妻が借金していた場合、夫に返済義務はある?今後の対処法も詳しく解説

妻が借金していた場合、夫に返済義務はある?今後の対処法も詳しく解説

妻に借金が発覚した場合、法律上の婚姻関係にある夫にも借金の返済義務があるのでしょうか?

法律上の考え方としては、借金は個人の問題であるため原則として夫が返済義務を負うことはありません。しかし、借金の内容や借金の理由によっては夫も返済義務を負うことがあるので注意しなければいけません。

そこで今回は、妻に借金が発覚した場合は夫にも返済義務があるのか?について事例別でお伝えします。また、妻に借金があるのではないか?と疑わしい場合の調査方法や、実際に借金が見つかった場合の対処法もお伝えします。ぜひ参考にしてください。

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この記事の監修者

近藤邦夫

司法書士法人 浜松町歩法務事務所」代表司法書士。 愛知県岡崎市出身。 昭和64年早稲田大学法学部卒業。 長年にわたり、債務整理を行い、 また宅地建物取引士の資格を生かし、不動産登記や商業登記も行なっている。

専業主婦の妻に借金発覚!?返済義務は旦那にある?

専業主婦で自分自身には収入がないはずの妻に借金が発覚した場合、原則として夫に返済義務はありません。ただし、借金名義が夫であるときは夫が返済義務を負う可能性があります。

まずは、妻の借金を返済する義務が夫にあるのか?について詳しくお伝えします。夫婦間の状況によっても大きく異なるため、これからお伝えすることをぜひ参考にしてください。

借金の返済義務は原則本人のみ

借金の返済義務は原則として本人のみです。よって、妻の借金を夫が返済する必要はありません。

たとえば、妻が独身時代に作った借金や婚姻後に作った借金であっても、すべて妻が法的な返済義務を負います。仮に、妻が専業主婦で収入がない場合であっても、夫が返済義務を負うことはないので安心してください。

つまり、妻が借金を返済できずにいたとしても、夫の信用情報に事故情報が掲載されることや、夫の給与や財産を差し押さえられることはありません。あくまでも、妻の所有物や妻の収入が強制的に差し押さえられることや、妻の信用情報のみにキズがつくことになります。

MEMO
「妻が未成年者で法定代理人の同意なく法律行為を行った場合は、契約を取り消すことができるのではないか?」と思われる方もいますが、取り消すことはできません。なぜなら、婚姻した時点で法律上成人(成年擬制)したものとみなすためです。

たとえ妻が20歳未満の未成年者であっても、自分名義で借金をした以上は妻が自分で返済義務を負います。その点も合わせて覚えておいてください。

借金名義が「あなた(夫)」であるときは返済義務の有無が異なる

原則、借金の返済義務を負うのは借金をした本人(名義人)です。しかし、中には妻が勝手に夫の名前で借金をしてしまうケースがあります。このような場合は、状況によって夫側が借金の返済義務を負ってしまうかもしれません。

まずは、起こり得るケースごとに借金の返済義務が妻と夫のどちらにあるのか?について詳しくお伝えします。

夫が借金に対して善意無過失の場合

妻が夫に内緒で夫名義の借金をした場合、無権代理と認められる場合に限って、契約を取り消すことができます。無権代理とは、妻に代理する権利を与えられていない状態のことを言います。

たとえば、夫の許可を得ることなく勝手に妻が借金をしたような場合は、妻があたえられていない権利(無権)を行使(代理)したとして契約自体が無効です。そのため、夫が返済義務を負うことはありません。

ただし、無権代理を認められるためには夫側が善意無過失でなければいけません。法律で言う善意・悪意とは、その物事を知っているか知らないかのことを言います。

夫が善意(借金を知らない)であることに加え、知ることができなかった(無過失)場合のみ、無権代理が認められるでしょう。

仮に、夫が無権代理による契約無効を主張する場合には、無権代理であることを夫・妻で証明しなければいけません。無権代理を証明することができなければ、借金の名義人である夫が借金の返済義務を負うことになるでしょう。

妻が生活費のために借金をしていた場合

夫との共同生活を送る中で、生活費を捻出するために夫名義で借金をした場合は、夫が借金の返済義務を負う可能性が高いです。

たとえば、基本的には夫が財布を握っている関係で明らかに生活費が足りず、妻が借金をして生活費を捻出せざるを得ないような場合。このようなケースでは、当然夫も借金の返済義務を負います。

簡単にまとめると、日常生活で必要となるものに対して作った借金は夫婦で返済義務を負う可能性が高いということ。仮に夫が善意無過失であっても、生活上必要性を認められれば、夫も返済義務を負うと考えておきましょう。

