過払い金がいくらあるか調べる方法は?戻ってこない場合の借金問題の解決方法

過払い金がいくらあるか調べる方法は?戻ってこない場合の借金問題の解決方法

過払い金とは、債務者が消費者金融などの貸金業者に払い過ぎていた利息のこと。「本来払う必要のないものを渡していた」という理由から、過払い金返還請求によってお金を取り戻すことができます。

ただし、どのような債務者にも過払い金が発生しているわけではなく、過払い金返還請求で借金生活を終わらせる・返済状況を改善するためには、適切な方法で過払い金の有無をチェックしなければいけません。

そこで今回は、過払い金の調べ方や手続きを進めるにあたっての注意点を紹介します。あわせて、過払い金返還請求では借金問題を解決できない場合の対策として有効な”債務整理”についても紹介するので、最後までご一読ください。

この記事の監修者

近藤邦夫

司法書士法人 浜松町歩法務事務所」代表司法書士。 愛知県岡崎市出身。 昭和64年早稲田大学法学部卒業。 長年にわたり、債務整理を行い、 また宅地建物取引士の資格を生かし、不動産登記や商業登記も行なっている。

目次

過払い金の調べ方や返還請求時の注意点をチェックしよう

過払い金返還請求が成功すれば、現在返済中の債務者の借金生活は大幅に改善しますし、すでに借金生活が終了した債務者もお金を取り戻して生活再建に役立てることができます。

そこで、まずは過払い金とはどのようなものなのか、過払い金の有無の調べ方・注意点などについて具体的に見ていきましょう。

過払い金とは

過払い金
引用:貸金業法のキホン – 金融庁HP

そもそも、過払い金とは、債務者が貸金業者に払い過ぎていた利息のことです。

利息にかんするルールは利息制限法・出資法という2つの法律が存在するのですが、次のように、2010年6月17日までは2つのルールにズレが生じていました。

  • 利息制限法:借入元本額に応じて、年利率15%~20%が上限利息
  • 改正前出資法:年利率29.2%まで

つまり、利息制限法と改正前出資法の間には上限金利ルールに違いがあり、「利息制限法には違反するが改正前出資法には抵触しない」という”グレーゾーン金利”が存在していたことになります。実際、多くの貸金業者がグレーゾーン金利の融資条件で貸付けをしていたという実態が存在しました。

たとえば、代表的な金融機関が設定していた金利条件は以下の通りです。

金融機関 出資法改正前の利息条件
アイフル ~28.835%
プロミス ~25.55%
アコム ~27.375%
オリコ ~27.6%
ライフカード ~27.74%

しかし、2010年6月18日以降は出資法が改正され、利息制限法の上限金利規制に統一。これによって、貸金業者から借金をする場合には利息制限法の上限金利規制の範囲内で設定された利息だけを支払えば良くなり、それまでに支払ってしまったグレーゾーン金利は”過払い金”として取り戻せるようになりました。

つまり、利息制限法違反の融資条件で返済した経験がある債務者には、過払い金返還請求の可能性が存在するということです。

過払い金の調べ方は3種類ある

過払い金の調べ方は、大別すると次の3種類の方法に分けられます。

  1. 債務者自身で過払い金の有無を調査する
  2. Webなどの無料診断サイトを利用する
  3. 司法書士などの専門家に依頼する

どの方法で過払い金の有無を調べるとしても、特有のメリット・デメリットが存在します。そこで、ここからは、各方法の長所・短所について詳しく確認したうえで、自分に適した調べ方をチェックしましょう。

過払い金の調べ方1:債務者自身で調査する

1つ目の過払い金の調べ方は、債務者自身で調査する方法です。過払い金の有無をチェックする際には次の3つのステップを踏むことになります。

過払い金を調べるステップ1:貸金業者との取引履歴をチェック
貸金業者と取引履歴の特定がファーストステップ。過去・現在の貸金業者に取引履歴の取り寄せ依頼を出せば今までのすべてのやり取りが分かります。
過払い金を調べるステップ2:発生している過払い金の金額を引き直し計算
過去の取引履歴を参考にして、実際にどれだけの過払い金を取り戻せるのかを自分で計算します。
過払い金を調べるステップ3:過払い金返還請求できるかを判断
過払い金が発生していたとしても時効などの問題で請求できない可能性もあります。実際に過払い金の発生額を算出した後に、過払い金返還請求の弊害になる事情が存在しないかを判断しましょう。

