アコムからの借入を長期間滞納した状況がつづくと、「催告書」「一括返済のお願い」などと記載された郵便物が届きます。
ただ、「今までもアコムの返済日に間に合っていないし、何度も電話や郵便物が届いているけれども大きな問題はなかった。『催告書』が届いても今まで通り無視しても大丈夫だろう」というように、手元に届いた催告書を軽視してはいけません。なぜなら、アコムからの催告書は借金滞納に対する最終通告書であり、催告書も無視すると強制執行段階に手続きが進む可能性が高いからです。
そこで今回は、アコムから届いた一括請求を無視するとどうなるのか、一括請求書が届いたときの対処法について解説します。あわせて、自己資金だけでは一括返済できないときに役立つ「債務整理」についても紹介するので、最後までご一読ください。
目次
アコムから届いた一括請求の催告書で生じる5つのリスク
アコムの借金を長期延滞しつづけると、圧着ハガキや内容証明郵便の形式で「催告書」と記載された書面が届きます。
催告書が手元に届いたということは、滞納状態が深刻な状態にあるということです。催告書が郵送されたにもかかわらず請求額を払えないと、次の5つのリスクに晒されます。
- 期限の利益を喪失して残債の一括返済を求められる
- 会員資格を喪失してアコムのサービスを受けられなくなる
- 高額の遅延損害金を請求される
- 強制執行が実行されて給料などを差し押さえられる
- 家族にアコムで借金していることがバレる
それでは、アコムから届いた催告書を放置すると生じる5つのペナルティについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。
1:アコムの借入残債を一括請求される
アコムへの支払いを長期間延滞して催告書が届くと、債務者が期限の利益を喪失する結果、債権者からの残債一括請求を拒絶できなくなります。
アコムから届く郵便物の表題にはいろいろなタイトルが付されていますが、「催告書」と記載された書面では、「期限の利益を喪失したこと」「指定期日までに残債全額を一括で支払うこと」が通知内容に記載されているのが一般的です。
残債を一括請求されると、後述の債務整理を利用する場合以外には、ふたたび分割払いに切り替えることはできません。催告書で指定された期限までにお金を用意できなければ、強制執行が実行されるのを待つばかりです。
したがって、催告書の警告通りに返済額を自力調達できないのなら、すみやかに弁護士・司法書士に相談をして債務整理に踏み出し、強制執行回避・生活再建を目指しましょう。
なお、債務者が期限の利益を喪失するのは「長期延滞」が生じた場合だけではありません。たとえば、アコムとの取引中に次のような事情が発生したケースでも、期限の利益を喪失・残債を一括請求されるおそれが生じるのでご注意ください(AC会員規約第12条(期限の利益の喪失))。
- 住所・勤務先の変更をアコム側に伝えずに所在不明になった
- 支払い遅延発生時にアコム側から20日以上の期限を定めて支払い通告をされたのに延滞状況を解消しなかった
- 虚偽申告やカードの不正利用の形成が発見された
- 過去の滞納履歴等を総合的に考慮して債務者の信用状態が深刻であるとアコム側に判断された
- 他社の借入状況悪化によって債務者の信用情報にキズがついていることが判明した
- 債務者が反社会的勢力の一員
アコムから残債の一括請求書が届いた時点で信用情報にキズがついている可能性が高い
アコムから催告書が届いたときには、この時点で債務者の信用情報にキズがついている可能性が高いという点に注意をしなければいけません。つまり、信用情報機関に事故情報(異動情報)が登録されて、いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になったということです。
信用情報機関とは、各人の信用情報(年収・勤続年数・ローン状況・返済履歴など)を管理する団体のこと。日本には、次の3つの信用情報機関が存在します。
まず、アコムへの返済が滞って期限の利益を喪失する段階になると、債務者の滞納情報等がアコムが加盟している株式会社シー・アイ・シーに提供されます(AC会員規約第14条(信用情報機関への登録))。
そして、CICが管理する信用情報は、JICC及びKSCに加盟する金融機関も照会できるシステムになっているため、「長期延滞」を理由としてブラックリスト入りした場合には、信用情報にキズがついていることがすべての金融機関に知られる状態になってしまいます。
