借金一本化にはどんな手段がある?おまとめローンだけではない借金一本化の方法を紹介

借金一本化にはどんな手段がある?おまとめローンだけではない借金一本化の方法を紹介

借金一本化と聞けば多くの方が「おまとめローン」を思い浮かべるでしょう。しかし、借金を一本化し、借金の返済負担を減らすことが目的なのであれば、個人再生(民事再生)という方法も有効です。

今回は、借金一本化のメリットや方法、仕組みなどについて詳しくお伝えします。現在、少しでも借金を減額したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

近藤邦夫

司法書士法人 浜松町歩法務事務所」代表司法書士。 愛知県岡崎市出身。 昭和64年早稲田大学法学部卒業。 長年にわたり、債務整理を行い、 また宅地建物取引士の資格を生かし、不動産登記や商業登記も行なっている。

借金一本化とは?どのようなメリットがある?

借金一本化とは、その名の通り「借金を一本にまとめること」を言います。

借金の一本化をすることで、金利を引き下げられたり毎月の返済負担額を軽減できたりなど、多くのメリットが発生します。

まずは、借金一本化とはどのような仕組みなのか、どのようなメリットがあるのかについて詳しくお伝えします。

少しでも借金の返済負担を軽減したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

借金を1つにまとめるのが「借金の一本化」

借金の一本化とは複数ある借金を1つにまとめることを言います。一般的には「おまとめローン」という金融商品で借金を一本化します。また、借金一本化のことを「借り換え」と呼ぶこともあるのであわせて覚えておいてください。

たとえば、あなたが消費者金融A・B・Cの3社からお金を借りていたとしましょう。

複数からの借り入れに対して、下記のようなことを思った経験はないでしょうか?

「返済日がバラバラで管理が大変」

「各社に支払う手数料(ATM手数料等)が無駄に感じる」

「それぞれの金利が高いからなかなか元金が減らない」

「キャッシングカードが多くて財布が常にパンパン」

借金を一本化することで、上記のような煩わしい手続きやデメリットをなくすことができるのです。また、借金の一本化はおまとめローンに限った話ではなく、借金をまとめたうえでさらに大幅に借金を減額できる方法もあります。

借金一本化のメリットは大きい

借金を一本化する主なメリットは下記の3つです。

  • 利息を大幅にカットできる可能性が高い
  • 毎月の返済額を軽減できる
  • 毎月の返済計画を立てやすい・返済日の管理が楽

上記、借金一本化のメリットについて詳しく見ていきましょう。

利息を大幅にカットできる可能性大!

借金を一本化する最大のメリットは「利息を大幅にカットできる」ということです。

現在、借金の一本化を検討されている方は、複数社からの借り入れがあるはずです。複数社からの借り入れがあると、どうしても金利が高い傾向にあるため一本化のメリットが大きくなるでしょう。

そもそも、毎月支払う利息は「利息制限法」という法律によって上限金利が下記のように定められています。

借入金額 金利上限
10万円未満 20%以下
10万円以上100万円未満 18%以下
100万円以上 15%以下

参考:e-gov|利息制限法(第1条)

たとえば、A・B・Cの3社から50万円ずつ合計150万円の借金を抱えている方は、A・B・C社それぞれの金利が18%まで許されています。

しかし、借金をおまとめローンで一本化してしまえば、最大で15%まで引き下げられるのです。

仮に、3社から年率18%で合計150万円の借金を抱えていて、5年間で完済しようとしたときの利息は「785,400円」です。一方で、同じ条件で年率15%だったときの利息は「641,100円」です。

その差は「785,400円-641,100円=144,300円」となるため、たったの3%でも大きな差が発生するでしょう。さらに、おまとめローンという金融商品は、一般的に上限金利よりも低めに設定されています。

仮に、150万円の借金を年率18%から10%まで引き下げられたときの利息差は「373,140円」です。

金利 5年で完済したときの利息 18%との差額 15%との差額
18% 785,400円
15% 641,100円 144,300円
10% 412,260円 373,140円 267,960円

※5年で完済したとき

複数社からの借り入れは、どうしても支払う利息額が大きくなってしまいます。少しでも利息負担を軽減したいのであれば、借金の一本化を検討されてみてはどうでしょうか。

毎月の返済額が軽減できる

借金を一本化すれば、毎月の返済額が減ります。なぜなら、借金を一本化することで、総支払金額が減るため、必然的に毎月の支払額も軽減されるためです。

たとえば、A・B・Cの3社から年率18%で50万円ずつ、合計150万円借りていたとすれば、それぞれに対して利息以上の返済をしなければいけません。

50万円を1か月間(30日)借りていたときの利息は、7,397円なので最低でも8,000円~1万円程度の返済をしなければいけないでしょう。つまり、3社それぞれに返済しようとすれば、毎月最低でも24,000円~3万円程度の返済をしなければいけません。

