「高価な買い物をしてもリボ払いなら毎月の支払い額を抑えられる」「毎月の支出が分かっているので家計の管理がしやすい」というような考えから、リボ払いを普段から使用している人は少なくありません。
しかし、リボ払いは利用額と支払い額にズレが生じる決済方法です。つまり、使った分のお金を毎月支払いきれていないため、リボ残債がどんどん増えていってしまうリスクがあるということ。「毎月しっかりお金を払っているのに、いつの間にかとても払えない金額の残債に膨れあがってしまった」という落とし穴こそ、リボ払いの怖いところです。
そこで今回は、リボ払いを払えないとどうなるのか、また、リボ残債を完済するために注意すべきポイントについて解説します。あわせて、どうしてもリボ払いを払えない場合の対処法や、リボ残債以外にも借金を抱えてお困りの方に役立つ救済措置も紹介するので、最後までご一読ください。
リボ払いを払えないと生じるデメリットは6つ
リボ払いを払えないと、滞納期間に応じて次の6つのデメリットが発生します。
- 滞納翌日~数日以内:カードの利用停止
- 滞納翌日~:遅延損害金の発生
- 滞納2カ月~3カ月頃:信用情報に傷が付く
- 滞納2カ月~3カ月頃:リボ残債を一括請求される
- 滞納2カ月~3カ月頃:カード会員資格を強制解約される
- 滞納3カ月以降~:裁判手続きによって財産等が差し押さえられる
リボ払いを払えないとどうなるかが分かれば、できるだけ早期に解決策に踏み出す必要性があることを理解しやすいはずです。すでにリボ払いの支払い期日に遅れている人も、近い将来に滞納してしまいそうな人も、ご自身への警鐘のために各デメリットについてご確認ください。
リボ払いを払えないとカードが利用停止になる
リボ払いを払えないまま支払い期限を過ぎてしまうと、最短で滞納翌日に、遅くとも数日以内にクレジットカードが利用停止になります。
ふたたびカード決済を行うためには滞納分を支払わなければいけません。滞納数日以内にカード会社から連絡が入るので、振り込み方法などを問い合わせましょう。
リボ払いを払えないと遅延損害金が発生する
リボ払いを払えないと、滞納翌日から遅延損害金が発生します。キャッシングリボ・ショッピングリボごとに異なる遅延損害金年利率が定められているケースも少なくはありませんが、年利10数%~20%の範囲内で遅延損害金が計算されるのが一般的です。
リボ払いを払えない場合の遅延損害金の特徴については次をご参照ください。
- ①遅延損害金は借金「元本」を基準に算出される
- 遅延損害金は、毎月の返済日に間に合わなかった”月額返済額”を基準に計算されるわけではなく、”元本総額”を基準に求められます。たとえば、100万円の借金を毎月2万円ずつ返済しているケースで滞納が生じた場合、遅延損害金の算定基準は2万円ではなく100万円ということ。遅延損害金が高額になる傾向が強いのはこれが原因のひとつです。
- ②遅延損害金は日割りで発生する
- 遅延損害金は1日単位で発生するもの。つまり、滞納翌日から延滞が解消されるまで毎日発生しつづけるため、それだけ債務者の返済負担は重くなることを意味します。
- ③契約所定の遅延損害金年利率に基づいて算出される
- 債権者との間で締結した契約内容次第ですが、多くのカードローン商品等において遅延損害金年利率は20%(利息制限法の上限)と定められていることが多いです。たとえば、総額100万円の借金について返済日に払えない状態になると、毎日約548円ずつ遅延損害金が増えていく計算になります(1カ月で約16,438円)。
リボ払いを払えないと信用情報に傷が付いて日常生活に支障が出る
リボ払いを払えないまま2カ月~3カ月が経過すると、カード名義人の信用情報に傷が付いて日常生活に諸弊害が生じます。いわゆる“ブラックリスト”に登録された状態です。
ブラックリストに登録されることによって生じるデメリットは次をご参照ください。
- クレジットカードが使用不可・新規発行もできない
- ETCカードが使えなくなる
- 子どもの奨学金の保証人資格を失う
- 賃貸物件の入居審査に通りにくくなる
- 新規の借金・ローン契約を締結できない