その結果、アコムから催告書が届くほど滞納状況が悪化すると、債務者の日常生活に次のようなデメリットが生じることを避けられません。
- ACカード以外のクレジットカードがすべて使えなくなる(発行中のカードは強制解約・未発行のカードも入会不可)
- アコム以外からの借入・ローン審査に通らなくなる
- スマートフォンの端末代金を分割払いできなくなる(割賦販売を利用できないから)
- 子どもの奨学金借入時に親が連帯保証人になれない(機関保証制度は利用できるので借入自体は可能)
- 賃貸物件に入居しにくくなる(入居時に信用情報がチェックされる家賃保証会社付き物件のみ)
このように、アコムから催告書が届く段階になると、アコムとは一切無関係の場面にもさまざまな支障が生じます。
そして、「長期延滞」を原因としてブラックリスト入りした場合、滞納状況を解消しない限りいつまでも信用回復できません(借金問題を解決すれば一定期間経過後にブラックリスト情報は抹消されます)。
したがって、アコムの借金問題をいつまでも長引かせると建設的な人生プランを歩みにくいと考えられるので、できるだけ早いタイミングで債務整理に着手して返済状況の抜本的改善を目指しましょう。
2:アコムの会員資格を喪失する
アコムから催告書が郵送されるほど滞納が長期化した場合には、アコムの会員資格を喪失して強制退会させられます(AC会員規約第13条(退会および会員資格の喪失等))。
アコムにとって、長期延滞を生じる債務者は「良い顧客」ではありません。むしろ、貸したお金が返ってこないわけですから、アコムに損失を生ぜしめる「悪いユーザー」だと捉えられても致し方ないでしょう。
したがって、残債を一括請求される状況になるとアコムの会員資格を剥奪されるだけではなく、アコムが独自に収集する「社内ブラックリスト」にも登録されて、仮にアコムからの一括請求に応じたとしても半永久的にアコムに入会することはできないと考えられます。
3:高額の遅延損害金の支払いを求められる
アコムから残債の一括請求を旨とする催告書が届いた場合、高額の遅延損害金(延滞金)の支払い義務が生じる点に注意が必要です。
遅延損害金とは、支払い期限までにお金を用意できない債務者に対する「罰金」のこと。アコムが定める遅延損害金には次のような特徴があるため、債務者の経済的負担はかなり厳しい状況に追い込まれます。
- キャッシング滞納時は年利率20%、ショッピング支払い遅れ時は年利率14.60%の高利率で算出される。
- 滞納日数に応じて日割り計算に基づき遅延損害金が加算される。
- 「残債総額×遅延損害金年利率÷365日(366日)×延滞日数」の計算式に依拠する。
- 滞納分全額を返済しない限り滞納状態が継続する。
参照:返済が遅れてしまうと、どうなるんですか? – アコムHP
たとえば、アコムから残債100万円(カードローン)を一括請求された場合の遅延損害金について考えてみましょう。
期限の利益喪失後の滞納日数に応じて、次のような高額の遅延損害金が発生します。
滞納日数 | 遅延損害金総額 |
---|---|
1日 | 548円 |
1週間 | 3,836円 |
1カ月 | 16,438円 |
2カ月 | 32,877円 |
特に注意を要するのが、アコムからの借金問題を解決するために「任意整理」を利用する場合について。
後述するように、任意整理は債務者にとって負担のない債務整理手続きなので希望する人が少なくありませんが、アコムとの間で作成される和解契約では、「和解契約締結”後”の利息・遅延損害金をカットする」という内容が定められるのが一般的。つまり、任意整理交渉を進めて和解契約が成立する”前”に生じた利息・遅延損害金は免除できずに返済義務の内容に含まれるということです。
したがって、アコムから催告書が届いて残債を一括請求されたにもかかわらず悠長に日々を過ごして任意整理に踏み出すタイミングが遅れると、それだけ債務者の生活再建は遠のいてしまうと考えられます。アコムから催告書が届いて自力で一括返済するのが難しい状況なら、可能な限りすみやかに弁護士・司法書士に依頼をして任意整理に着手するべきでしょう。
4:強制執行が実行される
アコムから催告書で残債を一括請求された状態で、何の対策にも踏み出さずに滞納問題を放置しつづけると、最終的には強制執行によって財産・給料などに対して差し押さえが実行されます。
