借金の返済計画はどうやって立てる?無理なく完済を目指せる返済シミュレーションの作り方

借金の返済計画はどうやって立てる?無理なく完済を目指せる返済シミュレーションの作り方

いざ借金の返済計画を立てようとしたとき、まずは何から始めれば良いのかわからない方も多いでしょう。

その結果、毎月ある程度決まった金額を返済し続け、現在の借金残高や、あと何年で完済できるのか?などのことがわからない方も多いはずです。

借金の返済計画は、いくつかのポイントを抑えるだけで誰でも簡単に把握できます。

そこで今回は、借金の返済計画を立てる際に抑えておくべき3つのポイント、返済計画シミュレーションをお伝えします。具体的なビジョンを見据えて確実な完済を目指したい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

近藤邦夫

司法書士法人 浜松町歩法務事務所」代表司法書士。 愛知県岡崎市出身。 昭和64年早稲田大学法学部卒業。 長年にわたり、債務整理を行い、 また宅地建物取引士の資格を生かし、不動産登記や商業登記も行なっている。

借金の返済計画を立てる3つのポイント

借金の確実な完済を目指すためには、かならず「返済計画」を立てなければいけません。毎月いくらずつなら返済できるのか、その金額を毎月安定的に返済し続けたら、何年後に完済できるのか。

上記のことがわからないままでは「借金がなかなか減らない…」と思い、悩んでしまったり、気持ち的に参ってしまったりすることもあるでしょう。

では、どのようにして返済計画を立てれば良いのか?これからお伝えする3つのポイントさえ抑えておけば、誰でも簡単に借金の返済計画を立てられます。

  • ①借金状況の把握
  • ②毎月の収支計算
  • ③完済までの道のりを知る

まずは、上記3つのポイントについて詳しくお伝えします。これから借金の返済計画を立てる方は、ぜひ参考にしてください。

ポイント①:現在の借金をすべて明らかにする

借金の返済計画を立てるためには「現在の借金状況」を把握しなければいけません。今まで、借入時の金額こそ覚えていても、現在の借金残高を1円単位まで把握されている方は少ないでしょう。

とくに、毎月返済と借金を繰り返している方や返済しっぱなしの方、複数社からの借り入れがある方はとくに把握していない方が多いです。

自分の借金合計額がわからないままでは、どのように返済計画を立てれば良いかまったくわかりません。まずは、すべての借金の残高を1円単位で把握してください。

不明な場合は、各債権者に問い合わせれば教えてもらえます。あわせて、借入利率も確認してください。これから発生する利息を計算するためにもかならず必要です

ポイント②:毎月の収支を計算する

2つ目のポイントは「毎月の収支を計算すること」です。毎月収支を計算できている方はおそらく、自分なりの返済計画が見えているはずです。現時点で返済計画が見えていない方は、毎月の収支計算(家計簿管理)などを行っていないでしょう。

まだ収支計算をできていない方は、おおよその固定費のみでも構いません。毎月は入ってくる収入と毎月出ていく支出を計算してください。このとき、借金の支出は計算しなくて良いです。

毎月の収入と支出が1円単位までわかれば、毎月借金返済に充てられる金額がはっきりわかるはずです。もちろん、日常生活で発生する恐れがある事態のために、すべてのお金を借金返済に充てる必要はありません。

しかし、できるだけ多くの金額を借金返済に充てられれば、早期完済を目指せるのでバランスを意識しながら返済額を決定してください。

ポイント③:完済までの道のりを把握する

借金の洗い出しと毎月の収支計算が完了したら、完済までの道のりを把握してください。たとえば、借金の合計額が1社からの借り入れでちょうど100万円、年率15%、毎月3万円までなら返済に充てられることがわかったとしましょう。

毎月の返済額 完済までの期間 総利息 総支払金額
29,686円 3年8カ月(44カ月) 306,184円 1,306,184円

上記のような返済計画が明確になります。このように完済までの道のりを把握することで、いろいろなことを感じられるようになります。

たとえば「もう少し完済までの期間を短縮させたいな」

「利息を減らしたいな」

「毎月の返済額を減らしても完済できるのかな」などなど。

自分好みに調整すれば、具体的かつ自分にあった本当の返済計画を立てられるようになるでしょう。

【借金返済計画】完済までには何年かかる?返済シミュレーション

次に、具体的な返済シミュレーションをお伝えします。自分の借金額と毎月返済できる金額を照らし合わせながら、完済までの期間や総利息、総支払金額を把握してください。

なお、これからお伝えする借金返済計画は、あくまでも「例」です。同じ50万円の借金、毎月返済できる金額が同じであっても、借入条件等は異なる恐れがあります。あくまでも「参考」として捉えていただき、これからの借金返済計画に役立てていただければ幸いです。