なお、このことを「日常家事債務」と言います。夫婦の一方が生活のために第三者と行った法律行為は有効で、第三者に対して責任を負わなければいけない。というものです。民法によって定められているため、夫も一緒に借金返済をしていきましょう。

参考:民法|第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)

妻が夫のクレジットカードで高額な買い物をした場合

夫が妻に対してクレジットカードを渡していた場合は、当然夫が返済義務を負います。また、夫のクレジットカードを妻が勝手に持ち出し、高額な買い物(無駄使い)が発覚した場合でも夫に返済義務が生じます。クレジットカードの約款等に記載されているはずなので確認をしてください。

妻の借金は財産分与の対象になるので要注意

妻の借金が発覚し、信頼関係の構築が難しいことから離婚を検討される方がいるかもしれません。もし、妻が高額な借金をしたまま離婚をするならば、原則夫も借金の半分を返済しなければいけません。

というのも、婚姻関係中にできた財産はすべて財産分与の対象になるためです。財産分与と聞けば、いわゆる価値のある財産をイメージされがちですが、じつは借金のような負の財産も対象になります。

そのため、たとえ妻が勝手に作った借金であっても、離婚時には夫が半分の返済をしなければいけません。ただし、妻が個人的な浪費やギャンブル等によって作ってしまった借金は、財産分与の対象外となる可能性が高いです。

財産分与の対象になる借金

財産分与の対象とならない借金

  • 結婚前に妻が作っていた借金
  • 妻が私的に作った借金

妻の借金が財産分与の対象になるかどうかのポイントは、妻がいつ作った借金なのか(婚姻前か後か)?どのような使途で作った借金なのか?の2点です。もし離婚をされる際には、上記2つのポイントを抑えておきましょう。

MEMO
「妻が借金をした」という事実だけで離婚をすることはできません。妻の借金の理由が浪費やギャンブル等で、婚姻関係の継続が困難であることが認められて初めて、離婚の要件を満たします。ただ単に借金を隠していた等の理由では離婚はできないので注意してください。
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妻が借金をしているかもしれない!調べる方法はある?

「妻が借金をしているかもしれない」そう思うと、つい調べたくなる方もいるでしょう。自分の家計にも大きく関わってくることであるため、何か悩みや借金があるなら相談をして欲しい。そう考えている方は多いはずです。

しかし、妻が夫に隠れて借金をしているかどうかを知る術はほぼありません。ただ、どうしても怪しいと思わしき事実があるときは、これからお伝えする借金調査方法を検討されてみてはどうでしょうか。

次に、妻の借金を調べる方法はないのか?どうやって調べれば良いのか?についてお伝えします。

借金事情は個人情報であるため知る術はない

借金事情は非常にデリケートな問題であるため、たとえ家族・夫でも妻の借金情報を知ることはできません。

確実に借金の情報を掴もうと思えば、妻の個人信用情報を開示請求するしかありません。しかし、個人信用情報機関では第三者に対して情報を開示することはほぼないです。そのため、夫が妻の借金を知る術はほぼないと言えるでしょう。

ただ、夫婦間である以上徹底的に調べられれば、見つかるかもしれません。たとえば、債権者から届く書類や通帳の入出金明細等々。確実ではないですが、もしかしたら証拠のようなものが見つかるかもしれません。何かしらの証拠を発見することができたなら妻に問うてみれば良いでしょう。

なお、妻の借金事情は個人情報であるため、興信所や弁護士に相談をしても開示できません。どうしても知りたいならば、妻に直接聞くしかないでしょう。

例外的に信用情報の開示が認められることもある

個人信用情報機関では、個人の信用情報を個人情報として扱っています。そのため、第三者に開示をすることは原則ありません。ただし、例外的に開示請求が認められることがあります。その例外は下記の通りです。

  • 本人が同意をしている場合
  • 法令に基づく場合
  • 人の生命や財産を守る目的であって、本人の同意を得ることが困難なとき
  • 国期間や地方公共団体が職務遂行上、必要であると認められるとき。なお、本人の同意を得ることによって支障をきたす場合
  • 収集・利用目的の達成に必要な範囲で、個人情報の取扱いを委託する場合

参考:CIC|個人情報の取り扱いに関する事項

たとえば、妻本人が個人信用情報の開示に同意している場合は、第三者である夫が借金状況を知る目的で開示請求が可能です。しかし、ほとんどの場合は妻が嫌がるでしょう。もしも嫌がった場合には、借金があると睨んで話し合いを進めていくこともできます。