強制実行は、「債務者が自主的にお金を返してくれないなら代わりにモノで支払わせる」という考え方に基づくもの。債務者のなかには、「自分でお金を用意できないから勝手にモノで支払いに換えられるなら強制執行してもらっても差し支えない」と考える人がいますが、これは間違いです。
なぜなら、アコムが強制執行に踏み切る場合には次のモノが差し押さえ対象になるので、借金返済生活中よりも深刻な事態を引き起こす可能性が高いからです。
- 給料
- 預貯金
- 債務者名義の財産
それでは、アコムによる強制執行の対象になる財産等について、それぞれ具体的に見ていきましょう。
給料
アコムが差し押さえの対象にする可能性が高いのが「債務者の給料」。アコムから融資を受ける際に勤務先情報を提供しているはずなので、アコム側は調査負担なく差し押さえを実行できるからです。
給与の差し押さえでは、債務者の手取り額に応じて次の範囲の金銭が強制執行で取り上げられます。
- 手取り給与額44万円以下の場合:額面の1/4が差し押さえ対象
- 手取り給与額44万円超の場合:33万円以上の金額が全額差し押さえ対象
たとえば、毎月の手取り給与額が20万円の場合、1/4に相当する5万円が差し押さえの対象です。また、手取り月収50万円の場合、33万円超の部分である17万円が処分対象と扱われて給料から天引きされます(養育費・婚姻費用滞納が原因で差し押さえが実行された場合は1/2まで処分可)。
そして、給与の差し押さえ手続きで注意しなければいけないのは、給料差し押さえが実行されると債権者が会社に直接取り立てを実施するため、職場に迷惑がかかるということです。「借金問題を抱えていること」「強制執行が実行されたこと」を理由に懲戒処分等が下されることはありませんが、社会的信用が低下するため職場に居辛くなるリスクがあるでしょう。
また、手取り給与額の1/4が天引きされるということは、それだけ生活費が圧迫されるということを意味します。債権者からの請求額が満額回収されるまで天引きがつづくので、たとえばアコムから100万円借金している月収20万円の債務者が給与債権を差し押さえられると、20カ月は手取り15万円で生活しなければいけないということです。
給料差し押さえが実行される前に債務整理を利用すれば、生活レベルを維持しながら生活再建を目指せる可能性が高くなるので、給与債権が差し押さえられる前に弁護士・司法書士までご相談ください。
なお、給与差し押さえの流れ・実際に生じるデメリット・回避方法などについては、以下のリンク先でも詳しく解説しています。アコムによる給与差し押さえ回避をご希望の債務者は、この機会に参考にしてください。
給料の差し押さえの条件は?差し押さえまでの流れと回避方法を解説預貯金
アコムが強制執行を実行する場合、「債務者名義の預貯金口座」が差し押さえの対象にされることがあります。
たとえば、債務者がアコムに提供した勤務先を退職した場合には給料差し押さえが空振りに終わるため、預貯金口座を特定して口座残高があるタイミングを見計らって強制執行をかけてくることが多いです。
預金口座に対して強制執行が実行されると、差し押さえのタイミングで口座に入金していた残高が全額債権者に口座振替されます。つまり、公共料金・賃料・携帯電話の利用代金などの支払いができなくなる可能性が高いということです。
また、口座開設金融機関との間でローン契約を締結している場合には、アコムが口座を差し押さえた段階で「当該ローン契約についての期限の利益」を喪失することになるので、ローン残債の一括請求も免れられません。口座残高で残債の一括返済と相殺できないと口座が凍結するリスクも生じるため注意が必要です。
したがって、預貯金に対する差し押さえは借金問題を波及的に拡大するおそれがあるため、何としても避けなければいけないと考えられます。債務者側で差し押さえ対象についての希望を出すことはできないので、強制実行自体を停止するために債務整理に踏み出すべきでしょう。
債務者名義の財産
給料・預貯金に対する差し押さえが成功しない場合には、アコムが「債務者名義の財産(動産・不動産問わず)」に対して強制執行をかけてきます。
たとえば、マイホームを処分されると転居を余儀なくされるので家族にも迷惑がかかりますし、自宅に執行官がやってくるだけで子どもは不安を覚えるでしょう。一度処分された財産は二度と取り戻せないため、強制執行実行前の生活は手放さざるを得ないということです。
ただし、債務者名義の財産なら何でも取り上げられるというわけではありません。次に挙げる「差し押さえ禁止財産」は手元に残すことができます(民事執行法第131条)し、状況次第では債務者側からの申し立てによって差し押さえ禁止財産の範囲を広げることも不可能ではない(民事執行法第132条)ので、「明日から住む場所がなくなる」という事態にはおちいらないのでご安心ください。