- スマホ端末代金の分割払いができない
特に重要なのが、クレジットカードが使えなくなるという点。リボ払いを滞納しているカード会社のクレジットカードだけではなく、滞納とは無関係のカード会社で発行しているクレジットカードも与信審査・更新のタイミングで使えなくなります。
公共料金・家賃などの固定費用のクレジットカードを用意している場合には、ブラックリストへの登録によってこれらの支払いにも影響が生じることになるので、ブラックリストに登録された頃合いを見計らって各種支払い方法を変更しておきましょう。
リボ払いを払えないままだと残債を一括請求される
カードローンなどの借金を滞納した場合と同じように、リボ払いを2カ月~3カ月程度払えないままだと、リボ残債を一括請求されることになります。
リボ残債を一括請求されるのは、カード利用者が”期限の利益”を喪失したからです。カードの利用規約にはかならず”期限の利益喪失条項”が記載されており、たいていのカード利用規約において長期延滞が期限の利益喪失条項に抵触する旨が定められています。
期限の利益を分かりやすく説明すると、「借金の分割払いを認めてもらう権利」のこと。たとえば総額100万円の借金を毎月2万円ずつ返済できるのは債務者に”期限の利益”があるからです。もし期限の利益がないとすれば、いきなり借金全額の返済を求められても拒絶できないことになります。
また、長期延滞以外にも期限の利益喪失事由は多数定められているので、「どのような事情があると一括請求されるのか」をしっかりと押さえたうえで、カード決済を利用するのがポイントです。
リボ払いを払えないとカード会員資格を失う
リボ払いを払えないまま延滞期間が2カ月~3カ月に及ぶと、カードの会員資格を強制解約されます。今後二度と当該カード会社との間でカード会員資格に関する契約を締結できません。
ここで注意をしなければいけないのが、いわゆる”社内ブラック“について。信用情報機関に事故情報が登録されることを”ブラックリストに登録される”と表現しますが、これは”社内ブラック”とは扱いが異なります。
たとえば、A社発行のクレジットカードのリボ払いを数カ月滞納した人物について考えてみましょう。この人物は、B社のクレジットカードも使用していますが、B社分については一切滞納がありません。すると、次の流れでA社・B社それぞれのクレジットカードが使えなくなります。
- A社クレジットカードの長期延滞によって信用情報機関に事故情報が登録&社内ブラックに登録(A社カードが使用不可)
- B社の与信審査のタイミングで信用情報機関の事故情報が判明する(B社のカードが使用不可)
- 延滞を理由とする信用情報機関の事故情報は約5年で抹消される(”ホワイト”に戻る)
- B社クレジットカードの再発行の可能性が生まれる(信用情報機関に事故情報が登録されていないから)
- A社クレジットカードの再発行は不可能(社内ブラックリストは消えないから)
つまり、一度でもリボ払いを払えないまま社内ブラックリストに登録されると、二度と当該カード会社及びグループ企業からの審査には通らなくなるということです。
将来にわたって社会的な制限を受けつづけることになるので、リボ払いを払えないとしても、強制解約をされる前の段階で何かしらの対策に踏み出すべきだと考えられます。
リボ払いを払えないままだと差し押さえられる
リボ払いを払えないまま長期延滞が継続すると、最終的にはカード名義人の財産・給与等が強制執行で差し押さえられることになります。
どのような財産が差し押さえられるのか、そして、それによってどのような影響が生じるのかについては、次をご参照ください。
- 給与
- 毎月確実に勤務先から債務者に振り込まれる給与は「回収の確実性が高い」と判断されるので、優先的に強制執行の対象にされやすいもの。債権執行手続きでは勤務先が直接手続きに巻き込まれるので、会社の経理担当者などに借金のことを知られてしまいます。
- 預貯金