簡単にまとめると、「情報を集める・計算する・請求の段取りをする」という3ステップです。1つずつ丁寧に処理を行えば、債務者自身でも決して手続きは難しくはありません。

ただし、段階ごとに注意点が存在するので、債務者自身で過払い金返還請求をする際には、かならず以下のポイントにご配慮ください。

倒産した貸金業者相手には過払い金返還請求できない

まず、過去に取引をしていた金融機関が倒産している場合、原則として過払い金返還請求は不可能です。たとえば、武富士は2010年9月28日に会社更生手続きを開始しているため、過払い金を取り戻すことはできません。

もっとも、例外的に倒産した貸金業者相手でも配当手続きによって一定範囲の過払い金を取り戻せる場合もあります。企業HPなどに詳細が掲載されていることが多いので、かならずご確認ください。

貸金業者不明の場合には信用情報機関に開示請求する

過去の借金について過払い金返還請求を検討したものの、自分がどの貸金業者と取引をしたか記憶にないという場合もあるでしょう。特に、返済が長期化して多重債務状態になったようなケースでは、返済管理が不十分な状態のまま取引をつづけていたということも少なくはないはずです。

このように、過払い金返還請求をするにも、取引履歴のある貸金業者を特定できなければ過払い金の有無について調査を開始することもできません。そこで、貸金業者が不明の状態なら、信用情報機関に開示請求をする方法が考えられます。

信用情報とは、債務者の年収や勤続年数、各種借金やローンの返済状況等を含む個人情報のこと。現在、次の3社が信用情報を管理し、各信用情報機関に加盟している業界団体等からの照会に応じるという運用がとられています。

信用情報機関ごとに開示請求の方法・費用は異なりますが、数百円~1,000円程度で過去の取引情報が分かるので、「過払い金返還請求をしたいがどこから借りたか忘れてしまった」という債務者は、3つの信用情報機関に開示請求するのがスムーズでしょう。

MEMO
業界・業者ごとに加盟している信用情報機関は異なります。断言はできませんが、消費者金融等の貸金業者と取引をした記憶があるのなら、CIC・JICCに対して優先的に開示請求することをおすすめします。
貸金業者に取引履歴を求める際は過払い金調査の意図を伝えてはいけない

貸金業者との間の取引履歴を取り寄せるためには当該貸金業者へ連絡をする必要がありますが、その際には、「過払い金返還請求の準備のため」などの本音を伝えてはいけません。なぜなら、調査開始の段階でわざわざ債権者側にこちらの”カード”を見せる必要はないからです。

債権者である貸金業者側の発想は、「できるだけ債務者からたくさんのお金を引き出したい」ということ。当然のことながら、過払い金返還請求は、債権者にとって歓迎すべきことではありません。

すると、「過払い金返還請求のために取引履歴が必要」という債務者に対する丁寧な対応は期待できないでしょう。場合によっては、取引履歴を隠滅・改竄されるリスクも発生します。

したがって、債務者自身が貸金業者に対して取引履歴の開示を請求する場合には、「契約内容確認のため」「家計立て直しのため」などの建前のような目的を伝えるのがおすすめです。

MEMO
貸金業法では、債務者の過去10年分の取引履歴の保管義務(貸金業法第19条)・開示義務(貸金業法第19条の2)を定めています。「過払い金調査目的」であることさえ告げなければ10年分については問題なく開示してもらえるのでご安心ください(10年以前分については非開示になることも少なくありません)。
取引履歴の取り寄せには一定の費用が必要

過去の取引履歴を取り寄せるためには、各貸金業者が定める費用が発生することにも注意しましょう。たとえば、アイフルに取引履歴の開示請求をする場合には、1件につき1,000円(税込)が必要です。

