指す」「債務整理で借金を減らす」が有効
- 学生が収入を増やして借金の完済を目指すときは「扶養」に要注意
- 借金の返済が厳しくても個人間融資や闇金からの借り入れは絶対NG
- 借金を借金で返す行為は破綻したりトラブルに巻き込まれたりするので要注意
- 借金の延滞が続いていると各種ローン契約やクレジットカードの作成が難しくなる
- 社会人になってからの影響を考えると早めに借金問題を解決したほうが良い
学生であれば付き合いや交遊費、趣味娯楽など何かとお金がかかってしまう場面も多いでしょう。自分の手元のお金が足りなければ、つい借金をしてしまうこともあります。
しかし、自分の返済能力を超えた借り入れを繰り返していると、社会人になってからも影響を与えてしまう可能性があります。
学生で作った借金は学生のうちに解決しましょう。解決が難しいのであれば、本記事でお伝えした返済方法を実行してください。