- 債務者の預貯金から債権回収が期待できそうなケースでは、銀行が手続きに巻き込まれる形で強制執行が行われます。ここで注意を要するのが、強制執行の対象となった口座を開設している銀行との間でローン契約等を締結している場合。当該ローン契約における期限の利益喪失事由に「強制執行されたこと」が掲げられていることが多いため、ローン残債を一括請求(口座残高と相殺)されることになります。残高が充分であれば問題ないのですが、不足額があると口座を凍結されるリスクにまで発展するのでご注意ください。
- 債務者名義の財産
- 土地・建物・車などの不動産、自宅内にある債務者名義の動産(差し押さえ禁止財産以外)はすべて強制執行の対象になりうるものです。
強制執行段階まで進んでしまうと、カード利用者だけではなく、家族・会社にまで迷惑がかかるおそれがあります。もちろん、会社に強制執行の事実を知られたところでそれを理由に解雇されることはありませんが、社会的信用を失うことにはなるでしょう。結果として、会社に居づらくなり、退職を余儀なくされるケースも少なくはありません。
「リボ払いを払えなかっただけなのにマイホームが処分されるなんてありえるの?」と思われるかもしれませんが、「支払い義務を履行していない」という意味では、借金を返済していないのと同じ状況です。債権者であるカード会社の利益を害している以上は、いつ強制執行されてもおかしくはないと考えられます。
財産等が差し押さえられると、よほどのことがない限り元の状態に戻すことはできません。手遅れになる前に、リボ払いを払えない現状に対して抜本的なテコ入れをする必要があります。
リボ払いの返済を目指すなら4つのコツを掴もう
リボ払いを払えないままでは数々のデメリットが生じる以上、これらを避けるためには早急な対策が求められます。
したがって、今後どのような方向性をもってリボ払いに向き合うのかを判断するため、そして、自力で完済を目指していくために、次の4つのポイントを押さえるのが重要です。
- リボ払いの残債や借金総額を把握する
- 自分の力だけで完済できるかを判断する
- 滞納がないように毎月期限までにお金を用意する
- 完済できるなら返済方法に工夫を凝らす
それでは、各ポイントについて具体的に見ていきましょう。
コツ1:リボ払いの残債・利用状況を確認する
リボ払いを払えずに困っている人が最初に実践すべきことは、現在の残債状況を正確に把握することです。もちろん、リボ払い以外にも借金・ローンを抱えている場合には、それらを含めたすべての返済状況を明確にしてください。
なぜなら、今自分がどれだけの借金・ローンを抱えていて、完済までにどのような道筋をたどるのかを正確に把握できなければ、完済に向けた工夫を凝らせない・完済までのモチベーションが高まらないからです。
たとえば、毎月の取引明細やカード会員専用ページを利用して、リボ残債や返済計画について確認してください。また、他にも借金を抱えていて、「どの会社から・いくらを・どのような融資条件で」借り入れているのか分からないのなら、次の3つの信用情報機関に開示請求をしましょう。
コツ2:リボ残債の完済を目指せるかを判断する
リボ払いを含めた借金総額を把握した後は、今の収入状況等に照らしたうえで、「果たして完済まで滞納なく返済を継続できるのか」を判断する必要があります。なぜなら、完済を目指すか否かによって対策が異なるからです。
- 完済が可能 → 完済を遂げるために返済方法に工夫を凝らす
- 完済が不可能 → 債務整理で返済計画を作り直す
たとえば、リボ残債100万円(手数料年利率15%)の完済を目指す場合、毎月の返済額に応じて次のような利息・返済期間をクリアしなければいけません。毎月の返済額を抑えれば家計への負担を軽減できますが、それだけ利息総額が増え、返済期間が長期化することになります。
毎月の返済額 | 2万円 | 3万円 | 5万円 | 10万円 |
---|---|---|---|---|
返済期間 | 79カ月 | 44カ月 | 24カ月 | 11カ月 |
完済までの利息総額 | 579,052円 | 301,674円 | 157,936円 | 75,025円 |
完済までの支払い総額 | 1,579,052円 | 1,301,674円 | 1,157,936円 | 1,075,025円 |