- 生活必需品(衣服・家具・寝具など)
- 1カ月の生活費必要な食料・燃料
- 66万円までの現金
- 仕事道具
- 学校等で使用する教材・勉強道具
なお、生活保護受給権・児童手当受給権・各種年金受給権も差し押さえ禁止の対象に含まれますが、実際にお金が振り込まれた後は債務者の財産に組み込まれるので処分を免れられないリスクが生じる点にご注意ください。
5:家族にアコムの借金がバレる
「旦那に黙ってアコムで生活費を補填していた」「子どもの学資を使い込んでしまったのでアコムの借金でごまかしてしまった」など、どうしても家族に借金問題を抱えていることがバレたくないという事情を抱えている債務者も少なくないでしょう。
しかし、アコムから一括返済を求める催告書を受け取るほど滞納状況が深刻化すると、次のような事態がきっかけで家族に借金問題を抱えていることがバレる可能性が高まります。
- アコムから届いた内容証明郵便・裁判所からの通知を家族が受け取る
- アコムからの電話問い合わせに家族が出てしまう
- アコムの回収担当者が自宅訪問して家族が応対する
- ACカードのショッピング枠で購入した商品を引き上げられる
- 給料が差し押さえられて生活費不足を怪しまれる
- 自宅にやってきた執行官と家族が対面する
たとえば、アコムから催告書が届いてすぐに弁護士・司法書士に任意整理を依頼すれば、家族にバレずに返済状況を改善できる可能性が高いです。毎月計画的に返済を継続できる返済スケジュールを組めば、家族に怪しまれずにアコムの借金を片付けられるでしょう。
したがって、「家族にバレたくない」という希望を最優先にしたいのなら、アコムから催告書を受け取った段階で債務整理に踏み出すべきです。専門家に依頼をすれば家族にバレないための工夫についてもアドバイスをもらえるので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
なお、借金問題が家族・職場にバレるきっかけについては以下のリンク先でも詳しく解説しています。あわせてご一読ください。
借金が家族や会社にばれる原因は何がある?誰にもばれずに借金問題を解決する方法を紹介アコムから一括請求の催告書が届いたときの3つの対処法
アコムによる残債の一括請求を無視すると甚大なペナルティが科されるため、債務者はすみやかに対処法に踏み出す必要があります。
アコムの催告書を受け取ったときの対処法は次の3つです。
- 消滅時効の援用可能性をチェックする
- 自己資金で残債を一括請求できるか判断する
- 自力完済が難しい場合には早期に債務整理に着手する
それでは、アコムから催告書が届いたときの3つの対処法について、それぞれ具体的に見ていきましょう。
なお、カードローン等を返済できないときの解決策については以下のリンク先でも解説しています。あわせて参考にしてください。
カードローンを返せない時に起こるデメリットとは?返せない時の対処法も解説1:消滅時効を援用できるかチェックする
アコムから催告書を受け取ったときは、最初に消滅時効の援用可能性をチェックしてください。なぜなら、アコムの借金が消滅時効にかかっている状態なら、自力返済・債務整理などを検討するまでもなく借金問題を解決できるからです。
消滅時効とは、一定期間以上借金を返済していない場合に、借金返済義務を消滅させる合法の制度のこと。次の要件を充たせば、消滅時効の成立を主張することができます。
- 借金の滞納期間が5年以上経過していること
- 過去に判決・支払督促が確定してアコムが債務名義を取得している場合、その時点から10年以上経過していること
- 完成猶予事由・更新事由が存在しないこと
- 債権者に対して「消滅時効制度を利用すること」を伝えること(=援用手続き)
このように、消滅時効の完成を主張するためには、「5年以上の期間滞納状態が続いていること」だけでは不十分で、アコム側に対して消滅時効援用の旨を通知する必要があります。
ただ、消滅時効の完成を主張できる状況において、債務者が個人的にアコム側と連絡を取ってしまうと、「1,000円だけでも入金してください」「今なら利息を免除して元本だけの返済で大丈夫です」などの揺さぶりをかけられる可能性が高いです。貸金業のプロであるアコムは、消滅時効の援用をさせずにお金を取り戻すためにあらゆる手段を講じてくるでしょう。