家計に余裕がない状況の債務者も少なくはないでしょうから、闇雲に開示請求をするのではなく、今後の返還請求までの段取りを想定したうえで準備を進めましょう。

参照:履歴開示請求時の手数料徴求について – アイフルHP

取引履歴が開示されない場合には推定計算を実施しよう

過払い金を調べようとしても、貸金業者が取引履歴を開示してくれない場合も少なくありません。

もちろん、本来なら、取引履歴を前提にして正確に過払い金返還請求を行うのが理想です。しかし、取引履歴が開示されない以上は、債務者側の手元に残っている契約書・明細書や債務者自身の記憶を前提として”推定計算”をするしかありません。

過払い金返還請求は推定計算を根拠とする内容でも一切問題ないのでご安心ください。万が一内容に誤りがあり、貸金業者側が損をするような請求内容であれば、債権者側から間違いを指摘してくるでしょう。

したがって、取引履歴が非開示の場合・債権者側が不誠実な場合でも、過払い金返還請求は実行可能だと考えられます。

過払い金の存在を知りながら返済継続すると返還請求できなくなるリスクがある

「過払い金返還請求でお金を取り戻せる=借金生活を終了できる」ことを知りながらも残債の返済を継続した場合、過払い金返還請求自体が認められなくなるリスクが生じます。

なぜなら、民法705条において次のような規定が存在するからです。

(債務の不存在を知ってした弁済)第705条
債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。

引用元:(債務の不存在を知ってした弁済)第705条

たとえば、過払い金が発生しており、過払い金返還請求でお金を取り戻しきれる場合、本来なら借金は消滅するはずです。それにもかかわらず契約通りに借金の返済を継続すると、民法705条の「債務の存在しないことを知っていたとき」に該当し、「給付したものの返還を請求」できなくなってしまいます。

そして、これから過払い金返還請求を検討している債務者が注意をしなければいけないのは、債権者である貸金業者側に「民法705条に該当するから過払い金返還請求は無効だ」という主張をさせないこと。つまり、債権者側に、「債務者側が過払い金の存在を知っている」と知らせないことです。

したがって、民法705条による無効を債権者側に主張させないためにも、実際に過払い金返還請求を実行するまでは、過払い金の有無等について調査していることを債権者に知られないことが重要だと考えられます。

MEMO
司法書士等の専門家が過払い金返還請求を代理すれば、債権者側からの民法705条の主張を封じ込めることは可能です。ただ、債務者個人だけで過払い金返還請求をすると債権者側に上手く言い逃れをされるリスクがある点にご注意ください。
貸金業者からのゼロ和解交渉は拒絶する

貸金業者のなかには、債務者の過払い金返還請求を想定して”ゼロ和解”を申し出てくる場合があります。ただし、ゼロ和解交渉に応じてしまうと、将来的に過払い金返還請求を実施するのが困難になるため、絶対に応じないでください。

ゼロ和解とは、契約関係にある当事者間において一切債権債務関係がないことを確認する和解契約のこと。貸金業者と債務者の間に「お金を払う」「お金を受け取る」の関係がないことが当事者間の合意によって確定することになります。

「借金を全額返済していない状況でゼロ和解をすればこれ以上返済をつづける必要がないのだから、ゼロ和解に応じても問題ないのでは?」と疑問を抱く債務者もいるでしょう。確かに、「一切債権債務関係が存在しないことを確認する」という文言には「借金返済義務がないこと」も含まれるため、いっけん債務者側にも大きなメリットが生じるようにも思えます。

しかし、ゼロ和解に応じるということは、過払い金返還請求権も失うということ同義です。つまり、借金残債よりも過払い金発生額の方が多い場合、ゼロ和解によって過払い金返還請求が遮断されることによって、「手元にお金が戻ってくる」というメリットを放棄することに他なりません。

したがって、貸金業者側からのゼロ和解交渉には応じる前に、かならず過払い金発生額をしっかりと計算しましょう。

MEMO
もちろん、【借金残債総額<過払い金発生額】の状況でも、両者の金額にほとんど差がないこともあり得るでしょう。過払い金返還請求に労力を割いて少額のお金を取り戻すことと、今すぐに貸金業者との関係を断つことを天秤にかけて、後者を選択することも間違いではありません。ご自身で優先順位をつけて方向性を決定してください。
借金返済中なら過払い金で全額相殺できるかに留意する