一方で、借金を一本化して金利を引き下げられたとして、年率15%で150万円の借金を1か月(30日)借りていたときの利息は18,493円です。そのため、最低2万円程度の返済をすれば確実に完済を目指せます。

「金利が下がる→利息が減る→毎月の返済負担額を軽減できる」という仕組みです。

ただもちろん、可能であれば今まで通りの返済額を続けたほうが良いでしょう。借金返済負担額こそ減らないものの、返済期間が短縮され、総支払金額を大きく軽減できます。

返済計画が立てやす・返済日が把握しやすい

借金を一本化することで、毎月の支払日が1日にまとまります。今までは、返済先に応じて数日の返済日があり、管理が大変と感じていた方は少なくないでしょう。

また、返済日がバラバラであるがゆえに、常に借金の返済に追われているような気持ちになってしまうこともあります。借金を一本化し、返済日を1日にまとめることで、借金というストレスからの開放や管理の軽減が見込めるでしょう。

さらに、今まで支払ってきた返済手数料も大きく軽減できます。毎月振り込みで返済されている方、コンビニATMで返済されている方は、返済のたびに110円~220円の手数料が発生します。3社からの借り入れがある方は、毎月330円~660円の手数料が発生するでしょう。

1年間で見れば3,960円~7,920円にもなります。「塵も積もれば山となる」ということわざがあるように、1回1回で見れば数百円でも、数か月、数年で見ればとても大きな金額になり得ます。

借金の一本化は、利息のみならず手数料の部分でも経済的に大きく寄与していると言えるでしょう。

借金一本化にはどのような方法・手段がある?

「借金一本化」と聞くと多くの方が、金融商品である「おまとめローン」をイメージされます。しかし、借金をまとめることが目的なのであれば、債務整理手続きの1つである「個人再生(民事再生)」も有効です。

次に、借金一本化できるおまとめローンや個人再生とは何か?について詳しくお伝えします。一本化を検討されている方は、どちらが自分に合っているのかを検討していただければと思います。

金融商品「おまとめローン」

おまとめローンとは、消費者金融や銀行等が販売している金融商品の1つです。おまとめローンは、住宅ローンや自動車ローン等のように目的別ローンに分類され、借入限度額も高い傾向にあります。

また、おまとめローンの特徴として「年収の1/3以上の借り入れが可能」です。そのため、総量規制の対象外となっているクレジットカード利用の借金も含め、まとめられるのがメリットと言えるでしょう。

ただ、おまとめローンは「ローン商品」であるため、かならず借入審査が行われます。

借入金額が高額だったり、信用情報に問題があったりすると利用できない可能性が高いので、自分の状況を考えたうえで利用を検討してください。

参考:日本貸金業協会|総量規制にかかわらず、お借入れできる貸付けの契約があります

法的手続き「個人再生(民事再生)」

もう1つ、借金をまとめられる方法として「個人再生(民事再生)」という方法があります。個人再生は、法的手続きの1つでいわゆる債務整理です。

裁判所に対して「借金の返済ができないので減額してください」と申立を行い、あなた自身の状況等を考慮して借金をまとめて圧縮します。最大で借金を100万円まで圧縮でき、残った残金を3~5年程度かけて完済を目指します。

個人再生のメリットは、借金を1つにまとめられるうえに、借金を大幅に圧縮できる点です。おまとめローンとは異なり、返済負担額を大幅に減らせるのが最大の特徴。一方で、信用情報への情報掲載や、官報への掲載などいくつかのデメリットが伴います。

個人再生は、弁護士へ相談することで手続きを進められます。気になる方は、デメリットも含めて相談されてみてはどうでしょうか。

利息カットなら任意整理もメリットが大きい

「利息を減らして支払額を軽減すること」が目的なのであれば、任意整理という手続きも有効です。任意整理は借金をまとめることはできませんが、今ある借金の将来利息等をカットできます。

現時点で「借金の返済が厳しい」と感じているのであれば、検討してみる価値はあるでしょう。なお、任意整理も債務整理の一種です。気になる方は弁護士へ相談してください。

個人再生・任意整理にはデメリットが伴う

個人再生や任意整理には「デメリット」が伴います。たとえば、信用情報にキズが付くことで今後5年間は新たなローン契約やクレジットカードの作成ができません。

ただ、借金の支払い不能に陥ってしまったときも、信用情報にキズが付き延滞が解消されるまでは新たな契約は難しいでしょう。そう考えると、債務整理で早めに借金問題を解決しておくのも良いのではないでしょうか。

借金一本化は誰でも可能?自分に合ったおまとめ方法とは?