したがって、アコムに対して消滅時効を主張するには、慎重に援用手続きを進めなければいけません。弁護士・司法書士に相談すれば取引履歴等から消滅時効ができるか否かを判断したうえで、内容証明郵便を作成して安全に消滅時効を援用してくれるでしょう。
なお、消滅時効ルールは民法改正によって複雑な状況が生まれています。以下のリンク先で改正ポイント・消滅時効の援用要件などについて詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。
借金の時効は何年?消滅時効の援用とは?民法改正の影響もあわせて解説2:アコムに一括返済するために資金調達する
アコムの借金について消滅時効完成を主張する余地がない場合には、催告書に記載された期限までに自力で残債を一括返済できるかを判断してください。
たとえば、家族・親族の預貯金を使わせてもらうのも選択肢のひとつでしょう。ただし、家族の貯金を残債の一括返済に使うということは、家族に借金問題を抱えていることを告白する必要があるということ。「どうしてもバレたくない」とご希望の債務者には不向きな方法です(ただし、その時点で借金問題を解決できるので債務整理等に労力を割く必要はなくなります)。
また、アコムからの請求額が100万円を超えるような状況では厳しいかもしれませんが、数十万円程度であれば自宅の不用品・ブランド品・電化製品・ゲーム機器などを売却することで返済資金を工面できる可能性があります。
なお、債務者のなかには、「アコムに一括返済するために他社の借金を頼ろう」と考える人もいるかもしれませんが、この方法は次の4つの理由により不適切です。
- アコムの催告書が届いた債務者は信用情報にキズがついているので消費者金融・銀行等の金融機関から融資を受けられない
- ブラックリスト登録者でも利用できる業者は「闇金」の可能性が高い
- 闇金からお金を借りると高額の利息・違法な取り立てなどの被害に遭うので今よりも状況は悪化する
- 給料ファクタリング・個人間融資・口座レンタルなどの取引は合法性に疑いがあるだけでなく債務者にとってリスクしかない
そもそも、借金を返済するときには、「自分の収入・預貯金の範囲から返済額を用意する」のが大前提。毎月順調に返済できている場合でも残債を一括請求された場合でも、この事実には疑いがありません。
したがって、アコムの催告書に指定された残債一括返済の期日までにお金を用意できる公算が小さい場合には、すみやかに次項で解説する債務整理を決断しましょう。
なお、債務者のなかには、本当に自分が債務整理を利用するべき状態なのかについて懐疑的な方もいらっしゃるでしょう。以下のリンク先で「債務整理に踏み出すべきタイミング」について詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
【債務整理を検討すべき8つのタイミング】早めの対策が借金生活から楽に抜け出すポイント3:アコムの借金について債務整理を利用する
アコムから届いた催告書に記載された期限までに残債全額を用意できない場合には、「債務整理」を利用するのがおすすめです。
債務整理とは、消費者金融などに対する返済内容を合法的に減免できる借金救済制度のこと。借金地獄から抜け出せない債務者に生活再建のきっかけを与えるための国が認めた救済措置となっています。
債務整理を利用する際には、次の3つの手続きから自分の状況に適したものを選択しなければいけません。
それでは、各債務整理手続きの詳細について、それぞれ具体的に見ていきましょう。
なお、国が認めた借金救済制度である債務整理については以下のリンク先でも詳しく解説しています。あわせてご一読ください。
国が認めた借金救済制度ってなに?救済制度である債務整理の内容を徹底解説任意整理ならアコムの利息をカットして一括請求を分割払いに変更できる
任意整理とは、裁判所を利用せずに債権者との直接交渉を通じて「利息」を中心に借金返済義務の内容を軽減する債務整理手続きのこと。他の債務整とに比べて労力・費用をかけずに手続きを進められるという特徴があります。
アコムの借金について任意整理を利用すれば、次のようなメリットが手に入るでしょう。
- 催告書で残債を一括請求された後でも、アコムの借金を分割払いに引き戻せる。
- アコムの借金について将来利息・遅延損害金の負担が免除される可能性が高い。
- 元本のみを30回~36回程度で完済できる返済スケジュールを組み直せる。
- 裁判所を利用しない手続きなので家族にバレるリスクを大幅に軽減できる。