完済済みの借金についてではなく、現在返済中の借金について過払い金返還請求をする場合には、残債総額と過払い金発生額の大小関係に留意しなければいけません。なぜなら、大小関係の違いによって過払い金返還請求後の対応が大きく異なるからです。

  • 借金総額<過払い金発生額:借金生活は終了し、手元にお金も戻ってくる。
  • 借金総額>過払い金発生額:借金生活は継続し、過払い金返還請求のタイミングで任意整理交渉がスタートしたとみなされる。

過払い金発生額の方が借金残債総額よりも大きいのなら、債務者には一切デメリットは生じません。過払い金返還請求によって借金生活は終了し、残債との差額分のお金を取り戻すことができるため、今後の生活に向けて前向きに踏み出すことができるでしょう。

これに対して、過払い金発生額が借金残債総額に満たない場合には、残債について任意整理を利用したとみなされる可能性があります。残債の返済方法について再交渉できるものの、債務者の信用情報に傷が付くので(いわゆる”ブラックリスト登録”のこと)、クレジットカードが使えなくなるなどのデメリットを避けられません。

したがって、過払い金返還請求をきっかけにブラックリストに登録されるリスクを避けたい場合には、過払い金返還請求に踏み出す前の段階で、過払い金発生額を正確に計算する・今後生じるであろうデメリットの対策を取る・残債の返済計画を熟慮しておきましょう。

なお、ブラックリストに登録されることによって生じるデメリット・対策については以下のリンク先にて詳しく解説しています。あわせてご一読ください。

借金を返済しないとどうなる?滞納し続けるデメリットと回避する方法もあわせて解説 借金を返済しないとどうなる?滞納し続けるデメリットと回避する方法もあわせて解説

過払い金の調べ方2:過払い金の無料診断サイトを利用する

2つ目の過払い金の調べ方は、ネットなどで利用できる無料診断ソフトなどを活用する方法です。融資条件・返済期間・借入れた時期などの基本情報を入力するだけで過払い金の有無・金額の概算を求められるので利便性が高いといえるでしょう。

ただし、Webの無料診断サイトを利用するためには正確な取引履歴を収集する必要がありますし、あくまでも簡易の計算シミュレーターなので、正確な過払い金発生額を算出できないリスクがあります。

したがって、Webの無料診断ソフトなどを活用する場合には、”参考程度”というイメージでご活用のうえ、ご自身で引き直し計算を行うか、専門家にすべて任せてしまうのがおすすめです。

MEMO
ネット環境を利用して過払い金返還請求を含む借金問題解決の糸口をつかみたい場合には、借金減額診断(シミュレーター)を活用するのがおすすめです。簡単な情報を入力するだけで、債務者ごとに直面している問題・適切な解決法について専門家からのアドバイスに繋げることができます。無料で利用できるので、ぜひご活用ください。
借金減額診断(借金減額シミュレーター)は怪しい?減額診断を使うと借金が減額出来るのか?徹底解説 借金減額診断(借金減額シミュレーター)は怪しい?減額診断を使うと借金が減額出来るのか?徹底解説

過払い金の調べ方3:司法書士などの専門家に依頼する

3つ目の過払い金の調べ方は、司法書士などの専門家に依頼する方法です。司法書士が債務者の代理人となってほとんどすべての手続きをこなしてくれるので、過払い金の有無の調査・貸金業者に対する返還請求のすべてのプロセスで債務者自身が手を焼くことはありません。

たとえば、司法書士法人 浜松町歩法務事務所では、次のような流れで過払い金返還請求の手続きを進めてくれます。

  1. ご相談:借金状況への疑問・些細な不安など、どのようなことでもご相談ください。
  2. 委任契約の締結:解決に向けて必要な法的措置についてのご依頼いただきます。
  3. 過払い金の算出:取引履歴の開示請求・引き直し計算など、すべて司法書士側で対応いたします。
  4. 貸金業者との交渉:司法書士が代理人になるので、債務者ご自身が債権者とやり取りをする必要はありません。
  5. 和解成立:ご希望を反映しつつ、依頼者の利益が最大化される内容の和解を目指します。
  6. 過払い金の返還:返還スケジュール等についても詳細にご説明します。