借金を一本化する方法として「おまとめローン」と「債務整理」が有効であるとお伝えしましたが、自分にあった方法はどちらなのか?悩ましい部分ではないでしょうか。

最後に、自分にあった借金一本化の方法がわからない方に向けて、どちらの方法を選択するべきか?についてお伝えします。

審査に通るならおまとめローンがおすすめ

おまとめローンは金融商品なので、借入時にかならず「審査」が行われます。当然、審査に通過しなければおまとめローンの利用はできません。

そして、おまとめローン審査に通るだけの属性を持っていて、おまとめローンを利用すれば確実に完済を目指せる方は、こちらを検討してください。ただ「審査に通る=返済可能」ではないので注意してください。

審査の結果、現在よりも毎月の返済負担額が増えてしまう可能性もあります。かならずしも自分の希望にあった条件で契約できるとは限りません。自分の毎月の収支バランスを考えたうえで「確実に返済をできる」と確信したときに利用してください。

おまとめローンは「属性」が大切

おまとめローンで審査通過を目指すのであれば「属性」がとても大切です。属性とは、下記の項目を指し、少しでも不安な点があるときは解消してから申し込みましょう。

  • 家族構成
  • 居住環境
  • 勤務先
  • 勤続年数
  • 年収
  • 借入状況

たとえば、その他が同じ条件でも勤続年数1か月の人と10年の人では、借入審査に圧倒的な差が発生します。お金を貸す側は当然、勤続年数が長い人に融資をしたいと考えるでしょう。

また、少しでも借入状況にマイナスな情報があると、借入審査に通りません。過去に滞納していた経験がある、現在も延滞が続いているなどの状況があるときはおまとめローンは諦めるしかないでしょう。

信用情報に問題があるなら債務整理を検討

何らかの理由でおまとめローンが利用できない方、おまとめローンを利用しても借金の返済が難しい方は、債務整理を検討してください。

先にお伝えした「個人再生(民事再生)」であれば、借金を大幅に圧縮できます。そのため、無理のない返済計画を立て直すことができたり、確実に借金の完済を目指したりできます。

もちろん、信用情報にキズ付いたり官報へ情報が掲載されたりなどのデメリットは避けられません。しかし、少しでも現状を変えたいと思うのであれば、債務整理も視野に入れた検討が必要でしょう。

債務整理は誰でもできる

債務整理は信用情報に問題のある方でも利用できますし、無収入の方でも利用できます。ただ、債務整理のうち、任意整理と個人再生は「返済」が伴うため、安定した収入があることが条件になります。

少なからず収入がある方であれば、債務整理の中で選択肢が広がります。収入がない方は、自己破産という手続き一択になる点だけは注意してください。

自己破産は借金をすべて免責する手続きです。借金を一本化するものではありませんが、借金を解決する方法としては有効です。自己破産であれば誰でも利用できるので、検討してみてはどうでしょうか。

まとめ

今回は、借金一本化の方法やメリットについてお伝えしました。今回お伝えしたことをまとめると下記のとおりです。

  • 借金を1つにまとめるのが「借金一本化」で、金利的メリットの他にも毎月の支払額軽減、支払い管理等いくつものメリットがある
  • 借金一本化の方法にはおまとめローンと個人再生(民事再生)がある。いずれも借金をまとめるという意味では同じでも、経済的なメリットの差が大きい
  • 審査に通るのであればおまとめローンを利用したほうが良い。一方で、審査に通らない事情がある方は債務整理(個人再生等)を検討したほうが良い

借金を一本化することで、今ある借金のすべてをまとめることができるため、返済管理の簡略化や金利の引き下げ等に期待ができます。結果的に、総支払金額が軽減され、毎月の返済負担額も軽減できるでしょう。

ただ、おまとめローンは金融商品であるがゆえにかならず「審査」が伴います。審査の結果、利用できない方もいるでしょう。もし、おまとめローンの利用ができないのであれば、個人再生の利用を検討してください。

信用情報等に問題がある方でも借金を一本化できるうえに、最大で100万円まで借金を圧縮できます。自分の状況に照らしながら、どのように借金問題を解決するか検討してみてはどうでしょうか。

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