FXが原因で背負った借金も債務整理できる?自己破産で免責される状況を解説

FXが原因で背負った借金も債務整理できる?自己破産で免責される状況を解説

「FXのレバレッジ取引で巨額のロスカットを受けてしまった」「FXで背負った負債のために資金調達を強いられた」などのように、FXがきっかけで収入を大幅に上回る借金を背負う債務者は増えています。

特に、昨今ではスマホからでも簡単にFX、株式・先物取引、仮想通貨に手を出せるようになったという実情も。資産運用や投資目的で安易に手を出してしまったために、投機が原因で困窮状態に追いやられるというケースが後をたちません。

ただ、ここでよく耳にするのが、「債務整理ではFXの借金を解決できない」という噂。「FXや株式取引が原因でどれだけ借金を背負ったとしても債務整理では返済状況を改善できない」という勘違いが広まっています。

そこで今回は、FXが原因で借金を背負った場合でも債務整理ができること、また、その際の注意点などを解説します。どのような事情で借金を抱えたとしても、かならず展望を見出す方法は残されているのでご安心ください。

この記事の監修者

近藤邦夫

司法書士法人 浜松町歩法務事務所」代表司法書士。 愛知県岡崎市出身。 昭和64年早稲田大学法学部卒業。 長年にわたり、債務整理を行い、 また宅地建物取引士の資格を生かし、不動産登記や商業登記も行なっている。

目次

FXが原因の借金でも自己破産できる

FXが原因で借金を背負った場合、取引の性質上、借金額がかなり高額になるおそれがあります。

そのため、負債を背負った債務者の多くが、債務整理のなかでも借金返済義務の免責を狙える”自己破産”を希望するでしょう。

もちろん、FXが原因で借金を作ったケースでも自己破産はできるのですが、消費者金融などからの借入とは違って注意すべき点が少なくありません

そこで、まずは、FXの借金について自己破産で解決を目指す場合の流れ・注意点について見ていきましょう。

FXが原因の借金は自己破産の免責不許可事由に該当する

FXが原因の借金は自己破産の”免責不許可事由”に該当するので、本来ならば自己破産による免責許可を受けることはできません。

免責不許可事由とは、自己破産による免責を妨げる事情のこと。FXは「その他射幸行為」に該当すると考えられます(破産法第252条1項4号)。

破産法第252条1項柱書 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
4号 浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

(免責許可の決定の要件等)破産法第252条1項4号

免責不許可事由が定められている理由は、自己破産によって債務者が受け取るメリットの大きさとバランスをとるためです。

自己破産で免責を得られれば、債務者はその時点で借金生活を終わらせることができます。これをいいかえれば、返済を受けられない債権者が大きなデメリットを被るということです。

つまり、自己破産希望者すべてに免責許可を与えてしまうと債権者が受ける不利益が大きすぎるので、自己破産によって恩恵を受けるに値する債務者を絞りこむ必要が生じます。

そこで、法定の免責不許可事由に該当する事情が見受けられる債務者は原則として免責の対象外に。これによって、自己破産制度の適正な運用が図られています。

免責許可事由を大別すると、次の通りです。

  • 借金の原因が免責にふさわしくない
  • 破産手続きの公正を妨げる行為が存在する
  • 過去7年以内に免責許可などを受けた経験がある

免責不許可事由があると、自己破産手続きをスムーズに進めることができません。したがって、免責不許可事由に該当するおそれがある事情を抱えている債務者は、かならず事前に司法書士などの専門家までご相談ください。

FXが原因の借金でも裁量免責の可能性がある

免責不許可事由が存在する債務者でも、担当裁判官による独自の判断で例外的に免責が認められる可能性があります。これが”裁量免責”と呼ばれるものです(破産法第252条2項)。

破産法第252条2項 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。

(免責許可の決定の要件等)破産法第252条2項

免責不許可事由がある債務者についてすべて免責を認めないとなると、次の2点の問題が生じます。

  • ギャンブルが原因の債務者など、免責不許可事由を抱える人が実態としてかなり多いので、自己破産のハードルが上がってしまう。
  • 免責不許可事由を抱えていても反省をしている人の再起可能性を遮断することになる。