借金総額50万円の返済計画(年率18%の場合)

借金50万円の借金を毎月1万円・2万円・3万円ずつ返済できるときの借金返済計画は下記のとおりです。

【1万円返済の場合】

毎月の返済額 完済までの期間 総利息 総支払金額
10,005円 7年9カ月(93カ月) 430,465円 930,465円

【2万円返済の場合】

毎月の返済額 完済までの期間 総利息 総支払金額
19,789円 2年8カ月(32カ月) 133,248円 633,248円

【3万円返済の場合】

毎月の返済額 完済までの期間 総利息 総支払金額
29,123円 1年8カ月(20カ月) 82,460円 582,460円

年率18%で50万円の借金をしていたときは、1カ月(30日)で7,397円の利息が発生するため、最低でも1万円程度の返済をしなければ完済は目指せません。また、毎月の返済額を2万円程度まで引き上げられれば無理のない返済計画と言えるでしょう。

自分の生活スタイルを見直したうえで、最低でも2万円程度は返済できるよう調整してください。

借金総額100万円の返済計画(年率15%の場合)

借金100万円の借金を毎月2万円・3万円・5万円ずつ返済できるときの借金返済計画は下記のとおりです。

【2万円返済の場合】

毎月の返済額 完済までの期間 総利息 総支払金額
19,993円 6年7カ月(79カ月) 579,447円 1,579,447円

【3万円返済の場合】

毎月の返済額 完済までの期間 総利息 総支払金額
29,686円 3年8カ月(44カ月) 306,184円 1,306,184円

【5万円返済の場合】

毎月の返済額 完済までの期間 総利息 総支払金額
50,297円 1年11カ月(23カ月) 156,831円 1,156,381円

借金総額が100万円の方は1カ月(30日)の利息だけで12,328円です。最低でも、毎月2万円を返済する計画を立てなければ、完済は見込めないでしょう。

確実な返済を目指すのであれば、毎月3万円程度で返済計画を立てたほうが良いです。2万円程度でも完済は目指せますが、利息金額が高額であるため積極的に返済する意識を持たれたほうが良いでしょう。

借金総額300万円の返済計画(年率15%の場合)

借金300万円の借金を毎月5万円・7万円・10万円ずつ返済できるときの借金返済計画は下記のとおりです。

【5万円返済の場合】

毎月の返済額 完済までの期間 総利息 総支払金額
49,916円 9年4カ月(112カ月) 2,590,592円 5,590,592円

【7万円返済の場合】

毎月の返済額 完済までの期間 総利息 総支払金額
69,822円 5年2カ月(62カ月) 1,328,964円 4,328,964円

【10万円返済の場合】

毎月の返済額 完済までの期間 総利息 総支払金額
99,659円 3年2カ月(38カ月) 787,042円 3,787,042円

借金総額が高額になれば最低返済額や利息額も高額になります。無理のない返済計画を立てなければいけないのは当然ですが、最低でも10万円程度の返済をしなければ完済は難しいでしょう。

上記の返済計画を見れば、毎月7万円程度の返済でもギリギリ完済が目指せるかもしれませんが、利息が高額です。少しでも早めに完済できるように生活スタイルの見直し等を行っておいたほうが良いでしょう。

借金の返済計画を立てる際に注意すべきこと

これから具体的な借金返済計画を立てる方は、下記のことに注意してください。

  • 最低返済額以上の返済は必須
  • あくまでも自分の生活を最優先に

最後に、借金返済計画を立てる際の注意事項について詳しくお伝えします。これからお伝えする内容を踏まえ、無理のない範囲で返済計画を立ててください。

最低返済額以上の返済は必須

現在抱えている借金に対してはすべて「最低返済額」が定められています。たとえば、リボ払いの借金なら、利用金額に応じて毎月の返済金額が変わってくるでしょう。消費者金融等であれば、借入金額に応じて◯%と定められていることがほとんどです。