当事務所では、基本報酬無料で過払い金返還請求についてご相談させていただきます。その他費用を清算するタイミングも貸金業者からの返金があった段階となりますので、今現在経済的に困窮している債務者が費用面の心配をする必要はありません。

借金問題は相談が早いほど解決への流れもスムーズになるので、まずはお気軽にご相談ください。

各過払い金の調べ方のメリット・デメリットをおさらい

ここまでの内容を踏まえて、過払い金の3つの調べ方のメリット・デメリットを簡単にまとめてみましょう。以下の特徴を踏まえて、どの方法で過払い金返還請求を進めるかをご判断ください。

自分で過払い金を調べるメリット・デメリット
・専門家への依頼料が不要
・調査から請求まで自分で行わなければいけない
・債権者との交渉次第では過払い金返還請求手続きを適切に行えないリスクが生じる
無料診断サイトで過払い金を調べるメリット・デメリット
・ネットで今すぐ利用できる
・無料で利用可能
・あくまでも目安程度の信頼性しかない
司法書士に過払い金を調べてもらうメリット・デメリット
・専門家の知見・ノウハウで正確に手続きを進められる
・債務者自身の労力・時間の負担を軽減できる
・依頼料が必要

できるだけ手元に戻ってくる金額を増やしたいのなら、債務者自身で手続きすべてを行うのがおすすめです。ただし、交渉相手はノウハウのある貸金業者であることを忘れてはいけません。過払い金を減らす対策を取ってくる可能性が高いので、適切に過払い金返還請求を完遂するにはかなりの労力が必要です。

債務者にも仕事・生活があるはず。「できるだけ負担なく手続きを進めたい」と考えるのは当然でしょう。それならば、確実に過払い金返還請求を進められる司法書士に任せてしまうのが最適だと考えられます。

過払い金を調べるときの目安をチェックしよう

債務者のなかには、「過払い金を調べてみたいものの無駄骨に終わるのは避けたい」「どのような状況なら過払い金が発生しているのかを知りたい」という人もいるでしょう。確かに、過払い金が発生していないにもかかわらず調査に時間・手間をかけるのは避けたいものです。

そこで、ここからは、過払い金が発生している可能性が高いケース・過払い金が発生していない(返還請求できない)可能性が高いケースを、具体的な事情に注目して紹介していきます。

なお、以下で紹介するポイントはあくまでも一般論です。債務者の具体的な融資条件・返済状況次第では結果が異なり得るものなので、かならず司法書士などの専門家に相談をして正確な判断を仰ぎましょう。

過払い金が発生している可能性が高い債務者とは

まず、過払い金が発生している可能性が高い債務者の特徴です。代表的なものとしては、次のものが挙げられます。

  • 2010年6月17日以前から借金の返済が継続している
  • 利息制限法の上限金利規制に反する融資条件で借入をしている
  • 同一貸金業者との間で何度も完済・借入を繰り返している

具体的なイメージをつかむために、それぞれ詳しく見ていきましょう。

MEMO
債権者がいわゆる”闇金”の場合、わざわざ過払い金返還請求をするまでもなく今まで支払ったすべてのお金を取り戻すことができます。なぜなら、違法な存在である闇金との取引自体が無効なので、債務者には返済義務自体が存在しないからです。ただし、逃げ足のはやい闇金に対して法的措置を取るのは簡単ではないため、金銭の返還について過度な期待は避けましょう。
2010年6月17日以前から借金の返済が継続している

2010年6月17日以前から10年以上同一業者との間で取引が継続している場合には過払い金が発生している可能性があります。なぜなら、出資法改正前のグレーゾーン金利が融資条件として設定されている可能性が高いからです。

当初の借入元本に対して以下の上限金利以上のお金を支払いつづけている(もしくは、支払った経験がある)場合には、過払い金返還請求で取り戻しましょう。

  • 借入元本10万円未満:年利率20%
  • 借入元本額10万円以上100万円未満:年利率18%
  • 借入元本額100万円以上:年利率15%

なお、過払い金返還請求では、払い過ぎていたお金に法定利率で求められる利息を加えて請求することが可能です。利息発生の起算点は”過払い金が発生したとき”とされているため、10年以上前から取引が継続している場合には高額のお金を取り戻せるでしょう。