そこで、債務者側の事情を総合的に考慮して、自己破産で免責を与えた方が適切だと判断できる場合には、裁量免責によって借金の返済義務から逃れられるという道が用意されています。

したがって、FXで借金を抱えた債務者が狙うべきストーリーは、裁量免責による状況改善だと考えられるでしょう。

裁量免責を獲得するにはコツを押さえて審尋に挑もう

FXの借金について裁量免責を獲得するためには、「破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当である」と認められる必要があります。

つまり、裁量免責を得られるだけの分かりやすい客観的な基準が定められているわけではなく、債務者ごとの個別事情が考慮されて事案に応じて裁量免責の可否が決定されるということです。

免責審尋において考慮される代表的な要素は次の通り。これらの点を意識して、免責審尋に挑むのがポイントになります。

  • 免責不許可事由に該当する事実の程度問題
  • 破産手続きに協力的かどうか
  • 自己破産で経済的な更生を目指せるのか
  • 反省の態度の有無
免責不許可事由に該当する事実が悪質なら裁量免責は認められない

免責不許可事由に該当する事実が悪質な場合には裁量免責は認められにくくなります。なぜなら、担当裁判官の納得を得られにくいからです。

たとえば、ロスカットによる損失があまりに高額な場合、財産隠し・偏頗弁済などを行った場合などは、債権者に不利益を転化するのが適切ではないと考えられるでしょう。

これに対して、負債が比較的低額で、他の免責不許可事由に該当するような事実がない場合には、スムーズに裁判官の納得を得られるはずです。

破産手続きに協力的な姿勢を見える

“債務者自身が破産手続きに協力的な姿勢を見せているかどうか”が裁量免責の判断に影響します。

たとえば、破産管財人・債権者集会に出頭しない、虚偽の説明をする、予納金の支払いが遅れるなどの事情があると、担当裁判官からの心証が悪くなるのは当然です。「この債務整理手続きは債務者のために行われていることを分かっているのか?」と疑念を抱かれるのは仕方ありません。

そもそも、FXが原因で借金を背負った時点で、”免責不許可事由が存在する”というマイナスからのスタートです。

FXの過去の取引履歴の提出・丁寧な質疑応答など、すべての場面で誠実な対応を心がけましょう。

MEMO
破産手続きの進行を妨げる事情も免責不許可事由として列挙されています(破産法第252条1項各号)。したがって、自己破産を希望する債務者は、最終的に免責許可を獲得するまでは真摯な姿勢で手続きに向き合うようにしてください。
自己破産による経済的な更生可能性を示す

債務者がどれだけ手続きに協力的であったとしても、自己破産をきっかけに生活再建を目指せる可能性が低いのなら裁量免責は得られません。なぜなら、わざわざ免責を認めて債権者に不利益を生じさせる実益を見出せないからです。

たとえば、自己破産手続き中に仕事を辞めてしまった場合、借金返済生活から抜け出せたとしても、その後の生活に不安が残ります。

家族や配偶者などからのサポートを得られるのなら問題ありませんが、誰の支援も受けられなかったり、自分で働く意欲がない状況では、とても生活再建を目指せるとは考えにくいでしょう。

したがって、免責審尋では、「自己破産をすればどのような形で経済的な更生を目指せるのか」を具体的に示すことが重要となります。

反省の態度を明らかにする

裁量免責を得るために重要になるのが”債務者の姿勢”です。FXで借金を背負ったことを真摯に反省し、今後の生活再建に向けた熱意・考えを示す必要があります。

具体的には、次のポイントを押さえるようにしましょう。

  • 反省文・誓約書を提出する
  • 今後FXを行わない旨を約束する
  • 生活再建に向けて堅実な生活プランを提出する

たとえば、安易な理由でFXに手を出してしまったのなら、反省文を提出して今後の生活再建を誓いましょう。

債務者ひとりではふたたびFXに手を出してしまいそうで不安なのなら、家族のサポート体制などを整備すれば裁判官からの評価も高くなります。

このように、FXで借金を作ったときの免責審尋ではいかにポイントを押さえて裁判官と向き合うかが重要になるので、かならず債務整理の経験が豊富な専門家のアドバイスを得ながら手続きを進めましょう