その他、法令に基づく場合も開示請求が可能ですが、夫婦間で法令に基づく請求をするのは困難でしょう。よって、原則として妻の同意がなければ信用情報の開示は不可能であると思っておいたほうが良いでしょう。

ただし、妻が夫名義で借金をしている場合には、夫自身が自分の信用情報を開示することで、借金を知ることができます。仮に、自身の信用情報を開示した結果、借金があると発覚した場合には、先にお伝えした通り無権代理ではないか?について調べてみれば良いでしょう。

勝手に信用情報開示請求を行うと個人情報保護法違反になり得る

夫であるあなたが妻の借金を疑って勝手に個人情報開示を行うと、個人情報保護法違反に抵触する恐れがあります。たとえば、夫が妻の同意を得たかのように装って情報を開示した場合はアウトです。

もしも夫であるあなたが妻の同意を得ることなく勝手に信用情報を開示し、その情報を元に妻を詰めたとしましょう。この時点で妻は「なぜ勝手に信用情報を開示したのか?」となるため、夫の勝手な行動は妻にかならずバレます。

夫自身も妻に疑わしい部分があったからこそ、どうにかして本当のことを突き止めようとしたのかもしれません。しかし、犯罪を犯してまで妻を詰める必要はあるのでしょうか?どうしても疑わしいならば、妻としっかり話し合ってみれば良いでしょう。

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妻に借金発覚した場合の対処法とは?

もしも妻に借金があることを発見してしまった場合、今後の対応に苦慮することでしょう。妻が自分で作った借金である以上、妻が個人的に返済をしていけば良いですが、もし専業主婦だったらそう簡単にはいきません。

もちろん、大前提として無駄な借金をやめさせることや家計管理の見直し等、やらなければいけないことは山積みです。では、新たな借金を作らせないのは当然として、現在までに作ってしまった借金はどう解決していけば良いのでしょうか?

夫も、自分に返済義務はないと言いつつ、妻が作ってしまった借金なら一緒に返済を続けていくべきでしょう。2人で協力し合いながら早期の完済を目指せるよう努力していけば良いです。

ただ、生活の見直しをした結果、やはり返済夜間祭を目指すのが難しいという判断になれば、債務整理も視野に入れた方が良いでしょう。最後に、妻が作った借金の対処法についてお伝えします。

金額次第で完済を目指す

現実的に見て、完済を目指せる借金額ならば積極的に返済をして完済を目指すべきでしょう。

まずは、借金額の把握をしたうえで借金の理由を知り、毎月の返済額を把握してください。その次に家計収支を洗い出し、実際にいくら借金を返済できるのか?について知ることが大切です。もし、毎月コツコツと返済をしても完済を見込めないならば、妻がパートに出るなどの対応も必要になります。

妻が勝手に作った借金とはいえ、家族の問題として夫婦で完済を目指していくべきです。夫も積極的に返済金額を捻出できるように協力し、早期の完済を目指すことがポイントになるでしょう。

また、世帯貯金があるならば積極的に繰り上げ返済されることをおすすめします。繰り上げ返済をすれば、支払う利息を大きく軽減できるため、総支払い金額を減らすことができます。

無理のない範囲で借金返済計画を立て、多少の節約や収入アップをして確実かつ早期の艦載をできるよう努力をしていけば良いでしょう。作ってしまった借金は仕方がありません。これからどう完済していこうか?について頭を使った方が効率的です。

妻を責めたくなるかもしれませんが、、言うことを言ったあとは2人で協力して借金の完済方法を探るべきでしょう。

借金の返済計画はどうやって立てる?無理なく完済を目指せる返済シミュレーションの作り方 借金の返済計画はどうやって立てる?無理なく完済を目指せる返済シミュレーションの作り方

債務整理で根本解決を目指す

妻の借金が発覚し、返済が厳しいとか借金の額がとても大きい等の事情がある場合は、債務整理を検討するべきです。債務整理をすることで借金を減額できたり、免責したりできるため、借金問題を解決しながら今までの生活スタイルを継続できるでしょう。

債務整理には下記3種類ありますが、妻に収入があるかどうか、借金の名義人は夫か妻かによってもどの債務整理をするべきなのか異なります。

【債務整理の種類】

任意整理
任意整理とはお金を貸してくれている債権者に対して、借金の返済が困難であることを伝え、あらゆる利息のカットや返済期間の見直し、毎月の返済金額の減額を交渉します。交渉がまとまり、和解が成立した場合には、利息をすべてカットできて元金のみの返済になったり、返済期間も3年〜5年に延長されたりします。

