借金残高が減らない5つの理由と対処法を解説!返済が苦しいなら債務整理も視野に入れよう

借金残高が減らない5つの理由と対処法を解説!返済が苦しいなら債務整理も視野に入れよう

「毎月しっかり返済しているのに借金残高が全然減らない」「借金生活が長すぎて苦しい…」というように、なかなか完済できない状況は債務者を経済的・精神的に苦しめるものです。

実は、借金の残高が減らない状態には理由があるので、知らない間に落とし穴にはまってしまっているのかもしれません。

ただし、何の対策もとらないまま今まで通りの返済生活を続けてしまうと、近い将来のどこかのタイミングで返済継続が難しくなり、滞納によるペナルティが発生するリスクが生じます。

そこで今回は、借金の残高が減らない理由返済生活から抜け出すコツを解説します。あわせて、どうしても借金返済を続けられない債務者のための救済措置も紹介するので参考にしてください。

この記事の監修者

近藤邦夫

司法書士法人 浜松町歩法務事務所」代表司法書士。 愛知県岡崎市出身。 昭和64年早稲田大学法学部卒業。 長年にわたり、債務整理を行い、 また宅地建物取引士の資格を生かし、不動産登記や商業登記も行なっている。

借金の残高が減らない5つの理由と対処法を紹介

借金の返済を継続できる努力は評価されるべきことですが、何の工夫もしないまま返済し続けるだけでは、いつまでも残高が減らないおそれがあります。

残高がなかなか減らない理由は次の5つです。

  • 利息条件が厳しい
  • リボ払いをしている
  • 多重債務状態におちいっている
  • 滞納癖がある
  • 家計管理が下手

ここに挙げた5つのポイントのうち、1つでも該当する項目があれば”借金残高が減らない危険な状態”の可能性が高いです。

それでは、借金が減らない理由とその対処法について、それぞれ見ていきましょう。

残高が減らない理由1:利息条件が厳しい

いつまでたっても借金残高が減らないのは、元本だけではなく利息の支払いも強いられているからです。

そして、厳しい利息条件で借り入れをしている場合には、毎月発生する利息が高額になるので、よけいに元本の”減り”が悪くなります。

すると、元本がいつまでも減らないので完済は遠のくばかり。返済期間が長期に及ぶと、利息が発生する期間も伸長されてしまいます。

つまり、消費者金融のカードローンなどを利用するだけで【高い利息→元本が減らない→返済が長期化する→さらに利息が発生する】という悪循環におちいってしまうので、「利息」に注目して、借金残高を減らして完済を目指すための対策をたてるのが重要です。

MEMO
消費者金融などの貸金業者からの借り入れ・カードローンの年利率条件は高く設定されています。利息制限法で定められている上限金利規制の枠内ギリギリの融資条件が課されることが多いからです(利息制限法第1条)。

利息を含めた返済シミュレーションをして完済計画を把握する

残高を減らして完済を目指すのなら、現在の借り入れ状況と完済までの返済計画を把握することからはじめましょう。

なぜなら、「今自分がどこからいくら借金をしていて、毎月いくらずつ返済すればいつまでに完済できるのか」が分かれば、毎月負担を強いられている利息に対する危機感をもてるからです。

たとえば、消費者金融Aから年利率18%の融資条件で50万円を借りているケースについて、どれだけの利息が発生するのかを考えてみましょう。

毎月の返済額ごとに、返済期間と利息総額をご確認ください。

毎月の返済額 完済までの期間 利息総額
20,000円 32カ月 131,374円
30,000円 20カ月 79,706円
40,000円 14カ月 57,856円
50,000円 11カ月 45,806円
100,000円 6カ月 23,764円

このように、余裕をもって毎月2万円ずつ返済すると、完済までに3年近くかかるうえに、利息総額だけで約13万円にも及びます。極端な例ですが、毎月10万円ずつ返済したケースと比べると、利息だけで10万円以上の差額が生まれますし、返済期間についても2年以上の違いが。

つまり、返済シミュレーションをして完済までの道のりを把握しておかなければ、知らない間にかなりのデメリットを強いられうるということです。

お手元の契約書・金融機関HPの個人ページなどを利用すれば現状把握・返済シミュレーションが可能なので、今すぐチェックしておきましょう。

注意
自分が「どこから借りているか分からない」というように、債権者さえも分からないという債務者は少なくありません。その場合には、以下のリンク先から各信用情報機関に開示請求をして、現在の借り入れ状況を確認するところからスタートしましょう。