たとえば、アコムから残債総額100万円を一括請求された場合について考えてみましょう。
アコムとの任意整理交渉で30回分割払いの返済条件で和解契約が成立すれば月々33,333円、36回払いなら毎月27,778円の分割計画が認められます。催告書が届いて数週間以内に100万円を用意しなければいけない状況が大幅に改善されているのは明らかです。
ただし、任意整理交渉で分割払いについての和解契約を締結したにもかかわらず、ふたたび2度以上滞納する事態におちいると躊躇なく残債を一括請求されたうえで強制執行が実行されるので、任意整理で返済状況の改善を目指すのなら「完済まで返済を継続できる経済的体力」が家計にあることが大前提です。約3年間アコムへの返済生活をつづける余裕が家計にない場合には、次で紹介する個人民事再生・自己破産を視野に入れるべきでしょう。
なお、任意整理については以下のリンク先でも詳しく解説しているので、あわせてご一読ください。
任意整理とはどんな手続き?他の債務整理との違いやメリット・デメリットを解説個人民事再生ならアコムの借入元本を減額して一括請求を分割払いに変更できる
個人民事再生とは、裁判所を利用して借金元本額自体を減額して分割払い計画を作り直す債務整理手続きのこと。任意整理よりも踏み込んだ減額効果を期待できると同時に、自己破産のような過大なデメリットを回避できる点に特徴があります。
アコムの借金について個人民事再生を利用すれば、次のようなメリットが手に入るでしょう。
- アコムから一括請求された後でも3年の分割払い計画を作り直せる。
- アコム以外の借金を含めて総額100万円以上の借入があるなら元本自体を減額できる(住宅ローンを除く)。
- 住宅ローン特則の要件を充たせばマイホームの処分を回避できる。
個人民事再生では債務者が抱えているすべての借金が整理対象になるので、「アコムの返済状況だけを改善する」という柔軟な対応はできません。
ただし、アコム以外の借入総額次第では、大幅に元本減額効果を期待できる点を見逃すべきではないでしょう。個人民事再生利用時の減額率は次の通りです。
借金総額 | 最低弁済額(減額割合) |
---|---|
100万円未満 | 借金全額(減額なし) |
100万円以上500万円未満 | 100万円まで減額 |
500万円以上1,500万円未満 | 借金総額を1/5に減額 |
1,500万円以上3,000万円未満 | 300万円まで減額 |
3,000万円以上5,000万円以下 | 借金総額を1/10まで減額 |
たとえば、アコムを含む借金総額が200万円の債務者なら、個人民事再生に踏み出すことで返済総額を100万円まで減額できます(毎月の返済額は27,778円)。また、借入総額が700万円の状況なら、個人民事再生で140万円まで圧縮可能です(月々の返済額は38,889円)。
このように、個人民事再生を利用すればアコムから一括請求された後でも大幅な減額効果を期待しつつ分割払い計画も作り直せるので、「元本を減額してもらえれば借金完済を目指せる」という債務者におすすめだと考えられます。
ただし、個人民事再生が成功するためには、裁判所から「再生計画案を実践できるだけの経済力がある人物だ」と判断されなければいけません。つまり、サラリーマンなどの安定した給与所得者でなければ個人民事再生が認められないので、無職・フリーター・専業主婦などには不向きです。この場合には、任意整理・個人再生をご検討ください。
なお、個人民事再生については以下のリンク先でも詳しく解説しています。あわせてご一読ください。
個人再生とはどんな手続き?他の債務整理との違いやメリット・デメリットを解説自己破産ならアコムへの返済義務の免責を狙える
自己破産とは、裁判所を利用して借金返済義務の免責を狙う債務整理手続きのこと。手続き終了後も返済生活がつづく任意整理・個人再生とは異なり、裁判所から免責許可決定を得ることができれば、その時点で借金生活から抜け出せるという特徴があります。
このように、借金減額効果だけに注目すると、「アコムの借金がゼロになるなら自己破産以外の選択肢はあり得ないのでは?」と疑問を抱く債務者も少なくないでしょう。たしかに、借金返済義務から今すぐに逃れられる自己破産よりも、個人再生・任意整理を選択する実益は存在しないようにも思えます。
しかし、以下のように、自己破産には個人再生・任意整理とは異なるデメリットが存在するという点に注意をしなければいけません。なぜなら、大きなメリットを手にするためには相応のデメリットが科されないと債権者が一方的に負担を押し付けられることになるからです。