ただし、利息を請求するためには”悪意の受益者”の証明・詳細な引き直し計算など、複雑な法的問題をクリアする必要があるので、できるだけ司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

利息制限法の上限金利規制に反する融資条件で借入をしている

2010年6月18日以降は出資法が改正されたために多くの貸金業者が利息制限法のルールを遵守しているのが一般的ですが、なかには上限金利規制に違反した条件で融資をしている業者も少なからず存在します。

したがって、2010年6月18日以降の借金でも、現在利息制限法違反の融資条件を課されている場合には過払い金が発生している可能性が高いです。

同一貸金業者との間で何度も完済・借入を繰り返している

後述するように、過払い金返還請求権は「最後の取引時点から10年」で消滅時効にかかってしまいます。つまり、本来なら、完済から10年以上が経過すると過払い金返還請求は認められないということです。

もっとも、過払い金返還請求については例外ルールが判例上確立されているという点に注意が必要。具体的には、同一業者から何度も完済・借入を繰り返しているなど、取引が分断しておらず「一連の取引」と認められる範囲についてはすべて過払い金返還請求の対象になるということです。

したがって、「完済してから10年以上経っているから過払い金を取り戻すのは難しいのか」と安易に考えてしまうのではなく、かならずすべての取引履歴を司法書士などの専門家に精査してもらったうえで、どこまでの範囲なら過払い金返還請求を実行できるのかを判断してもらいましょう。

参照:最判平成20年1月18日 – 裁判所HP

過払い金が発生している可能性が低い債務者とは

次に、過払い金が発生している可能性が低い債務者の特徴です。ただし、いっけん次のような事情が認められる場合でも、取引状況次第では例外的に過払い金返還請求できるケースも存在するので、念のために司法書士などの専門家に相談することを強くおすすめします。

  • 完済から10年以上が経過している
  • 利息制限法の上限金利規制に適した融資条件で借入をしている

そもそも、利息制限法の上限利息ルールの範囲内で借入をしている場合には、過払い金は一切発生していません。たとえ2010年6月17日以前から借金をしている場合でも、グレーゾーン金利が生じる融資条件でなければ過払い金返還請求は不可能です。

そして、債務者がもっとも注意しなければいけないのは消滅時効について。過払い金返還請求権は「過払い金が発生したとき=最後の取引(完済日)」から10年で消滅時効が完成してしまいます。

したがって、どれだけ厳しい利息条件を課されていたとしても過払い金返還請求にはタイムリミットがあるので、今すぐに司法書士に相談をして法的措置を取ってもらいましょう。

過払い金が戻ってこないときには債務整理を検討しよう

過払い金の有無を調べたところ、過払い金がゼロであることが明らかになることも珍しくはありません。

ただ、過払い金がゼロであるとしても、債務者が借金問題を解決して生活再建を目指す道は残されています。それは”債務整理“です。

債務整理とは、国が認めた借金救済制度のこと。本来は契約通りに返済しなければいけない借金ですが、債務整理を利用すれば合法的に返済状況を改善できます

そして、債務整理には次の3種類の手続きが用意されているため、メリット・デメリットを吟味したうえで自分に合った手続きを選択しましょう。

  1. 任意整理
  2. 個人再生
  3. 自己破産

ここからは各債務整理手続きの特徴について具体的に紹介するので、手続き選択にお役立てください。

注意
過払い金が発生していない場合だけではなく、「過払い金は発生しているものの借金全額に満たないために、相殺後の残債について返済義務が残る」場合にも債務整理は役立ちます。過払い金返還請求と債務整理手続きをスムーズに並行して進められるように、かならず司法書士などの専門家に依頼しましょう。
MEMO
借金減額診断(シミュレーター)を利用すれば、過払い金の有無だけではなく、自分に合った債務整理手続きの目安を付けることができます。シミュレーターの利用方法については以下のリンク先をご参考ください。
借金減額診断(借金減額シミュレーター)は怪しい?減額診断を使うと借金が減額出来るのか?徹底解説 借金減額診断(借金減額シミュレーター)は怪しい?減額診断を使うと借金が減額出来るのか?徹底解説