参照:情報開示とは – CIC
参照:信用情報の確認 – JICC
参照:本人開示の手続き – 全国銀行個人信用情報センター

参考:1. 多重債務に関する相談等 – 金融庁

毎月の借金返済額を増額すれば残高は減りやすい

借金残高を減らすためには、毎月の返済額を増額するのが効果的

たとえば、毎月2万円ずつ返済しているところを3万円に増額するだけで、その分だけ残高が減少し、結果として利息の発生も抑えられるからです。

債務者のなかには、「家計への負担を減らしたいからできるだけ少額ずつ返済を続けている」という人もいるでしょう。

もちろん、家計への圧迫具合が酷くなると生活自体が成り立たなくなりますが、その一方で、無理なく返済を続けるだけでは「楽な返済生活からいつまでも抜け出せない」という形で借金地獄におちいってしまいます

したがって、生活を維持できるレベルを保ちながらも、完済を実現するまではできるだけ毎月の返済額は増額する方向でご検討ください。

注意
カードローンなどでは、毎月かならず支払う必要がある「最低弁済額」が定められています。家計への影響を抑えたい債務者審理からすると「最低弁済額さえ払っておけば大丈夫」と思いこみがちですが、最低弁済額通りに返済をしてもほとんどが利息の支払いに充てられるだけ。元本はまったくといっていいほど減らないので注意が必要です。

繰り上げ返済なら借金残高を積極的に減らせる

残高を積極的に減らしたいのなら、家計に余裕があるタイミングで繰り上げ返済を実行しましょう。

繰り上げ返済とは、当月分の支払いにくわえて、翌月分以降の借金も返済する方法のことです。金融機関によっては「1円から繰り上げ返済可能」という商品も。

繰り上げ返済はすべてが元金の返済に充てられるので、毎月約定通りに返済をするよりもスピーディーに残高を減らせるというメリットがあります。

したがって、家計に余裕が生まれた月やボーナスが入ったタイミングなどで繰り上げ返済をすれば、残高が減るスピードを上げられるでしょう。

参照:カードローンご返済方法について – 楽天銀行

MEMO
繰り上げ返済よりも効果的なのが「一括返済」です。一括返済とは、カードローンなどの元本残高を一度に完済してしまう方法なので、借金生活から抜け出せると同時に、将来発生したはずの利息負担から逃れられます。

残高が減らない理由2:普段からリボ決済している

残高が減らない大きな理由の1つに、リボ払いが挙げられます。

リボ払い(リボルビング払い)とは、クレジットカードの決済方法の1つ。事前に設定した金額通りに毎月の支払い額を一定にできるので、家計管理が楽になるというメリットがあります。

ただし、リボ払いには次の2つの落とし穴があるので、安易な利用を重ねてしまうといつの間にか借金残高が返済不可能なほどに増えてしまうリスクを避けられません。

  • カード決済額が支払い額に反映されない
  • 高い手数料をとられる

たとえば、ある月に10万円分カード決済をしたとしても、リボ払いの設定額を3万円にしておけば翌月分の支払い額はそれだけで、残りの7万円は翌々月以降に繰り越しです(実際は手数料分元本の減りは悪い)。

しかも、残りの7万円については年利15%程度の手数料が発生するので、支払い期間が伸びるほど債務者側の負担が大きくなります。

さらに、翌月にもカード決済を重ねてしまうと、繰り越した7万円以外にも支払い額がのしかかることになるので、残高は増えるでしょう。

つまり、リボ決済を続けている以上は、どれだけ返済を続けても残高が減らないという”リボ地獄”におちいってしまうのです。

注意
カード会社によっては、初期設定がリボ払いに指定されているケースがあります。毎月の明細を確認しておかないと気付かないうちにリボ決済で残高が増えてしまうこともあるので注意が必要です。

一括払いで決済すれば残高は増えない

リボ払いが原因で残高が減らないデメリットを回避するためには、普段の買い物はすべて一括払いに変更するのが何よりの方法です。

一括払いなら手数料無料ですし、決済額がそのまま翌月に引き落とされるので家計管理にも役立ちます。

分割払いをするときには支払い回数を少なくする

一括払いが難しいという場合でも、分割払いなら手数料を抑えることができます。

分割回数が少ないほど手数料の年利率は低いですし、よほど分割回数が増えない限りはリボ払いよりも低い手数料で支払いを行えるからです。

参照:分割払い – SMBC

残高が減らない理由3:多重債務状態におちいっている

借り入れ先が複数の状態を”多重債務”と呼びます。多重債務状態におちいっていると残高がいつまでも減らない可能性が高いです。

多重債務の問題点は、収入のなかからすべての返済額を用意できていないケースが多いこと。ある金融機関の返済を他社からの借り入れで補っているだけでは債務者が抱えている借金総額は減らないからです。

しかも、毎月複数の返済日が発生するので、家計管理が難しくなります。返済日にお金が用意できないと滞納するリスクもあるので、”借金返済のために借金”するのはやめましょう。