2回目の自己破産でも免責の可能性はある

FXで負債を抱えた債務者のなかには、過去に債務整理手続きを経験しているという人もいるでしょう。

自己破産には回数制限はないので、法律上は何度でも自己破産で借金問題の解決を図ることができますが、2回目以降の自己破産では次の2ポイントに注意をしなければいけません。

  • 1回目の自己破産とは違う理由で借金を抱えていること
  • 前回の自己破産から7年以上が経過していること

2回目の自己破産では借金の原因が重要視される

2回目の自己破産を申し立てるときには、どのような経緯で借金を負担することになったのかが重要視されます。特に、1回目の自己破産のときと同じなのか状況が異なるのかがポイントです。

たとえば、1回目の自己破産でもFXの借金が原因になっていた場合、2回目の自己破産で同じようにFXが理由で借金をしたという主張は通りにくいでしょう。

なぜなら、1回目の自己破産では裁量免責を獲得しているはずですが、この際に「FXには今後手を出さずに真面目に生活再建に注力する」ことを約束しているからです。FXが原因で2回目の自己破産を希望するとなると、1回目の手続き時に行った約束を破っているわけですから、2回目の免責審尋で裁判官からの信頼を得られないのは明らかでしょう。

これに対して、1回目の自己破産ではFXの借金を理由に、2回目の自己破産では病気・怪我などの治療費が借金の原因になっているような場合では、比較的自己破産は認められやすいと考えられます。

なぜなら、1回目と2回目とでは借金の原因に違いがありますし、特に、2回目の自己破産ではどうしようもない事情から生活がひっ迫したと考えられるからです。病気などが原因で家計がうまく回らない債務者こそ自己破産で保護すべき対象と考えられます。

このように、自己破産で2回目以降の免責が認められるかは、1回目の免責以降の経緯が詳しく審理されます。したがって、FX・株式取引・ギャンブルなどの癖が抜けずに同じ過ちを繰り返してしまった場合には、自己破産以外の債務整理を選択肢に入れつつ、適切な方法を専門家に相談しましょう。

MEMO
借金の原因は複合的です。FXだけが原因で借金を抱えたのではなく、家計バランスの崩壊・FX・治療費・臨時の支出など、さまざまな要因が考えられるでしょう。したがって、特に2回目以降の自己破産を申し立てるときには、裁判官が納得できるような経緯を適切に組み立てる必要があります。かならず専門家に相談のうえ、裁量免責を狙えるだけの材料を整えてください。

前回の自己破産から7年以上が経過したタイミングを狙う

2回目の自己破産を希望するときには、前回からの間隔が重要です。なぜなら、前回の自己破産から7年以内なら免責不許可事由に該当するので、裁量免責のハードルが高くなるからです(破産法第252条1項10号)。

特に、2回目の借金の原因がFXによる負債にある場合には、それ自体が免責不許可事由に相当する以上、期間には留意しなければいけません。

  • 前回から7年以内の自己破産 + FXが原因の借金 → 免責不許可事由2個
  • 前回から7年以上経過の自己破産 + FXが原因の借金 → 免責不許可事由1個

裁量免責を獲得するには、免責不許可事由の程度問題が考慮されることは説明した通りです。つまり、免責不許可事由に相当する事実の数はできるだけ減らさなければいけません。

したがって、2回目以降の自己破産では免責審尋での判断がネガティブに作用するような事情をできるだけ軽減するために、7年以上の期間間隔をあけてから申立てを行いましょう。

MEMO
もちろん、7年以内に2回目の自己破産を希望する場合でも、免責で説得的な主張ができれば裁量免責を獲得することは可能です。実績のある専門家にアドバイスを求めましょう。