※リボルビング払いの返済方式によって内容が異なる場合があります。お手元の契約書をご確認のうえ、ご自身の融資条件のもとで返済シミュレーションを実施してください。
このような形で返済シミュレーションを把握したうえで、現在の収入・次で紹介する返済工夫の可否を総合的に考慮して完済できるかを判断してください。
なお、総額100万円のリボ残債の返済方法については、次のリンク先でも詳しく解説しているので、あわせてご参照ください。
借金100万円を返済する方法を解説!完済可能性を見分ける方法や利用できる債務整理を紹介コツ3:滞納が生じないように毎月期日までにお金を用意する
リボ払いの自力完済を目指す場合には、滞納によるペナルティが生じないように毎月の返済期日にしっかりとお金を用意する必要があります。
とはいえ、リボ払いを払えなくて困っている人にとっては、何の改善も行わなければ今後も返済に苦労をするだけです。そこで、次に列挙する方法を利用して、滞納なくお金を用意できる環境を整えてください。
- 自宅にある不用品を売却する
- リボ払いを払えない人のなかには、浪費癖で悩んでいる人もいるはず。ブランド品などは高価買取が期待できるので、中古品買取店や質屋に売却・預け入れをして当面の返済資金を用意しましょう。
- 無駄な支出を見極め節約する
- スマホの料金・光熱費・各種保険などのプラン変更・解約で支出を節約できるケースは少なくありません。その分をリボ払いの支払いに充てれば残債の減りがはやくなるでしょう。
- 余裕のある範囲で収入アップを目指す
- 副業・日雇いアルバイトなどで収入アップを目指すのも選択肢のひとつ。また、仕事によっては資格手当などが用意されていることもあるので、取り組みやすいものを実践しましょう。
- 公的支援制度を利用して家計を安定させる
- 緊急小口資金・生活保護制度など、家計安定のために利用できる公的福祉制度は幅広く用意されています。借金の返済に充てることはできませんが、リボ払いをしやすい家計を作るためにお役立てください。
このように、今のままではリボ払いが払えないとしても、契約通りに返済できるだけの資力を整えるための方法は多数用意されています。
もちろん、債務整理を利用してしまえば簡単に返済計画を作り直すことができますが、債務整理を利用しなくても返済状況を改善する可能性があるということも忘れないようにしましょう。
コツ4:完済しやすい返済方法を実践する
完済を目指せるだけの安定した家計状況が手に入った場合には、さらなる工夫によって完済を近づけることをご検討ください。
なぜなら、リボ払いを契約通りに返済しているだけでは高額の手数料を取られつづけるため、債務者の負担が重くなる一方だからです。少しの工夫で手数料の負担を軽減できるのなら、実践した方がメリットが大きいのは明らかでしょう。たとえば、次の3つの方法が考えられます。
- 毎月の返済額の増額
- 繰り上げ返済
- 一括返済
たとえば、節約や収入アップによって家計に余裕が生まれた場合、毎月の返済額を増加しても生活費を圧迫することはないでしょう。また、ボーナス月などの臨時収入が入ったタイミングで繰り上げ返済・一括返済をすれば、それだけ返済期間が短縮されるので、リボ地獄からの脱却がはやくなります。
先ほど紹介した「家計を整える工夫」と「完済を近づける工夫」を併用すれば滞納のない状態で完済を近づけられるので、実践可能な方法を積極的に取り入れていきましょう。
リボ残債の完済を目指すためにやってはいけないことに要注意
リボ払いの自力完済を目指す場合には、絶対にやってはいけないことに注意をしてください。
そもそも、リボ残債を計画的に返済する場合には、「滞納をしない」という要請と、「返済期間を短縮化して手数料を減らす」という要請の両者への配慮が求められます。ただ、前者の「滞納をしない」という要請だけを過度に重視してしまうと、後者の「返済期間の短縮化・手数料負担の減額」の要請があまりに疎かになってしまう危険性があるため、慎重にバランスを取らなければいけません。