利息が高い借金から優先的に弁済する

多重債務状態の債務者が残高を効率的に減らすためには、利息の高い借金から優先的に弁済する方法が考えられます。

貸金業者や借り入れ額に応じて融資条件は異なるものです。利息条件に注目して優先順位をつけて返済を行えば完済が近づくでしょう。

たとえば、A社から50万円を年利率18%で、B社のカードローンで50万円を年利率8%で借り入れているケースについて。

B社のカードローンを優先的に返済してしまうと、B社に力を入れている期間中はA社の残高がなかなか減らない状態に。A社の年利率は18%と高額なので、B社に注力している間にかなりの利息が発生してしまいます。

その一方で、A社の借金を優先的に返済すればどうなるでしょうか?

たしかに、A社に力を入れている分だけB社の返済はおろそかになりますが、B社の利息条件は債務者にとって有利なので、発生する利息は比較的低額に抑えられるはずです。

したがって、多重債務状態にある債務者は、利息負担の重い借金から優先的に返済をして、残高が減るように工夫をしてください。

MEMO
結果として低い年利率条件の借金は後回しにされることになりますが、「一切弁済しない」ことは認められません。なぜなら、各社ごとに毎月最低限弁済しなければいけない金額が定められているからです。返済額0円の状態が続くと滞納扱いになるので、かならず最低弁済額だけは支払うように注意しましょう。

低金利条件のおまとめローンに借り換える

多重債務状態の債務者が活路を見出す選択肢の1つが「おまとめローン」です。

おまとめローンとは、複数の借金を1つの貸金業者にまとめて借り換えて返済窓口を一本化できる商品のこと。

ほとんどのおまとめローンの金利はかなり低利率に抑えられていること・毎月の返済額を低額に設定できることから、借り換え前よりも家計負担を減らして返済継続が可能な状況を作り出せます

総量規制 おまとめローン
引用:貸金業法について – 日本貸金業協会

さらに、おまとめローンは総量規制の対象外なので、多重債務の総額を気にせずに借り換え可能です。

残高が減らない結果、現在どれだけの借金総額を抱えていたとしても、おまとめローンなら生活を整えるチャンスを手にできるでしょう。

おまとめローンに借り換える前にデメリットは押さえておこう

おまとめローンへの借り換えによって多重債務状態はある程度改善できますが、かならずしも良いことばかりというわけではありません。

おまとめローンへの借り換え前に、次のデメリットを押さえておきましょう。

  • おまとめローンへの借り換え審査は比較的厳しい
  • 返済が長期化するので最終的な利息負担額が増えるリスクがある
  • いつまでも借金生活から抜け出せない
  • 借り換え後に他社から借金をしにくい状況になる

そもそも、おまとめローンへの借り換え審査に通るのは簡単ではありません

複数の借り入れ先の借金をひとまとめにして引き受けるわけですから、借金総額はそれなりの金額になるはずです。完済できるだけの安定収入や過去の返済実績が必要でしょう。

同時に、すでに滞納が重なってブラックリストに登録されている債務者では借り換えできない可能性が高いです。

このように、おまとめローンの借り換えでは注意点を避けられないのでご注意ください。

注意
返済中の債権者側から自社商品のおまとめローンへの借り換えを提案してくるケースがあります。もちろん、目先の返済状況が改善されるというメリットが得られるのには間違いありませんが、わざわざ貸金業者側から話を持ち出すのは「おまとめローンはもうかる商品」だからです。債務者側でしっかりと判断しましょう。

残高が減らない理由4:滞納癖がある

借金の滞納癖があると残高が減らない状態になりかねません。

なぜなら、借金を滞納するたびに遅延損害金が発生するので、利息上の負担を強いられることになるからです。

遅延損害金とは、返済期日に支払いが間に合わなかったときに翌日から発生するペナルティのこと。1日単位で遅延損害金が増えていくので、延滞を解消するまでは返済負担が増えつづけてしまいます。

MEMO
【遅延損害金 = 借金残高 × 遅延損害金年利率 ÷ 365日 × 延滞日数】の公式で求めらます。利息よりも厳しい利率条件が課されることが多いので(利息制限法第4条)、何としても滞納だけは避けなければいけません。

残高が減らない理由5:家計管理が下手

残高が減らない理由として最後に考えられるのが、債務者側の問題です。

たとえば、次のなかに当てはまる項目がある人は、反省すべき点があるといえるでしょう。

  • 家計簿・管理アプリを使っていない
  • 浪費癖がある
  • ギャンブルにはまっている
  • 不必要な保険などを契約している

たとえ限られた収入しかなかったとしても、債務者側がお金の管理意識を高めて返済に集中すれば返済状況は改善できるはずです。

高い利息条件など、クリアすべき課題は少なくありませんが、同時に自分のライフスタイルを見直して、完済を目指せるだけの土台作りは忘れないようにしましょう。

まったく減らない借金残高を完済できないなら債務整理を検討しよう

債務者のなかには、これ以上は返済生活を継続できないという人もいるでしょう。

おまとめローンへの借り換え審査に落ちた・家計を節約する余地さえない・すでに残高が増えすぎているので利息対策も間に合わないなど、状況次第では借金を返済できないのは仕方のないことです。