過払い金が戻ってこないときの方法:任意整理

任意整理とは、貸金業者などの債権者と直接交渉をして今後の返済方法を再設定する債務整理手続きのこと。債務者を苦しめる諸悪の根源である将来利息の支払いを免除してもらえることが多いので、元本だけを返済すれば良くなります。

任意整理のメリット・デメリットは次の通りです。希望する再建方法に適しているかをご判断ください。

任意整理のメリット
・利息の返済義務が免除されることが多い(返済総額を減額できる)
・連帯保証人への迷惑を避けられる
・原則3年~5年で完済できる
・交渉次第では毎月の返済額も減額できるケースがある
任意整理のデメリット
・元本の返済は継続しなければいけない
・任意整理後に借金を返せないと再交渉の余地がなくなる
・他の債務整理に比べると借金の減額効果が弱い
・約5年ブラックリストに登録される

なお、任意整理については、「任意整理とは何ですか?」で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

過払い金が戻ってこないときの方法:個人再生

個人再生とは、裁判所における手続きを通して借金元本自体を減額してもらえる債務整理手続きです。借金総額次第では、最大1/10にまで圧縮できるため、残債の計画的な返済が可能になります。

任意整理のメリット・デメリットは次の通りです。特に、住宅ローン返済中の債務者におすすめの手続きなので参考にしてください。

個人再生のメリット
・借金総額に応じて減額を狙える
・特則を利用すれば住宅ローンだけは今まで通りの返済を継続できる
・自己破産とは異なり、ギャンブルが原因の借金でも認可を目指せる
個人再生のデメリット
・安定した給与を得ている必要がある
・借金総額が100万円以内だと元本の減額は受けられない
・所有する財産が多いと充分な減額を受けられないリスクがある
・約5年~10年ブラックリストに登録される

なお、個人再生については、「個人民事再生とは何ですか?」で詳しく解説しています。あわせてご一読ください。

過払い金が戻ってこないときの方法:自己破産

自己破産とは、裁判所を利用して借金返済義務の免責を狙う債務整理手続きです。任意整理・個人再生では手続き後に返済生活が3年程度つづくことになりますが、自己破産なら手続き終了時点で借金生活自体が終了するというメリットを得られます。

もっとも、免責という大きなメリットを手にする代償として、いくつかのデメリットを甘受しなければいけません。以下のメリット・デメリットを勘案したうえで、手続きをご選択ください。

自己破産のメリット
・借金返済義務の免責を狙える
・客観的に返済不能であることが条件なので、無職・フリーターでも利用できる
自己破産のデメリット
・(自由財産以外の)債務者名義の財産が処分される
・養育費や罰金など、一部の非免責債権に分類される借金は免責されない
・ギャンブルが原因の借金など、免責不許可事由が存在すると借金が残る(別途、「裁量免責」という制度を利用できる)
・破産手続き中、職業制限を受ける資格・仕事がある
・約10年、ブラックリストに登録される

なお、自己破産については、「自己破産とは何ですか?」で詳しく解説しています。あわせてご参考ください。

過払い金の相談先がに迷ったら司法書士がおすすめ

返済期間が長期に及んでいるなど、過払い金の発生可能性について思い当たる節がある債務者は、ぜひ自分の取引履歴を参考に過払い金をチェックしてみましょう。今回ご説明したいくつかの注意点を踏まえれば、過払い金返還請求の可能性を判断できるはずです。

ただ、現在返済中の方、あるいは、すでに借金生活を終了した人にとって、貸金業者との間で別途交渉を進めるのは物理的・精神的な負担になるはず。また、「自分で過払い金を調べるのは難しそう」と感じるのも当然のことです。

それならば、まずは司法書士などの専門家に過払い金が発生しているかどうかを相談してみてはいかがでしょうか。たとえば、借金減額診断(シミュレーター)を活用すれば、今すぐ無料で過払い金の有無・生活再建の道筋が判明するはずです。

過払い金返還請求はもちろんのこと、債務整理を含めて、借金問題の相談は早いほど解決までのプロセスが楽になります。どうぞお気軽に専門家までご相談ください。

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