借金の滞納をしていて債権者から一括請求をされてしまっている方でも、任意整理によって分割払いへ変更できる可能性があります。また、法的手続きではないため、比較的簡単に手続きを進められるのが特徴です。

個人再生
個人再生とは、借金の返済が困難であることを裁判所に申し立て、借金を大幅に圧縮してもらう債務整理手続きです。個人再生がうまくいけば、最大で100万円まで借金を減額できるのがメリットです。

また、住宅ローン特則の利用で住宅ローンを残しておけるのも特徴。夫名義で借金をしていて、自己破産を選択できない等の事情があるときは、個人再生を検討しても良いでしょう。

自己破産
自己破産とは、裁判所に借金の返済が困難であることを申し立て、借金をすべて免責にしてもらう手続きです。免責許可決定を受けることで、借金名義人の財産を処分されてしまいますが、すべての借金を精算できます。本当に人生をリスタートさせたいと思うならば、自己破産がおすすめです。

債務整理手続きの中で、任意整理や個人再生は借金が残るため返済能力がなければ手続きを進めることができません。たとえば、妻が専業主婦で妻名義の借金を抱えていた場合には、自己破産一択になってしまいます(夫に返済能力がある場合は交渉可能)。

一方、妻が夫名義で借金をしていた場合には、夫が債務整理をすることになります。そのため、夫に安定した収入があれば、任意整理や個人再生といった選択肢の幅が広がるでしょう。

また、妻・夫いずれでも自己破産の選択は可能です。自己破産をすることによって一定以上の財産はすべて処分をしなければいけません。たとえば、自宅や一定以上の現金や預貯金、生命保険等々。

ただし、財産処分の対象になるのは「破産者の財産」です。つまり、妻が自分の名義で借金をしていて破産をするならば、妻の財産のみが対象になります。もちろん、夫名義の借金だった場合は、夫の財産が処分対象になります。

よって、妻が夫の名義で勝手に借金をし、夫が自己破産をするときの被害は非常に甚大だと思っておきましょう。夫名義で住宅ローンを組んでいた場合には、すべて処分の対象になってしまいます。

債務整理をするときは「借金の名義人」が責任を負うことになります。妻なら自分で行った責任と言えるかもしれませんが、夫であった場合の影響はとても大きいでしょう。

MEMO
妻が債務整理をしても夫の信用情報にキズがつくことはありません。そのため、妻が債務整理をしても、夫はクレジットカードをもったり、各種ローン契約を締結したりできるでしょう。もちろん、妻に家族カードを持たせることもできます。債務名義人が妻であった場合には、債務整理を行って解決を目指せば良いでしょう。
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まとめ

今回は、妻の借金は夫にも返済義務があるのか?妻の借金を調べる方法や発覚した場合にはどうすれば良いのか?についてお伝えしました。

原則として、夫が(連帯)保証人になっていなければ、夫が借金の返済義務を負うことはありません。しかし、日常家事債務のように生活をするうえで必要な借金だった場合には、夫側も借金の返済義務を負うことがあります。

また、妻が夫名義で借金をした場合には、無権代理であったことを証明できなければ夫が借金の返済義務を負うことになるでしょう。

このように、原則夫が借金返済義務を負うことはないけど、場合によっては負わなければいけない。とのことでした。たとえ妻が勝手に作った借金であっても、夫側が責任を負うこともあるので注意しなければいけません。

そして、「妻が借金をしているかもしれない」と感じている場合も、借金を調査する方法は基本的にありません。たとえ家族、夫婦間であっても個人情報は保護されるべきとの考えがあるため、なかなか借金問題を発覚させることが難しいでしょう。

唯一、本人の同意があれば開示請求も可能ですが、「妻の同意を得るのは困難だ」と考えている方が多いです。そのため、妻に直接聞くか、通帳の入出金明細等を確認するしかありません。

最後には、妻の借金が発覚したあとの対処法についてお伝えしました。妻の借金が発覚した場合には、まずは家族での話し合いや家計収支の確認、今後の返済計画が大切になります。

完済をできる程度の借金額ならば、多少無理をしながらでも完済を目指すべきです。どうしても完済を目指すのが困難ならば、債務整理も視野に入れた検討が必要です。

債務整理はあくまでも「借金の名義人」が行う手続きであるため、夫の名義で勝手に借金をされていた場合には、被害が甚大になってしまうかもしれません。妻が自分で作った借金ならば、自分でやったこととして解決してもらえれば良いでしょう。

もしも、夫に内緒の借金が発覚した場合には、債務整理も視野に入れた検討が必要です。まずは司法書士に相談のうえで根本的な解決を目指していきましょう。

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