そして、リボ払いを払えないときの対処法として次の2つの方法が挙げられることが少なくありませんが、いずれも「滞納をしない」という要請だけに注目したものである結果、債務者を「返済期間の長期化・手数料負担額の増額」リスクに晒してしまうため、絶対に手を出さないようにしてください。
- 毎月の支払い額の減額
- リボ払いは(契約所定の範囲内で)自由に毎月の返済額を指定できるため、無理なく返済をつづけるために毎月の返済額を減額するという手段が提唱されることが少なくありません。しかし、これでは今以上に返済期間が長期化してリボ地獄から抜け出せなくなるためおすすめできません。
- おまとめローンへの借り換え
- 年利率15%程度の手数料が設定されるリボ払いから低利率条件のおまとめローンへの借り換えが提唱されることも多いです。ただ、おまとめローンへの借り換えによって今以上に返済期間が長期化するリスクが高まるので、「借金生活からはやく抜け出したい」という人には不向きです。また、返済期間次第では、リボ払いのときよりも利息負担総額が増えるリスクも。
大切なことは、絶対に滞納しないという前提において、現在の返済状況よりも手数料負担を軽減できる手段を選ぶことです。
つまり、滞納しないために今よりも返済期間を長期化せざるを得ないような状況であるのなら、自力完済を目指すのではなく、早期に債務整理に着手した方がメリットが大きいと考えられます。
したがって、自分にとって適切な状況を判断するためにも、自分ひとりだけで今後の方針を検討するのではなく、司法書士などの専門家に現在の状況を分析してもらうことを強くおすすめします。
なお、債務整理を実施すべきタイミングについては以下のリンク先でも詳しく解説しています。自力完済すべきか、今の段階で債務整理に踏み出すべきかの判断に役立つので、ぜひご参照ください。
【債務整理を検討すべき8つのタイミング】早めの対策が借金生活から楽に抜け出すポイントリボ払いを払えないときは債務整理の利用を検討しよう
いつの間にか膨れあがったリボ残債に愕然としている人のなかには、原因にまったく心当たりがないという場合もあるでしょう。
実は、利用者も気付かないうちに借金地獄に似た状況を生み出してしまうのがリボ払いの怖いところ。完済までの道筋を考えたときに、どうしても自力返済できないのなら今すぐ債務整理を利用するべきだと考えられます。
「消費者金融から借金をしたわけでもないのに、どうして債務整理をしなければいけないの?」という疑問を抱くのも当然のことですが、リボ残債を払えないままだと、借金を滞納した場合と同じようなデメリットが生じて、最終的には財産などが差し押さえられることになるだけです。
そこで、ここからは、リボ払いがなぜ危険な決済方法であるのか、また、リボ地獄から抜け出すために有効な債務整理について、詳しく見ていきます。
リボ払いは利用者に不利な決済方法
クレジットカードの決済手段は、一括払い・分割払い・リボ払いの3種類に分類できますが、リボ払いには次のような特徴がある点に注意が必要です。
- リボ払いのメリット
- ・原則として毎月のカード決済額にかかわらず支払い額を固定化できる
・収入のなかから無理なく返済を継続できる - リボ払いのデメリット
- ・支払いが固定化されるのでいつまでもリボ残債が減らない
・消費者金融からの借金並みの手数料が発生する
ここから分かることは、リボ払いのメリットはデメリットと表裏一体だということ。つまり、毎月の支払い額が一定額に固定されることによって家計管理は楽になりますが、同時に、リボ残債がいつまでも減らないというデメリットを避けられません。
しかも、リボ払いの手数料・遅延損害金は消費者金融からの借入に匹敵する、あるいはそれ以上の金利が設定されることも少なくはない(年利率15%に設定しているカード会社が多い)ので、どれだけ頑張って返済をつづけたとしても手数料の支払いに充てられる状況に。「カード会社にお布施をしつづけているだけ」という状態におちいってしまいます。
したがって、「月額が決まっているなら払えそう」と安易にリボ決済を多用してはいけません。知らずしらずのうちにリボ地獄から抜け出せなくなってしまうので、今すぐにリボ払いをやめるようにしてください。