- アコム等の借金を抱えるに至った原因がギャンブル・浪費癖などの場合(=「免責不許可事由」が存在する場合)には免責までの難易度が高くなる(管財事件手続きをこなして裁量免責を目指す必要があるため)。
- アコムなどの消費者金融からの借入は免責されるが、税金や保険料などの滞納は免責対象外になる(いわゆる「非免責債権」のこと)。
- 債務者名義の財産が一定範囲で処分される(「自由財産」に分類されるものは手元に残せる)
- 破産手続き中は、職業制限・移動制限・郵便物の管理制限などのペナルティが科される
- 自己破産した旨が官報に掲載される
したがって、アコムの借金について自己破産を利用するか否かは、「デメリットを強いられたとしても免責という結果を欲するのか」という視点から判断する必要があると考えられます。自己破産のメリットばかりに気を取られると想定外のデメリットを負担しなければいけなくなるのでご注意ください。
なお、自己破産については以下のリンク先で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
自己破産とはどんな手続き?他の債務整理との違いやメリット・デメリットを解説アコムから一括請求の催告書が届いたときに専門家に相談するべき5つの理由
アコムから催告書が届いたにもかかわらず支払い期日までにお金を用意できそうにない場合には、すみやかに弁護士・司法書士へ相談することをおすすめします。
なぜなら、専門家に借金問題を相談することによって次の5つのメリットが得られるからです。
- 消滅時効をチェックして適切に援用手続きを進めてくれる
- 専門家に債務整理を依頼すればアコムからの取り立てを即時に停止できる
- アコムが強制執行に踏み出す事態を回避できる
- アコムとの任意整理交渉で債務者側に有利な和解案を提示してくれる
- アコム以外の借金問題も含めて適切な生活再建方法を提案してくれる
それでは、アコムから催告書が届いたときに弁護士・司法書士に相談するべき5つの理由について、それぞれ具体的に見ていきましょう。
なお、弁護士・司法書士のいずれに相談するべきかについては以下のリンク先をご参照ください。
債務整理は弁護士・司法書士のどちらに依頼すべき?ケースごとに上手に使い分けよう1:消滅時効の援用手続きを丁寧に処理してくれる
アコムに対して消滅時効の完成を主張できるケースでは、弁護士・司法書士に援用手続きを依頼するのがおすすめです。
そもそも、消滅時効の援用方法には法的な決まりはありません。つまり、口頭でアコムに「消滅時効を援用します」と伝えるだけでも差し支えないということです。
ただ、「消滅時効を援用した」という事実を客観的に証明できる状況を作っておかなければ、後からアコム側に「消滅時効を援用された事実はなかった」と主張されたときに証拠をもって反論することができないでしょう。「言った・言わない」の水掛け論になると円滑な生活再建の妨げになってしまいます。
したがって、アコムに対して消滅時効を援用する際には、配達証明付きの内容証明郵便を郵送するのが安全策だと考えられます。借金問題に慣れた専門家ならすぐに信用情報を確認して援用通知書を送付してくれるので、借金問題の早期解決を実現できるでしょう。
2:アコムからの取り立てを停止できる
弁護士・司法書士に債務整理を依頼した時点(数日以内)でアコムからの取り立てが停止する点もメリットです。
債務整理を受任した専門家は、債務者の代理人に就いたことを債権者に伝えるために「受任通知(介入通知・債務整理開始通知)」という書面を郵送します。
受任通知を受け取った債権者(貸金業者・債権回収会社のみ)はそれ以降の取り立て行為が禁止されるため、債務者に対して直接コンタクトを取れません(貸金業法第21条1項9号)。その結果、債務者は債権者からのプレッシャーから解放されて、平穏な日常生活を取り戻せます。
したがって、「アコム側から連絡がくるのが嫌だ」「携帯に着信があるだけで暗い気持ちになる」という債務者は、すみやかに弁護士・司法書士に債務整理を依頼してください。生活再建の道を歩み出した実感を得やすいでしょう。
3:差し迫った強制執行を回避できる
催告書が届いた段階で債務整理に踏み出せば、間近に差し迫った強制執行を回避できます。なぜなら、債務整理は合法の制度ですし、債務者がその合法な制度を利用している最中に財産関係に変動が生じるような事情が生じてしまうと、労力・費用をかけて債務整理に踏み出した実益が失われてしまうからです。