FXが原因の借金を自己破産で解決するならデメリットも知っておこう

FXをきっかけに負債を抱えた場合、その借金額の大きさからとても完済を目指せず、自己破産を選択するしかないという債務者は少なくありません。

ただし、FXの借金を自己破産で免責する場合には、以下のようなデメリットが発生します。

  • 借金原因がFXにあるときは管財事件として取り扱われる
  • 債務者名義の財産が処分される
  • 自己破産を利用すると官報に掲載される
  • 破産手続き中は仕事ができなくなる職業がある
  • 免責後は約10年間ブラックリストに登録される
  • 破産手続き中は移動制限・郵便物の管理制限が生じる
  • 【注意!】新規口座開設は可能

自己破産を選択する以上は覚悟を決めなければいけないので、これらのデメリットと免責という効果を天秤にかけて、今後の手続き選択をご検討ください

FXの借金は管財事件になる

FXの借金が原因で自己破産を申し立てる場合には、管財事件として手続きが進行するので、同時廃止事件よりも手続き期間・費用が重くなるというデメリットがあります。

  • 管財事件:破産管財人が選出されて手続きが慎重に進められる。免責不許可事由が存在すると原則管財事件。
  • 同時廃止事件:借金状況・財産関係がシンプルなので破産手続きがスムーズに進む事件類型。

借金の原因がFXにあるなど、免責不許可事由が存在する場合には、債務者に免責許可を与えるべきか否かの審理に時間が必要です。

そのため、破産管財人が選出されて、慎重に手続きが進められることになります。

その結果、破産手続きに時間がかかりますし、破産管財人の報酬などを含む予納金も高額です。

したがって、FXの失敗をきっかけに自己破産を希望する場合には、手続きの負担が重くなるということを覚悟してください。

MEMO
管財事件に分類される場合でも、弁護士に依頼をした場合に限って”少額管財事件”という取扱いになります。少額管財事件なら、管財事件よりも手続き期間が短縮され、裁判所への予納金も比較的安いというメリットが。ただし、弁護士に依頼する費用が発生するので、事前に費用総額をお確かめください。

債務者名義の財産が処分される

自己破産では、借金の返済義務の免責が得られる反面、債務者名義の財産などが換価処分によって債権者に割り当てられることになります。

たとえば、マイホームなどは確実に処分対象になるので、現在の生活拠点が失われるでしょう。

したがって、財産処分をどうしても回避したいという債務者は、自己破産以外の方法でFXの借金問題を解決するのがおすすめです。

MEMO
自己破産を利用してもすべての財産が処分されるわけではありません。債務者の最低限の生活を保障するために、新得財産・差し押さえ禁止財産などの自由財産を手元に残すことは許されています。手元に残せる財産の範囲は生活再建に直結する部分なので、事前に専門家に目安を教えてもらいましょう。

自己破産を利用すると官報に掲載される

自己破産を利用するとかならず官報に氏名が掲載されるので、「借金や自己破産を誰にも知られたくない」という債務者にはデメリットです。

ただし、官報情報を普段からチェックしている人はほとんどいないでしょうし、Web検索できるというわけでもありません。

現実問題として、官報をきっかけに自己破産などの事実がご自身の周りの人に知られる可能性はかなり低いと考えられるので、ご安心ください。

破産手続き中は仕事ができなくなる職業がある

自己破産を利用すると、一定期間仕事・資格が制限される職業があります。

もちろん、一生涯仕事ができなくなるわけではなく、破産手続きの申立てから免責許可などにより復権するまでの数カ月~1年程度の期間だけに限られますが、現在の職業次第では収入が断たれるおそれがあるので注意が必要です。

MEMO
職業制限を受ける仕事・資格は多岐にわたります。代表的なものとしては、弁護士・司法書士・行政書士などの公的資格や、警備員・公証人・通関士・旅行業者・保佐人などです。債務者自身の仕事が資格制限の対象になるかをかならず事前にご確認ください。

自己破産後は約10年間ブラックリストに登録される

自己破産を利用すると、約10年間信用情報機関に事故情報が登録されるので、ブラックリストとしてのデメリットが生じることになります。

信用情報機関とは、全国銀行個人信用情報センター(KSC)日本信用情報機構(JICC)株式会社シー・アイ・シー(CIC)の3社のこと。各人の借金状況や収入・勤続年数などの属性を管理する団体です。