リボ残債を完済できないなら早期に債務整理で救済を狙うべき
いつまでも終わりが見えないリボ払いは、借金を返済しているのと同じです。いつまでも高利率の手数料の負担を強いられると、やがては日々の生活費の工面さえ難しくなるため、完済が見えないのなら早急に対策をとるべきでしょう。
そして、その手段として考えられるのが債務整理です。次の任意整理・個人再生・自己破産のなかから自分に合った手続きを選択して、リボ地獄からの脱却を目指してください。
- 任意整理:リボ払いの手数料の支払いが免除される
- 個人再生:リボ払いの残債自体を減額できる
- 自己破産:リボ払いの支払いが免責され得る
それでは、リボ払いを払えないときの債務整理の有効性について、手続きごとに詳しく見ていきましょう。
任意整理でリボ払い手数料の免除を狙う
任意整理とは、債権者と交渉をして借金等の利息を免除し、3年程度で元本のみを完済できる返済計画を作り直す債務整理手続きのこと。リボ払いを払えない人が任意整理をすれば、カード会社との直接交渉を通じて、リボ払いの手数料や遅延損害金の支払いを免除してもらえることになります。
もっとも、各債務整理にはメリットだけではなくデメリットも存在するため、デメリットとの比較を通じて手続きを利用するかを決めなければいけません。リボ払いを払えない債務者が任意整理をした場合のメリット・デメリットは次の通りです。
- 任意整理のメリット
- ・リボ払い手数料の支払いを免除してもらえる
・カード会社と柔軟に交渉を進められるので意向を反映しやすい
・3年~5年で完済できるリボ残債の元本のみの返済計画を作り直せる - 任意整理のデメリット
- ・カード会社が交渉に応じてくれない可能性を否定できない
・任意整理前よりも毎月の返済額が増えるリスクがある
・今後任意整理を利用したカード会社のクレジットカードを発行できなくなる
・約5年間ブラックリストに登録される
任意整理の特徴として、債務者側が自由に整理対象の借金を選べるという特徴があります。
たとえば、リボ払いにも借金を抱えている場合に、その借金について連帯保証人が付いているケースもあるでしょう。連帯保証人付きの借金について債務整理を利用すると連帯保証人に迷惑がかかるので、それを懸念して債務整理に踏みきれないという人も。
もっとも、任意整理なら「連帯保証人付きの借金は整理対象から外して、それ以外の借金についてのみ任意整理交渉を進める」という選択肢が認められます。つまり、払えないリボ残債については任意整理を利用したうえで、その他借金については従来通りに返済を継続することが可能ということです。
以上のように、任意整理は、債務者の借金状況に応じて柔軟に今後の返済計画を修正できる点が魅力的。諸悪の根源であるリボ払いの手数料負担からも免れられるので、「カード決済額だけなら返済継続の見込みがある」債務者におすすめの債務整理手続きです。
なお、任意整理については「任意整理とは何ですか?」で詳しく解説しています。あわせてご一読ください。
個人再生でリボ払い残債の減額を狙う
個人再生とは、債務者が抱えている借金元本自体を減額し、原則3年で完済できる分割払い計画を作り直す債務整理手続きのことです。任意整理とは異なり裁判所を利用して手続きを進めなければいけませんが、将来利息だけではなく元本自体の減額を期待できる点で資力の不十分な債務者におすすめの方法だと考えられます。
ただし、個人再生では常に元本の減額をできるわけではなく、借金総額が100万円以上のケースでなければ減額を期待できません。つまり、リボ払いを払えないとしても、リボ残債総額(及び他の借金を合わせた総額)が100万円以上なければ”減額”という意味での個人再生の恩恵は受けられない点に注意が必要です。
そこで、個人再生を利用する場合には、次のメリット・デメリットを比較衡量したうえで是非を決定しましょう。
- 個人再生のメリット
- ・3年で完済できる返済計画を作り直せる
・住宅ローン返済中のマイホームを手元に残せる
・借金総額自体を減額できる可能性が高い(最大1/10) - 個人再生のデメリット