ただし、債務整理でアコムによる強制執行リスクを回避する際には、以下の点に注意が必要です。
- 自己破産・個人再生を申し立てれば強制執行を回避できるが、手続き申立てには一定の準備期間が必要なので、可能な限りスムーズに債務整理準備を進めなければいけない。
- 任意整理手続き自体に強制執行を停止する効力はないので、専門家から債権者に「差し押さえ等に着手しない」旨を交渉内容に盛り込んでもらう必要がある。
つまり、弁護士・司法書士に依頼をせずに本人だけでのんびり債務整理を検討していると、アコムに先手を打たれて強制執行が実行されるリスクがあるということです。
ご自身だけではなく家族・職場に迷惑をかけないためにも、一括請求に応じられないことが明白になった時点ですみやかに専門家までご相談ください。
4:有利な条件で分割払いの和解案を交渉してくれる
特にアコムの借金を「任意整理」で解決する場合には、債務整理実績豊富な専門家に依頼することを強くおすすめします。なぜなら、専門家が介入した方がアコムから有利な和解条件を引き出せる可能性が高まるからです。
そもそも、任意整理は裁判所を利用しない手続きなので、「債権者が任意整理交渉に応じる義務」自体が存在しません。債権者が交渉のテーブルについてくれなければ任意整理自体を諦めなければならず、借金問題改善を目指すなら自己破産・個人民事再生を検討せざるを得ないということです。
そして、交渉相手が貸金業のプロであるアコムの場合、次の3つの理由から債務者自身だけで直接交渉をすることはおすすめできません。
- 素人だと足元を見られて交渉に応じてくれない可能性が高い
- 交渉に応じてくれたとしても話し合いを先延ばしにされて遅延損害金発生額がどんどん増えつづける
- 提示される分割払い計画が債務者にとって厳しい内容になる(短期間での完済・ボーナス払いなど)
これでは、「自己破産・個人民事再生よりも手続きが楽だから」という理由で任意整理を選択した意味が失われてしまうでしょう。
したがって、任意整理でアコムへの返済状況改善を目指す場合には、かならず弁護士・司法書士に依頼をして強気に交渉を進めてもらうべきだと考えられます。
5:アコム以外の借金問題を含めて適切な生活再建方法を提案してくれる
弁護士・司法書士に相談すれば、アコム以外の借金問題をすべて含めて適切な生活再建方法を提案してくれます。
そもそも、借金問題の解決方法は債務整理だけではありません。
- 長期間連絡がない状態なら「消滅時効」
- 払い過ぎた利息があるなら「過払い金返還請求」
- 家計に工夫を凝らす余地が大幅に残されているなら「自力で完済を目指す」
- 闇金などの違法な業者から融資を受けたなら「無効主張」
- アコムなどの消費者金融・銀行等の金融機関との借金問題改善なら「債務整理」
簡略化したとしても、これだけの方法から自分に適した手続きを判断する必要があります。そして、日々の返済に苦しんで冷静になるのが難しい債務者・法律の素人である債務者にとって、適切な生活再建方法を選択するのは困難でしょう。
借金問題に強い専門家は「債務整理」だけに特化しているわけではありません。債務整理を利用するべき状況なのか、利用するとしてどの手続きを選択するべきなのか、債務整理以外にどのような方法が選択可能なのかなど、債務者の置かれた状況から総合的に適正手続きを熟慮してくれます。
専門家への依頼料・相談料を懸念する債務者も少なくありませんが、費用以上の効果を手にすることができるので、どうぞお気軽にご相談ください。
アコムから一括返済を求められたらすみやかに専門家へ相談しよう
アコムから催告書が届いた場合には、すみやかに弁護士・司法書士に相談するべき段階だと考えられます。なぜなら、アコムから残債を一括請求されたにもかかわらず、今まで通りに滞納状態を継続してしまうと、給与・預貯金口座・財産などが差し押さえられる可能性が高まるからです。
強制執行が実行されると債務者本人の生活に大きな支障が生じるだけではなく、家族・会社にも迷惑がかかります。借金問題を抱えていることがバレるだけではなく、「借金問題を長々と放置していたこと」も知られるため、信用失墜は不可避でしょう。
したがって、借金の長期延滞者にとって強制執行回避は何としても達成するべき課題だと考えられます。専門家なら債務者の状況に適した生活再建方法を提案してくれるので、できるだけ早いタイミングでお問い合わせください。