そして、自己破産を利用した履歴も約10年間程度登録されるので、ブラックリスト登録期間は以下のデメリットを避けられません。

  • 新規の借入・ローン契約ができない
  • クレジットカードが使えなくなる(新規入会も不可)
  • 奨学金の保証人になれない
  • 賃貸物件の入居審査に通りにくくなる
  • スマホ・携帯電話端末代金の分割払いができない

借金の滞納などを理由としてすでに信用情報機関に事故情報が登録されている債務者もいるでしょう。しかし、その場合も自己破産のタイミングから約10年のブラックリスト期間がスタートします。

また、他の債務整理手続きを利用したとしても、ブラックリスト情報の登録は避けられません。しかし、自己破産を原因として登録される事故情報がもっとも登録機関が長いので、日常生活に生じるデメリットの負担が重くなります。

債務者の状況次第では、たとえば、「奨学金の保証人になれない・賃貸物件の入居審査のハードルが高くなるのは困る」という場合もあるでしょう。

今後の人生プランを含めて総合的な視点から自己破産が適切な選択肢なのかをご検討ください。

MEMO
ブラックリストへの登録によっていろいろなデメリットが生じますが、それぞれのデメリットごとに回避・軽減する方策が考えられます。たとえば、奨学金の保証人になれないとしても、機関保証制度を活用すれば問題ありません。司法書士などの専門家ならこのような現実的なアドバイスも期待できるので、些細な不安もご相談ください。

破産手続き中は移動制限・郵便物の管理制限が生じる

破産手続き中は、債務者(破産者)は自由に移動・郵便物を管理することができません。

たとえば、出張や旅行をする場合には、その都度裁判所の許可が必要です。

また、郵便物も債務者の元に届くのではなく、破産管財人の管理が管理することになります。

自己破産を利用しても銀行口座は開設できる

自己破産についてよくある誤解の1つとして、「銀行口座も開設できなくなる」というものがあります。

しかし、自己破産を経験したとしても、銀行口座は開設できます。なぜなら、口座の開設行為と与信には何の関係もないからです。

もっとも、銀行との間でローン契約などを締結していて、自己破産などの債務整理の対象になった場合には、その銀行にて銀行口座を開設することはできなくなります(いわゆる”内部ブラック”になるからです)。

したがって、自己破産後に家計管理を行う際には、自己破産とは関係のない銀行口座を利用するようにしましょう。

FXの借金について自己破産が認められないときには別の債務整理を検討しよう

「FXの借金について裁量免責が得られなかった」「自己破産によるデメリットはどうしても避けたい」という場合でも、個人再生・任意整理という選択肢が与えられています。

ただ、FXで高額な借金を抱えた債務者が押さえておくべきポイントは、最初から実現可能性のある債務整理手続きを選択することです。

たとえば、いったんは自己破産手続きを申し立てたものの、結局裁量免責を得られなかったので別の債務整理を検討するというような状況は、次の2つの意味において問題が生じます。

  • 自己破産にかけた費用・時間が無駄になる
  • FXの借金について利息が増えてしまう

せっかく自己破産を申し立てても免責許可を得られなければ意味がありません。それまでかけた費用・時間が無駄になるだけではなく、現在抱えている借金について利息が増える一方です。

したがって、債務整理を利用する前に司法書士などの専門家に依頼をして、どの手続きなら確実に借金問題を改善できるのかを診断してもらうことを強くおすすめします。

個人再生なら自宅を処分せずに借金減額を狙える

個人再生とは、借金総額に応じて減額を狙える債務整理手続きのことです。裁判所に認められた個人再生計画案にしたがって、原則3年程度で完済を目指すことになります。

自己破産のようにすべての借金が免責されるわけではありませんが、次のような最低弁済額が定められているので、完済を目指すのは難しくはありません。

  • 100万円未満:総額全部
  • 100万円以上500万円以下:100万円
  • 500万円を超え1,500万円以下:総額の5分の1
  • 1,500万円を超え3,000万円以下:300万円
  • 3,000万円を超え5,000万円以下:総額の10分の1