たとえば、「100万円の借金に対しては3%の返済をしてください」という契約であれば、毎月最低でも3万円以上返済する計画を立てなければいけません。

各債権者によって最低返済額が異なるため、返済計画を立てる際には合わせて把握しておくと良いでしょう。

参考:アコム|返済金額について

利息以上の返済ができなければ借金は絶対に減らない

消費者金融等によっては、最低でも「利息」を支払っていただければその月の返済は済んだものとみなします(特例として)。このような状態を続けていると、借金(元金)は1円も減りません。最低でも利息以上のお金を支払えるよう返済計画を立ててください。

【利息早見表|1カ月(30日)】

50万円(18%) 7,397円
100万円(15%) 12,328円
150万円(15%) 18,493円
200万円(15%) 24,657円
300万円(15%) 36,986円

年率18%で50万円の借金をされている方であれば、最低でも7,397円以上の返済をしなければ借金は永遠に減りません。借金の返済はすべて、利息から優先して充当されてしまうため、かならず利息以上の返済で計画を立てるようにしてください。

あくまでも自分の「生活」を最優先するべき

借りたお金は絶対に返済しなければいけませんが、自分の生活をないがしろにしてまで借金返済をする必要はありません。

借金返済計画を立てた結果、借金返済に充てられる費用が僅かだったとか、ほとんど返済できない。といったときに、生活費を抑え込んでまで借金を返済するのはやめてください。

たとえば、家賃の支払いをしなければいけないけど、家賃を支払ったら借金の返済ができないときは、家賃支払いを優先してください。中には「家賃は滞納してもすぐに追い出されることはない」と言って、後回しにしてしまう方がいるかもしれません。

しかし、生活あっての借金返済ですので、生活が崩れてしまえば、働くこともできなくなってしまいます。

借金の返済ができないときは、行政を頼ったり収入を増やす努力をしたりして生活に影響が出ないようにされたほうが良いでしょう。

借金返済が難しいなら早めに債務整理の検討が必要

借金の返済が難しいとか、借金を返済したら生活費が足りないなどのことが頻繁に起こるのであれば、早期に債務整理をしてください。また、長い目で見て返済に息詰まることがわかった時点で、ただちに債務整理を検討すべきです。

「入院やケガで収入が減って、一時的に借金返済が難しい」という話であれば別ですが、そうではないのであれば債務整理を検討すべきサインです。きっと、借金の返済計画を立てた時点で「完済は無理だな…」と感じている方もいるでしょう。

早め早めに債務整理をしておくことで被害を最小に抑えられます。借金返済計画を立てた結果、完済は無理と感じたのであれば、潔く弁護士へ依頼されてみてはどうでしょうか。

なお、債務整理には下記3種類があり、自分にあった手続きで借金を減額できます。

  • 利息をカットし、元金のみを返済する「任意整理」
  • 借金を大幅に圧縮できる「個人再生」
  • 今あるすべの借金を麺で帰できる「自己破産」

いずれも、弁護士に相談すれば手続きできます。

参考:裁判所|債務整理手続き一覧

まとめ

今回は、借金返済計画を立てる際のポイント・注意点についてお伝えしました。今回お伝えしたことをまとめると下記のとおりです。

  • 借金返済計画を立てる際には「①借金状況の把握」「②毎月の収支計算」「③完済までの道のりを知る」の3つが大切
  • 自分に合った借金返済計画を立てるためには、自分の状況を把握しなければ意味がない。毎月の収支はもちろん、完済までの道のり、自分がどのような生活を送りたいのかなど先々のビジョンを見据えた対応が必要不可欠
  • 毎月の返済額は最低返済額・利息以上でなければ意味がない。万が一、利息しか払えない、利息+元金の一部しか支払えないのであれば、債務整理を視野に入れたほうが良い

借金返済計画を立てる際の大前提は「自分の状況を知ること」です。自分が抱えている借金、毎月の収支、毎月いくらまでなら借金を返済できるのか。自分のことでありながら、実際に把握できている方は少数です。

今回、借金返済計画を立てたい、借金の返済計画を立てる際のポイントを知りたい。と、少しでも感じられたのであれば、良いきっかけになったのではないでしょう。今回お伝えしたことを参考に、借金の返済計画を立て、確実な完済を目指してください。

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