- ・リボ払いを含めた借金総額が100万円に満たないと元本の減額は認められない
・リボ払い手数料の支払いは免除される
・個人再生の対象となったカード会社との間では新規契約ができなくなる
・裁判所の手続き、認可要件のハードルが高い
・約10年間信用情報に事故情報が登録される
このように、リボ残債が100万円以上残っている場合、リボ払い以外にも借金を抱えている場合、返済中の住宅ローンを抱えている場合などには、個人再生で借金状況を改善するメリットが大きいと考えられます。手続き面など、超えるべきハードルは低くないため、かならず司法書士などの専門家までご相談ください。
なお、個人再生については「個人民事再生とは何ですか?」で詳しく解説しています。あわせてご一読ください。
自己破産でリボ払い全額の免責を狙う
自己破産とは、裁判所を利用して債務者の抱える返済義務の免責を狙える債務整理手続きのことです。リボ払いを払えない場合だけではなく、消費者金融などからの借入を含めて、すべての借金返済義務が対象となるため、「債務整理をきっかけに抜本的に生活状況を改善したい」と希望する債務者におすすめだと考えられます。
もっとも、本来払うべき債務の支払いが免除されるということは、それだけ債権者には損害が生じるということ。カード会社などの債権者だけが一方的に不利益を被るのは制度としてのバランスを逸するでしょう。
そこで、自己破産を利用する債務者には一定の要件・デメリットが課されることになります。次のメリット・デメリットを比較したうえで、自己破産の適否をご検討ください。
- 自己破産のメリット
- ・リボ払いを含め、すべての返済義務が免責され得る
・債務者の収入要件を問われない(無職、フリーターでも利用できる)
・免責不許可事由が存在する場合でも”裁量免責”で免責を狙える - 自己破産のデメリット
- ・債務者名義の財産が処分される(”自由財産”は手元に残せる)
・浪費癖が原因だったり、ショッピング枠の現金化の履歴が存在したりすると”免責不許可事由”に該当する
・養育費や一定の損害賠償責任は免責されない(いわゆる”非免責債権”と呼ばれるもの)
・破産手続き中は職業制限を受ける仕事・資格が存在する
・自己破産の整理対象になったカード会社との契約は一生不可能
・約10年間ブラックリストに登録される
自己破産はリボ払いを含めた借金等をすべて一度に解決できるという意味で、”債務者のための最後の救済措置”と位置付けられます。しかし同時に、自己破産を利用する以上は数々のデメリットに耐えなければいけないことを併せて考えなければいけません。
したがって、リボ払いだけを払えない状況、かつ、ある程度節約等の工夫を重ねれば返済継続が難しくないのなら、自己破産で免責を狙うのではなく任意整理で分割交渉を進めるのが適切なケースが多いでしょう。
その一方で、リボ払い以外にも払えない多額の借金を抱えている状態や、無職等が原因で支払いに余裕がない状態なら、自己破産で借金問題を一度に整理してしまうのが適切だと考えられます。
なお、自己破産については「自己破産とは何ですか?」で詳しく解説しています。あわせてご一読ください。
リボ払いを払えないなら司法書士に相談しよう
リボ払いは広く普及したカード決済手段ではありますが、その性質上知らない間に残債が膨れあがるというリスクがある点に注意が必要。万が一払えない状況になってしまった場合には、消費者金融などからの借金を滞納しているのと同じ状態におちいるということです。
したがって、「リボ払いが終わらない」「完済まで払いつづける自信がない」という人は、できるだけすみやかに債務整理に踏み出すことを強くおすすめします。「もう少し頑張って返済をしてみよう」と努力をしたところで、完済できなければその努力は無駄になってしまうからです。
リボ払いの手数料を回避できる任意整理、元本自体を減額できる個人再生、リボ残債自体の返済義務が免責される自己破産というように、どの債務整理を利用してもかならず返済状況を改善できます。明らかに完済まで払えない状況なら、まずは司法書士・弁護士に相談をして、自分に適した手続きを提案してもらいましょう。