参照:個人再生手続き利用にあたって – 裁判所HP

FXの負債は高額になる傾向があります。個人再生なら5,000万円以下の借金について大幅な減額を目指せるので、返済状況を改善できる債務者は多いでしょう。

また、個人再生なら自己破産のようにマイホームなどが処分されるされることはありません。

今の生活環境そのままの状態でFXでの失敗からの脱出を目指せるので、自己破産を避けたい債務者はどうぞご検討ください。

注意
負債額が大きい債務者に適した個人再生ですが、裁判所における手続きが複雑だったり、認可を受けられるだけの個人再生計画案を作るハードルが高いというデメリットがあるということを押さえておきましょう。詳しくは、「個人民事再生とは何ですか?」をご参照ください。

任意整理なら誰にも知られずに債権者と和解できる

任意整理とは、裁判所を利用せずに債権者と直接交渉をして返済計画を作り直す債務整理手続きのことです。

多くの場合、任意整理の和解内容は「将来利息」のカットに焦点が絞られます。したがって、すべてが免責されうる自己破産・元本額自体を減らせる個人再生ほどの減額効果は期待できないという点を押さえておきましょう。

とはいえ、任意整理は裁判所を利用せずに柔軟に交渉を進めることができるものです。

たとえば、FXの借金だけを整理することができますし、裁判所を利用しないので費用・手続きに要する時間も節約できます。

また、裁判所を利用するとなると、どうしても家族に借金の事実を知られてしまいますが、任意整理なら家族に隠したまま返済状況を改善することも可能です。

特に、近年ではスマホで簡単に投資を行うことができるようになっています。その結果、FXで負債を背負ったといっても、比較的少額の借金で済んでいるというケースも少なくありません。

したがって、将来利息の支払いが免除されるだけで充分完済を目指せそうな場合には、任意整理でスムーズに家計状況を改善してしまうのがおすすめです。

MEMO
任意整理の交渉は債務者自身でも行うことができますが、司法書士などの専門家に依頼をした方が相手方との交渉がスムーズに進むことが多いです。詳しくは、「任意整理とは何ですか?」をご参照ください。

FXの借金について消滅時効を狙うのは非現実的

理屈のうえでは、消滅時効の完成によってFXの借金から免れる方法も考えられます。

しかし、FX業者や証券会社などが消滅時効が完成するまで借金を放置するようなことは考えにくいのが実情です。

むしろ、消滅時効の完成を狙って借金を放置している期間も利息・遅延損害金が日々膨れあがることになるので、巨額なFXの借金について消滅時効を期待するのはリスクが高いと考えられます。

したがって、消滅時効に頼るぐらいなら、自己破産などの債務整理によって確実な状況改善を狙うのがおすすめです。

債務整理でFXの借金の解決を目指すなら司法書士などの専門家に相談しよう

FXの借金も債務整理の対象です。ただ、投資の失敗によって背負った負債をそのまま放置しつづけると財産などが強制執行によって差し押さえられてしまうので、できるだけ早期に債務整理に踏みだしてください。

そして、FXの借金について債務整理に踏みだす場合には、司法書士などの専門家に相談することを強くおすすめします。

なぜなら、”FXが原因”という特殊性があるため、次のポイントを的確にクリアしていく必要があるからです。

  • 裁量免責を狙うべきかの判断
  • 債務者側の負担が大きい管財事件の処理
  • 自己破産によって生じるデメリットを受け入れられるかの判断
  • 自己破産で免責を得られる可能性を事前にチェック

自己破産を希望する場合、免責不許可事由に該当してしまうFXの借金は、管財事件の流れのなかで裁量免責を狙うしかありません。

しかし、債務者の抱える諸状況を踏まえると、自己破産以外の道を最初から模索すべきケースもあるでしょう。

司法書士などの専門家に依頼をすれば、債務者にとって適切な債務整理手続きを提案してくれます。

誤った手続き選択によって損害を被るという事態を避けられるので、まずはお気軽にご相談ください。

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