ただし、そのような厳しい家計状況に追いこまれたとしても、すべての債務者には”債務整理”という選択肢が残されています

債務整理とは、借金を合法的に減免できる救済措置のこと。任意整理個人再生自己破産の3つの手続きが用意されているので、各手続きの特徴を踏まえたうえで、適切な手続きを選択しましょう。

なお、「自分が債務整理を利用すべきか分からない」という人は、以下のリンク先において”債務整理を検討すべきタイミング”について解説しているのであわせてご参照ください。
【債務整理を検討すべき8つのタイミング】早めの対策が借金生活から楽に抜け出すポイント 【債務整理を検討すべき8つのタイミング】早めの対策が借金生活から楽に抜け出すポイント

任意整理なら返済負担が重い利息の支払いを免除できる

任意整理は、将来利息の支払義務を免除する債務整理手続きです。

残高が減らない要因の1つである利息の支払いから解放されるので、任意整理後は元本の返済だけに集中できます

任意整理の特徴については、以下の表をご確認ください。

任意整理のメリット 任意整理のデメリット
・将来利息の支払義務が免除される
・債権者と直接交渉できる
・家族にバレにくい
・借金の理由を問われない
・3年~5年返済生活が続く
・債権者の合意が必須
・ブラックリストに登録される

なお、任意整理の詳細については、「任意整理とは何ですか?」をご確認ください。

個人再生なら借金残高を大幅に減額できる

個人再生は、元本残高を大幅に減額できる債務整理手続きです。

利息だけではなく元本残高まで減額できるので、任意整理よりも完済までのプロセスを楽にできるでしょう。

個人再生の特徴については、以下の表をご確認ください。

個人再生のメリット 個人再生のデメリット
・減額効果が大きい
・住宅ローンの特則がある
・現在の生活実態を維持できる
・借金の理由を問われない
・一定の収入が不可欠
・3年~5年返済生活が続く
・手続きや要件が複雑
・ブラックリストに登録される
・官報に掲載される

なお、個人再生の詳細については、「個人民事再生とは何ですか?」をご確認ください。

自己破産なら一度に借金残高を帳消しにできる

自己破産は、借金の返済義務をすべて免除できる債務整理手続きです。

任意整理・個人再生は手続き後も完済まで返済を継続する必要がありますが、自己破産なら免責許可が確定した段階で借金返済生活から抜け出せます

自己破産の特徴については、以下の表をご確認ください。

自己破産のメリット 自己破産のデメリット
・返済義務が帳消しになる
・収入は問われない
・財産が処分される
・免責不許可事由がある
・官報に掲載される
・家族にバレやすい
・ブラックリストに登録される
・職業制限など

なお、自己破産の詳細については、「自己破産とは何ですか?」をご確認ください。

借金の残高が減らなくても諦めない!どんな借り入れ状況からでも生活再建は可能

債務者にとって大切なのは、残高が減らなくても諦めてはいけないということです。

たしかに、返済期間が長期化すると、経済的にも精神的にも苦しい状況に追いこまれることもあるはず。

しかし、そこで諦めてしまうと状況は何ひとつ改善されないままです。滞納が続くと残高を一括請求されて、財産などが差し押さえられるリスクまで生まれます。

ですから、残高を減らすためのコツを押さえて、現在抱えている借金生活にしっかりと向き合いましょう

ただ、もし返済継続が難しいと感じているのなら、すみやかに債務整理に踏み出してください。

もちろん、債務整理には任意整理・個人再生・自己破産の3つの手続きがあり、各手続きにメリット・デメリットがあるので、法律に詳しくない債務者が自分で手続きを選択するのは簡単ではないでしょう。

また、毎日借金の返済に追われている債務者にとっては、「どの債務整理が適切か」「そもそも自分には債務整理が必要なのか」を考えるほどの気持ちの余裕もないはず。

したがって、「残高が減らなくて苦しい」「なんとかして借金生活から抜け出したい」と感じているのなら、ひとりで悩まずにかならず司法書士などの専門家にアドバイスを求めてください

専門家なら、債務者の借金状況を踏まえて適切な生活再建の道を示してくれるでしょう。不安や悩みにも丁寧によりそってくれるので、できるだけ早い段階でご相談ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です